4.5 アーマリア視点
馬車が体を揺さぶる。穏やかな日差しが窓から差し込み、風にそよぐ草原が見えた。その遠くに見えるのは、目的地である街。
「アーマリア、ゲールツに着いたら何をしたい?」
お父様が穏やかな笑みを浮かべながら聞いてきた。
「ゲールツはグルメの街だと聞いたことがあります! 色んなお店に行きたいです!」
「はっはっは、アーマリアらしい! もちろん一緒に行こう、いいところを知っているんだ。」
ゲールツ。そこが今回の私達一家の目的地だ。近辺の森にたくさんのハーブや果物が自生していることで知られている、1万人以上が住む街。そんなゲールツでは、毎年食神祭というお祭りが1週間開催される。私達一家はそのお祭りに招待された。食の神様であるマルーツァ様に、ハーブや果物を恵んでくださったことを感謝し、自分たちが今日まで生きてきたことを祝福するお祭りらしい。街はどんちゃん騒ぎで、あちこちに屋台が置かれ、いろんな料理が並ぶ。考えただけでよだれが出てきそうだ。
「アーマリア、食べることに夢中になるのはいいけれど、無礼なことをしてはいけないわよ。」
「勿論です、お母様!」
そんな談笑をしながら、街のほうを眺める。このまま何も問題なく街に辿り着く……はずだった。
「っ、なんだ!?」
急に馬車が止まる。投げ出された私の体を、お父様が受け止めてくれた。
「魔物の群れだ!!!」
「くそっ、馬がやられたぞ!」
外の方から、そんな叫び声が聞こえてきた。そして聞こえてくる、何かを斬るような音と人間の悲鳴。思わず、耳を塞いだ。
「アーマリア、私達がいるわ。」
「ああ。何が何でも、お前は守る。」
お父様とお母様が私を抱き寄せてくれた。それでも、外から嫌な音が聞こえてくる。魔物の叫び声が嫌に耳にこびりついた。
少しして、今度は馬車が強く揺れる。外を見ようとしたその時、窓越しに狼の形をした魔物と目が合った。ガラスに阻まれたものの、狼は大きく口を開けて飛び掛かってきた。強い力で押され、そのまま馬車は横転する。思わず悲鳴を上げた。
「アーマリア、アッフェル、大丈夫か?!」
「え、ええ。私は何とか。」
「私も大丈夫です、お父様……。」
お父様が安堵の表情を浮かべた直後、何者かによって馬車の扉が開かれる。
「ヴィンド様、アッフェル様、アーマリアお嬢様! このままでは全滅してしまいます、我々が引きつけておきますので、お逃げください!」
護衛の1人だった。血に汚れた鎧を身に纏って、肩で息をしながら叫ぶ。お父様は少し考える仕草を見せると、腰に下げていた剣に手をかけた。
「……アッフェル、アーマリア。私は君たちを守らなければならない。逃げてくれ。」
「そんな、お父様……!」
家族一緒で逃げたい。そう言おうとお父様を見ると、いつになく真剣な表情を浮かべていた。お母様はお父様に近づき、頬にキスをする。
「……死ぬまで互いに添い遂げる。私たちはそう約束したでしょう。」
「……アッフェル。」
お母様は虚空から大きな銀の杖を取り出した。先端に取り付けられた紅い宝石が輝き、光を放つ。
「アーマリア、貴女は逃げなさい。ここは私達が引き付けるから。」
「っ、でも!」
「アーマリア。」
諭すような優しい声で、お母様は言う。
「私達は大丈夫よ。絶対に生き延びるわ。」
「……。」
私は涙をこらえながら頷いた。お父様とお母様は馬車を降りる。
「"挑発"!」
お母様がそう唱えると、一瞬空気に何かが響く。次の瞬間、お母様の方へと多くの魔物が視線を向けた。
「今だ、逃げろ!」
「……!」
脇目も振らずに、ひたすら走る。戦いの音も、魔物の鳴き声も遠ざかっていき、ついには聞こえなくなる。どれぐらい走ったのかもわからないまま、ひたすら足を前へ前へと進めていく。
気が付けば、私は見知らぬ森の中で佇んでいた。
「……ここは……?」
