夢…?
俺は、目を覚ました。
死後の世界かと思ったが、俺の右手にはブラスターが握られている。
もしかして…
「死に損なったのか…?」
こめかみに手を当てると傷すらなかった。
俺は無性に怒りの感情を覚えた。
どうして俺だけが…どうして俺だけが死ねないのか?どうして?どうして!!
俺は怒りに任せて隠れていた洞窟の壁を殴りつけた。拳が壊れるかもしれない。でもそんなこと気にもならないほどの怒りの感情で溢れていた。
しかし、俺の予想は外れた。
俺が殴った洞窟の壁は、爆弾でも爆発したかのようにガラガラと崩れた。
俺は夢でも見ているのだろうか…
死んで、夢の中で最強になった夢でも見ているのだろうか…
夢ならばもっと楽しもう。どうせ夢なのだから。俺は両手を煉獄の炎で包まれていることを想像して、もう一度殴った。
すると今度は壁が溶岩のようにドロドロと溶け出した。
夢ならば、最後くらいこれまで散々苦しめられてきた敵を殺して殺して殺して殺し尽くして…そうだ。
皆のところに行く前に敵を皆殺しにしてから行くとしよう。どうせ夢なのだから。
俺は、想像した。
誰もが追いつけない光の速さで動ける身体能力。核ミサイルが直撃してもびくともしない強靭な肉体。一撃で大地が割れ、煉獄に包まれる脚力。雷によって形作られた龍を纏った両椀。
髪の毛は、肩まで伸びていて、視力は360度見える死角のない絶対領域。
俺は想像したまま、敵陣へと歩き出した。