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トラック1-03 |校舎裏でのキス(主人公視点)

挿絵(By みてみん)




「すごかった……キス、だけなのに」





それ、こっちのセリフだから。




キスだけ。


本当にそれだけのはずなのに。




・・・考え始めたら負けなやつだ、これ。







「……絶対、気づいたよね?」







心臓が一回、余計に跳ねた。




気づいた、って何にだ。


いや、分かってる。分かってるけど。








「……何が?」








自分でもびっくりするくらい、


とぼけた声が出た。




今さら何を誤魔化してるんだ、俺。





「いーよ……とぼけないで」




「ちょっとならバレないと思ったんだけど」





ちょっと、の含みが強すぎる。






「……引いた?」






そんな不安そうな声で聴かないで欲しい






「…そんなことないよ」





これは本心、嘘じゃない。


もっと別の感情。


説明する気にはなれないけど。






「……そっか。優しいんだね、君って」






いや、優しいんじゃなくて、


どう反応していいか分からないだけだ。




でもそんなこと言えるわけもなくて、


ただ黙る。






「その……気にしないなら……もっかい、してもいい?」





「……えっ?」





完全に素の声が出た。





「だから……キスしながら」





もっかい。




軽い言い方なのに、


意味は全然軽くない。





距離が、また近づく。


近い。


さっきより確実に近い。





「君も……どうせ、分かってるでしょ?」





分かってる。


分かってるけど。





「好きなことしていいよ?」





拒否なんて、できるわけがない。





「じゃあキス実習の延長、ってことで」




「でも、レポートに書くのはナシね?」





その言葉を聞いた瞬間、


あ、もう逃げ道ないな、って思った。




でも不思議と、嫌じゃなかった。






・・・





・・










時間の感覚が、途中から曖昧になる。


どこからが今で、どこまでがさっきなのか、


よく分からない。





気づいたら、


身体の力は抜けていて、


俺の呼吸だけが残っていた。





美羽がダウナー気味な声で、


からかうように耳元で囁く





「もし今、誰か来たら…どうなると思う?」




「……完全に、“バレる”よね?」





証拠隠滅なんて、


する気力すらない。




それくらい、ヤバかった。





「フフッ。ふたりだけの……内緒の実習だね」





“内緒”。




その言葉、ずるい。




今の状況に、


一気に特別感を乗せてくる。






「……実はさ、私、毎晩なんだよね」






「……えっ?」




毎晩?何が?





「……言わせる気? ……バカ」




「君は? 週にどれくらいしてるの?」






これ、俺も言わないといけないやつ?






「……毎晩、かな」





「一緒じゃんw。なんだ、案外、私達いいパートナーなのかも」





その言い方が、


冗談なのか本気なのか分からなくて、


胸の奥が少しざわついた。





「ね。明日も会おうよ」





断る理由なんて、


最初からなかった。





「どうせ1週間はパートナーなんだし」





……これ、絶対。


ただのキス実習じゃない。

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