大量の木、何とも言えない植物の香り、茂みの奥から感じる何かの気配。頭上を見上げれば、葉っぱの隙間から辛うじて太陽があるのが分かった。
「お父様とお母様、大丈夫かな……。」
そんなことを呟きながら、また歩き始める。今度はこの森から出るために。
気が付けば、一日が経っていた。
「……お腹、空いた……。」
石に寄りかかって寝ていたらしい。空腹に悶えながらも重い体を起こした。再び歩き出す。でも、どれだけ歩いても同じような風景ばかり。時折聞こえてくる物音には驚かされる。果物を取ろうかと思ったけれど、木のとげとげで怪我をしそうでできなかった。
「……私、このまま死ぬのかな。」
泣きそうになりながら、膝を着く。その時だった。鼻をくすぐる匂いがする。土臭いような自然の匂いじゃない。香り豊かなハーブの匂いに、少し獣臭さが混じっている。
「……こっちからだ。」
藁にも縋る思いで、匂いのする方へと歩いていく。少しして、久しぶりに視界が少し開けた。少し古びた小屋がある。扉のところからは蔦らしきものが垂れ下がっていた。匂いの元は、そこからだ。
「……。」
誰かいるかもしれない。助けて貰えないだろうか。そう思って、ゆっくりと小屋へと歩いていく。近付く度に香辛料の香りと獣臭さが強くなっていき、胃が久しぶりに動き出す。そして蔦の隙間に腕を入れ、横に払った。
そこに、彼女はいた。長い黒髪に黒と金のオッドアイ、黒地に縁の赤い服装。端正な顔立ちにちょっと小柄な体格で、歳は私と同じくらい。第一印象は、"黒くて綺麗な人"だった。
「……えっと、どちらさまで」
彼女が私に何か言おうとしたその時、ずっと空っぽだったお腹が音を立てる。思わず自分の顔が熱くなるのを感じた。
「……食べますか?」
彼女はお肉を指差しながら聞いてきた。ずっと空腹だった私は、無言で頷いた。まだ顔が熱かった。
美味しい。本当に美味しい。一心腐乱にお肉を食べる。少しはしたないかもしれないけど、背に腹は代えられない。
「……美味い。」
目の前にいる少女も食べ始めた。でもどこか物足りなさそうな、何か恋しそうな顔をしている。でも、確かにお塩は欲しいかもしれない。
「ぷはっ、助かりました。丸一日何も食べていなかったものでして……。」
お肉を飲み込み、彼女に感謝を伝える。あ、そうだ。自己紹介しなくちゃ……。
「あ、申し遅れました。私、アーマリア・フォン・ヘンドラーと申します。」
「あ、ハナ・シークスです……。」
ちょっと硬い声で、彼女も自己紹介をしてくれた。声は少し低くて、耳当たりが凄く良い。好きな声だ。
「えっと……、名前的に貴族様だと思われますが、どうしてこんなところに……?」
私が貴族だと察したらしい彼女、シークス様はそんな質問を投げかけてきた。
「実は……」
大まかにここに来た経緯を話す。街に向かってる途中に魔物に襲われて、みんなと散り散りになって、気が付いたらこの森に。食べ物もなく一日中彷徨い続けて、ふといい匂いがしたから……。
「……そして今に至る、と。」
「はい……。」
少しの恥ずかしさと不安が同時に襲ってくる。お父様とお母様は無事だろうか。護衛のみんなは。御者さんは。そして、これから私はどうすればいいのだろうか。森でのサバイバルだなんて、一回も経験が無かった。
「……せっかくですし、暫くここに滞在してはどうでしょうか。生憎ベッドは鳥の巣以下ですが、食事や飲料水等は提供できますよ。」
「! よろしいのですか?」
だからこそ、彼女のその提案が本当に嬉しかった。でも、受け入れていいのだろうか。彼女からの提案であるとはいえ、迷惑ではないか。
「ええ、もちろんですよ。正直、1人でずっとここに住んでるのも辛くて……。」
一瞬、彼女が目を逸らしたのを、私は見逃さなかった。きっと、特に辛くはないのだろうと思う。でも、きっと彼女は私が気後れしないために……。考えすぎかもしれないけど、だとしたら彼女は優しい人だ。
