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トラック6-01 |放課後の教室でのキス(主人公目線)

挿絵(By みてみん)


「あのね――ひとつだけ、ちゃんと伝えたいことがあって」



そう切り出された瞬間、

胸の奥が少しだけ強く鳴った。



「……ごめん、まだ“恋”って気持ちなのか自信がなくて」



ああ、やっぱり。

その言葉を聞いた瞬間、

不思議と納得した自分がいた。



「君のことが好き。」

「君とずっとキスしてたい。」

「君以外とは、絶対したくない――」


一つ一つ、

噛みしめるみたいに言われて、

そのたびに胸が締まる。


全部、本当。

その言い切り方が、重い。



「でも……お互い“勘違い”だったらって、

ちょっとだけ……怖くなるんだ」



……分かる。

それ、俺もずっと思ってた。


キス実習で知り合った二人が付き合う。

もし俺の友達だったら、普通に止めるだろうし。

一時の感情なんじゃないかって。



「恋愛なんて……したことないし

自信だって……全然ない」



小さくなる声。

でも、そこで止まらない。



「でも……」




「恋人じゃなくても……

“特別なパートナー”として、

これからもそばにいてくれる?」




「もちろん」




考える前に、口が動いてた。




一瞬、ぱっと表情が明るくなって、

それから、少し怯えた目。



「……ホント?

ホントにホント?」


「ホント」


不安なの、分かる。



「こ~んなに自己評価最低の陰キャ女子だよ?」


「いいよ」


即答。



「毎晩してるドスケベJKだよ?」


「知ってる」


「ええっと、それからぁ…――んんっっ…んっ♡」



キスでみーちゃんの口をふさぐ




「…っぱぁ♡

……こうやって君にキスされるだけで、

すぐに勘違いしちゃう、

君のことが大、大、大しゅきな女の子……だよ?」




自分でも笑いそうになるくらい、

迷いがなかった。



「んちゅう♡」



言葉じゃなくて、

強いキス。



「ばかぁ……好きぃ♡」



・・・


・・




どれだけの時間、キスしてたんだろう……



「今、私たち……

絶対バカで、歯止めきかなそうだね……」



俺もそう思う。

二人ともキスバカだ。



「ふたりだけの “キス実習のルール” 作ろっか」


「……そうしよう」



笑いながら言うと、

彼女は満足そうに頷いた。



「じゃあ、ひとつ目は――

お互い“恋人”とは名乗らないこと」



いたずらっぽく、キスされる。



「実習相手。あくまでね」



「恋人じゃないのに、キスもするし、エッチなこともいっぱいしちゃう。」

「こんな関係、ほんとは……ちょっとズルいよね」



分かってる。

でも、やめられない。



「ふたつ目は――」



声が、少しだけ落ちる。



「もし誰かを本気で好きになったら……

ちゃんと、教えてほしいの」



一瞬、想像してしまう。


みーちゃんが、誰かとキスしている瞬間を。



「……君が他の子を好きになったら、

わたし……きっと、ヤだな」



小さく、震える声。



「たぶん……ううん、絶対――

泣いちゃうかも……」



胸が痛くなる。



「それが“恋”かはまだわかんないけど

ちゃんと話そうって、約束……ね?」



頷くしかなかった。


そして、最後。



「……で、最後のルールなんだけど」



少し緊張した顔。



「キス、1回するごとに

関係を1日延長する――」



……ああ。

そういう、逃げ道。



「……これだけは、どうしてもしたくて」



終わりを、少しずつ先延ばしにするルール。


もし、“ただの勘違い”だったら――

別れもなく、お互い傷つくこともなく。

自然とこの関係は終わり。


怖いのは、俺も同じだ。




「……いい?」


「いいよ」



また、即答。



「ホント?じゃあ……」



短いキス。



「……これで、明日も一緒だね

“みーちゃんの実習パートナー”として」



恋人じゃない。

でも、終わらない。


名前のない関係のまま、

キスの数だけ、

日付を先に延ばしていく。


それでいい。

今は、それでいい。


明日も一緒だ。



※ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


この物語も、いよいよ大切なところに近づいてきました。

次の投稿で、ひとつの区切りを迎えます。

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