報告
「アルマンド。その報告はすべてが事実なのか?そなたがこの様な冗談を言うとも思えんが。たった一人の奴隷兵が総人口1億人とも言われる国民総軍人国家ベルジーナ王国を滅亡させたというのか…」
「皇帝陛下。かの方は力を得ても理性的でこちらの指示に素直に従っております。ただ、それはおそらく、星を出るために仕方がなく従っているに過ぎないかと。帝国に着いた途端、こちらに敵意を向けてきても不思議はありませぬ。」
「案はあるのか?」
「一番は、彼の故郷である星に領地をくれてやることでしょう。そして、自由に現地住民を雇えるようにすれば、少しはこちらに対して友好的になるかと。」
「そこについては問題はない。あの星は今や我らの管理家にある。唯一の問題点は…」
「文官の貴族連中ですな。」
「あぁ。軍人なら奴隷の身分だろうが、一度英雄になったら、過去については関知しない。現在と未来しか見ないからな。それにひきかえ…」
「文官どもは過去ばかりを気にする。名門貴族でない時点でどんな手を使ってでもその者を消そうとするだろうな。」
「ですな…ま…まさか、陛下。かの御仁に文官衆を殺させるおつもりではないでしょうか?」
「殺させるとはひどい言い方だ。流れで殺してしまうかも知れんというだけだ。私はその件には関与せんし、その男が文官衆を殺戮した場合、全面的にかばうことをここで約束しよう。無罪放免されるように取り計らう。」
「では…陛下にお会い頂くことが最優先でございますな。」
「なるべく早く連れてきてくれ。西部方面がきな臭くなってきている。」
「かしこまりました。」