「御迷惑でないのであれば……。その、暫くよろしくお願いしますね、シークス様。」
「はい、よろしくお願いします。」
とりあえず、彼女の好意に甘えることにした。
「ところで、私もお聞きしたいことがあるのですが……。」
ふと、疑問が湧いた。
「なんでしょう?」
「シークス様はなぜこの森に住まわれているのでしょうか?」
ここ数日でここに住み始めたとは考えられないほどにある生活感。ドアやベッド代わりになっている蔦。野生動物のお肉に、いろんな香辛料。まず間違いなく、彼女はこの森に住んでいる。でも彼女の見た目から考えるに、おおよそ私と同い年ぐらいのはず。そんな彼女がなぜ? そう思って問いかけたけど、直後、彼女はフォークを落としてしまった。
「ま、まあ色々ありまして……ははは……。」
その場を取り繕うように、まるで何かを隠しているかのように、後頭部を掻きながら笑う彼女。……ちょっと怪しい。
「その、御両親とかは……?」
「もう、顔も覚えていませんね……。」
そう答えたシークス様は俯いていて、明らかに声が震えていた。呟くように、囁くように言う彼女。顔も覚えていないという両親。彼女の事情はよく分からないけど、何か、悲しい過去があるのではないかと思う。
となると、今の私の質問は彼女にその辛い過去を思い出させてしまったのではないか。
「……その、失礼なことをお聞きしましたね。」
「え? いやいや、そんなことないですって。」
困惑したようにシークス様は両手をぱたぱたと振る。そして、少しばつの悪そうな顔をしながら、彼女はステーキを口に運んだ。
それから少々時間が経って、夜になった頃。先ほど夜ご飯を食べてお腹がいっぱいになった。
「……そろそろか。」
シークス様が夜空を見上げながら、そう呟いた。
「どこか行かれるのですか?」
「ええ、夜空を見るのが日課でして。一緒に来ますか?」
夜空。そういえば、基本的にはお屋敷の中にいたからか、あまり空を見上げた記憶がない。夜の街は危険だと言われて、そもそも夜間に外出したことさえなかった。……気になる。
「御一緒させていただいてもよろしいので?」
「勿論です。エスコートさせていただきますよ。」
そう言って少しおどける彼女。
「ふふ、ではよろしくお願いしますね。」
私は少し笑いながら、その手を取った。どうやら、少々歩くらしい。それでも彼女が日課にしているのは、それほど綺麗だからだろうか。
そして、辿り着いた。川のせせらぎが耳に心地よい。
「っ……!」
そして、その風景に目を奪われた。赤、黄、青、白……色とりどりの星々が散りばめられた空に、二つの月が浮かぶ。星々によって空にグラデーションが生まれ、帯となって夜空を横断している。そして星々が集まって、五本の腕を持った渦を創り上げていた。そんな美しい光景が、澄んだ川面に反射して、さらに幻想的な光景を生み出す。
「どうです、綺麗でしょう。夜にここでこの風景を見るのが日課なんです。」
「……こんなに美しい風景が、この世界にあるんですね。」
彼女の言葉に頷いて、私は思ったままのことを口にした。本当にここは現実なのか。それを疑ってしまうほどの美しい風景。それに心を奪われたことにすぐに気が付いた。
「ここに座って、ぼーっと空を眺めて。気が付いたら数時間経っていたり、なんなら寝ちゃったりするんですよ。」
「……私も、きっとそうなります。ずっとこの風景を見ていたいですから。」
二人してその場に並んで座る。
「私のいたところでは、あの帯のことを天の川、あの渦のことを銀河と呼びます。」
「へぇ~……。」
天に流れる川に、銀の河。彼女がいたところの人たちは、中々に美しい表現をするのだなと思った。ぼーっと眺めているうちに、段々と瞼が重くなっていった。……眠い。
あれから数日が経った。あの後目を覚まして、自分がシークス様の肩を枕にして寝ているのに気が付いた。一瞬で顔が真っ赤になって、寝起きの彼女に何度も謝罪したのを覚えている。
