表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/20

トラック1-04 |校舎裏でのキス(美羽視点)





「すごかった……キス、だけなのに」




言葉にしてみたら、少しだけ現実に戻れた気がした。

キスだけ。そう、キスだけ。


なのに、身体が熱い。




「……絶対、気づいたよね?」




気づかないわけがない。

自分でも分かるくらい、身体が震えた。




「……何が?」



とぼける声。

分かりやすい。


でも、

嫌じゃなかった。



「いーよ……とぼけないで」


「ちょっとならバレないと思ったんだけど」



最初は軽い気持ちだったのに、

止め時が分からなくなっただけ。



「……引いた?」



聞く前から、ちょっと怖かった。

もし引かれたら、全部冗談にして終わらせようって、

心のどこかで準備してた。



「……そんなことないよ」



その返事を聞いた瞬間、

胸の奥がふっと緩んだ。


あ、よかった、って思ってしまった自分がいる。



「……そっか。優しいんだね、君って」



優しい、なんて言葉でまとめるのはズルいけど、

でも、今はそれでいい気がした。

視線を逸らしたのは、照れ隠し。

これ以上見たら、顔に出る。



「その……気にしないなら……もっかい、してもいい?」



もっかい。

軽く言ったのは、わざと。



「……えっ?」



やっぱり、分かりやすい。

その反応が、可愛い。



「だから……キスしながら」



全部言わなくても、伝わるでしょ。

伝わってるの、分かってる。




距離を詰める。

近い。

さっきより、確実に。



「君も……どうせ、分かってるでしょ?」



視線を合わせないまま、言う。

目を見たら、

たぶん、ブレーキがかかる。



「好きなことしていいよ?」



言った瞬間、

胸の奥がきゅっと縮む。


でも、言い直さない。



「じゃあキス実習の延長、ってことで」


「でも、レポートに書くのはナシね?」


“実習”。

“延長”。

“レポート”。


全部、

今の私に都合のいい言葉。


……でも、

それでいい。




・・・



・・






時間がどれくらい経ったのか、分からない。

気づいたら、彼の呼吸だけが残っていた。



ふと、悪い考えが浮かび、

彼の耳元で囁いた。



「もし今、誰か来たら…どうなると思う?」



でも、その想像すら、どこか楽しい。



「……完全に、“バレる”よね?」



今さら、

何も隠せない。



「フフッ。ふたりだけの……内緒の実習だね」



“内緒”。


その言葉を使った瞬間、

自分で一線を越えた感じがした。


「……実はさ、私、毎晩なんだよね」


少しだけ、

本音。


「……えっ?」



やっぱり、可愛い反応。



「……言わせる気? ……バカ」



「君は? 週にどれくらいしてるの?」



「……毎晩、かな」



「一緒じゃんw。なんだ、案外、私達いいパートナーなのかも」



冗談みたいに言ったけど、

胸の奥では、少しだけ本気だった。



「ね。明日も会おうよ」



言葉にした瞬間、

もう決まってた。



「どうせ1週間はパートナーなんだし」



そう期間限定。

私に都合のいい言葉。



分かってる。

これはもう、ただのキス実習じゃない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