殺戮
「なんだ…なんなんだ!この化け物は!?」
俺は敵陣地に到着すると兵だろうと料理人だろうと、医者だろうと、技術者であろうと、女であろうと目に入る全員を皆殺しにしていった。
「どんな手段でもいい!!この化け物を殺せ!」
「はっ!!」
俺は四方八方からブルスターでの銃撃を受けたが、全然効かない!なんて楽しい時間なんだ。ヤツらの表情がみるみるうちに恐怖に包まれていく。
「お前達は…俺の仲間を殺した。ならば、俺はお前達を殺し…お前達の家族を殺し…国を壊す。お前達という存在を消し去ってやる…それこそが仲間達への供養になるだろう。」
なんだか…叫びたい…人間としてではなく…奴らのいうように化け物として、獣のように…
「ウグァァァ!!!!」
俺はそれから何も考えずに目に映る人間を殺していった。手で足で時には敵の頸を噛みちぎった事もあった。
奴らが化け物と呼ぶんだ。なら、化け物らしく何でもやってやろうじゃないか。
疲れたからなんだ?
疲れるということは俺はまだ考える元気があるってことだ。
ふと、俺の周囲に建物が多くあることに気がついた。そこで殺戮を辞めた。
俺が進んできた道は、血で死体で溢れかえっていた。そして、俺が立ち尽くしていた場所は街だった。
いや…街にしては随分と大きな場所だ。もしかしたら、都市なのかもしれない。
街を歩き回ったが、俺が殺戮し尽くしたのか?街に生きた人間はいなかった。
腐敗臭で満ちていたが、別に嫌悪感は抱かなかった。この匂いこそ、俺が化け物であることの証明である。
その街の一番中心に、見事な城が見えた。
白く光り輝く城だった。
城内はどこもかしくも死体とレーザー痕、血痕にあふれていた。全く見覚えはないが、おそらく俺がやったのだろう。
そういえば、俺は今どのような姿なのだろうか?別に獣に成り果てても良いんだが。
化粧室のガラスがかろうじて残っていたのでそこで姿を確認した。
人…でははいな。両手は指が爪のように鋭くなっており、足も獣のように変化している。顔は人間の顔だな。元の自分自身であることに多少安心する。髪の毛は白く変化し、まるで白いオオカミのようだな。
俺は白で最も大きな広場に来た。
そこには大きな椅子が鎮座していた。
玉座のようにも思える。
俺が歩いていくと血まみれの状態で玉座にもたれかかっていた老人が目を覚ました。
「あの…化け物の素顔が…貴様の様な青二才たとはな。」
「アンタハ、モスグニシヌク。ダガ、ユイゴングライキイテヤル。」
「化け物が人の言葉を話すか…それもその言葉はギエール帝国か…あの愚か者どものの奴らに貴様の様な…化け物がいたとはな…」
「オレハ、ヤツラノドレイダッタ…。キサマラノツギハ、アイツラダ。ナカマタチノモトヘイクマエニ、キサマラモヤツラモミチヅレダ!」
「奴隷が…憎しみと悲しみで覚醒したか…。一国を滅ぼすだけの力を得るとはな。貴様…名は?」
「オレのナハ…ダイキダ!」
「ならば、ダイキ。誇るが良い!ゴㇹ…貴様はテルディーナ王国の第27代国王ベルジーナ・テルディーナを打ち倒したのだ。テルディーナ王国を最盛期をもたらし、帝国を窮地に追い込んだこの私をな!そなたの今後の殺戮を地獄で見ているとしよう。」
「アァ!サキニジゴクデマッテイロ!」
俺は右手を掲げた。
すると空が真っ黒の雲に包まれた。
そして、雷の龍がオレの背後に舞い降りた。
「…これほどとは。そして感謝しようではないか化け物として食い殺すのではなく、これほどの技で殺してくれるとは。」
「アンタニハ…ケイイヲ…ハラウベキダト、カンジタ。サラバダ…ベルジーナ国王!!」
俺は奴に向けて右手を振り下ろした。
雷龍は頭上から奴を包み、消し去った…
終わった…
全てが。これで俺の復讐も終わりだ。
そう思うと俺の意識は途切れた。




