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トラック5-01 |放課後の教室でのキス(主人公目線)

挿絵(By みてみん)

放課後の教室は、昼間とは別の場所みたいに静かだった。

机の影が長く伸びて、カーテンの隙間から夕方の光が差し込んでいる。


ドアが開く音。



「お待たせ」



その声を聞いた瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなる。




「ごめんね、待たせちゃって。体調はもう平気なの?」



心配そうに近づいてくる。

昨日のことが、まだ頭から離れてない。



「もう熱も下がったよ」


「そっか……よかった」



心の底から安心した、って顔。

それを見ると、ちょっと無理して来てよかったって思える。



「でもありがと。ちゃんと会えて、よかった」



そのあとに続く言葉で、現実を突きつけられる。



「今日が最終日だから……」



最終日。

分かってたはずなのに、改めて聞くと重い。


机に手をつく音。

距離が、近い。



「ね、せっかくの最後の実習だから……」



誘うみたいな声。



「今日は一生おかずに使えそうなキス、しようよ」



軽く言ってるのに、胸がぎゅっと締まる。



「昨日は……みーちゃん暴走してたし……」



冗談っぽく誤魔化してるけど、

ちゃんと、今日を特別にしようとしてるのが分かる。



「というわけで」



少し楽しそうに。



「スカート、めくって?」






えっ……?





「……ふふっ。いいから」



戸惑う間もなく、笑われる。

きっと間抜けな顔してたんだと思う。



震える手で、スカートをめくる。



衣擦れの音が、妙にエロい。




「どう?」




水着。

あのとき、可愛いって言ったやつ。




「君が可愛いって言ってくれた水着、着たまま来ちゃった」



誰もいない教室。

放課後。

水着姿で。



「絶対、忘れられない思い出になるでしょ」



忘れられないに決まってる。



「……制服、脱がしてくれる?」



言われるまま、手を伸ばす。



「ねぇ…ちゃんと見てね」



視線を逸らせなくなる。



「……君が〝可愛い〟って言ってくれたから、着てきたんだよ?」



その一言が、嬉しい。


制服を脱がす音。

教室で、こんなことしてる現実感がなくて、頭がふわふわする。



「教室で水着姿……どう?」


「……可愛いよ」



本音しか出てこなかった。



「……っ♡ ……そういうの、ずるい」



照れた声。



「また次も可愛いよって言ってほしくなるじゃんかぁ…」



それ、反則だろ。



突然、抱きつかれる。



「ぎゅぅ~~♡」



胸に、柔らかい感触。

心臓の音、絶対伝わってる。



「君の心臓……すっごいドキドキしてるよ?」



からかわれてるのに、否定できない。



「シャワー室の時も、めっちゃガン見してたよね?」



思い出させるな。



「みーちゃんのおっぱい、好きすぎでしょ」



……好きです。



「いいよ? 好きなだけ見ても」



囁きが、低くなる。



「その代わり――」



条件みたいに。



「君の、見せて」



教室。

いつもの場所。


二人だけ。


・・・


・・




「こんなとこでしちゃったら……もう二度と満足できなくなっちゃうかもね?」



それでもいい



「可愛いワンちゃんみたい」



ずっとしていたい



「こらっ……仕返しするなっ……」



ずっとからかったり、

からかわれたり、



「……最後、だもん。」



その言葉を聞きたくなくて、



キスをする。



「んちゅ」



唇をついばむようなキス


舌を絡めるキス


今までしたキスすべてを、思い出すかのように







「……やだ……」






その言葉が、刺さる。


何もできなくなる。





「……なんで?」



悲しい顔、してたんだと思う。



「キス、やだって」


「違う……そうじゃないよ」




泣きそうな声。





「好き……」





その一言で、全部崩れる。





「君のこと、好きなの……」





キス。

何度も。




終わりたくない……


友達なんて、無理だって。


キスだけで、こんなに人を好きになるなんて知らなかった、って。


恋人じゃなくていい。

ただ、君のそばにいたい。



そうやって涙をこぼす彼女を、


強く抱きしめる。


優しく、キスを返す。



「……これ、お別れのキス?」



違う。



「こんなにキスされたら……勘違いしちゃう……」



言葉じゃなくて、キスで伝えたい。




「これは…”延長していいよ”ってキス?」



だって



「ねぇ……そういうの、ずるい……バカ」




これは二人のキス実習なんだから。

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