「おはようございます、シークス様。本日も良い天気ですよ。」
流れるように二度寝しようとしたシークス様の毛布を剥ぎ取る。服がめくれて色白なお腹をさらけ出すという、あられもない姿をしていた。せっかく朝食を作ったのに、寝られてしまってはちょっと困る。
まだ寝ぼけている様子ではあるが、彼女はもしゃもしゃと香草サラダを食べ始めた。そんな様子を、ハムエッグを食べながら眺める。シークス様は好き嫌いがほとんどないらしく、基本的になんでも食べるから料理にあまり悩まなくてありがたい。それに、ああやってサラダを食べている様がちょっと小動物みたいでかわいい。
「……その、シークス様。」
ふと思い至り、彼女に声をかける。シークス様は香草をもしゃもしゃしながらこっちに目線を向けた。
「これから暫くは共に暮らしていくわけですし、堅苦しい敬語は無しにしてくださいませんか? 私のこれは癖なので仕方がないとしても。」
シークス様はずっと私に敬語を使っている。私が貴族であるからという理由なのだろうけど、それでもこれから暫くは一緒に住むわけだし。距離がある感じがして少し嫌だ。
「別にアーマリア様が構わないのであれば……。」
「構わないからこそ提案したのですよ?」
シークス様はそれもそうか、と小さく呟いた。
「……分かった。じゃあ改めてこれからよろしくな、アーマリア。」
……ちょっとドキッとした。素の彼女の口調が男口調だとは全く思わなかった。顔と声に対してのギャップが凄い。でも性別はどっちなんだろう。体格、顔、声、全体的には女の子だ。でも口調が男の人だし、彼女が自分のことを男だと言えばすぐに信じてしまえる。……落ち着け、私。どことは言わないが、小さいながらもあの膨らみ方は女性のものだ。
「ええ、改めて。それにしても……失礼かもしれませんが、結構、男っぽいのですね?」
直後、彼女がびくっと反応した。しかも笑って誤魔化した。本当にどっち?
あれから時間が経って、夜。あの絶景を見た後。数日前から、ずっと心がもやもやする。あの夜空を見ているときだけはそれを忘れられるが、それでもだ。
「その、シークス様。」
私は、気が付いたら彼女に話しかけていた。
「なんでしょ……なんだ?」
まだちょっとタメ口には慣れていないらしい。とりあえず、自分の心のもやもやを少しでも晴らすだめ、彼女に疑問をぶつける。
「シークス様は、この森から出ようとは思わないのですか?」
きっと、私は彼女が「いつかは出たい」と、「ここでずっと暮らせる自信はない」と、答えてくれるのを期待していたのだろう。
「……今は思わないな。出るとしても何年後になるか……。」
……でも、違った。むしろ、彼女の発言からは「ずっとここに暮らせる自信がある」というのが感じ取れる。
「……そうですか。」
気まずい空気が流れる。すぐに小屋が見えてきた。
「……寝よう。」
「……はい。」
お世辞にも寝心地は良くないベッドに潜り込んで、毛皮の毛布を被る。
「……シークス様は、逞しいですね。」
思わず、そんな言葉が飛び出た。
「……どういうことだ?」
……そして私は、彼女に自分の心の内を全て吐き出した。遭難したことに対する不安と、彼女に対して感じていた劣等感と羨望。その全てを彼女に。最後まで、彼女は静かに私の話を聞いていた。
ふと、彼女の手が私の頭を触った。久しぶりに誰かに頭を撫でられる感覚。……ちょっと気持ち良い。
「……俺、結構だらしないんだ。夜更かしして昼まで寝るのはざらだし、面倒臭がって食事を抜くこともあるし、ほかにも色々。だから、結構アーマリアのことが羨ましいんだ。早寝早起きして、食事を抜かないで……。すごくしっかりしてるなと思う。」
……初めて聞いた、彼女の羨望の言葉。
「……でも、それは貴族として教えられたことで……。」
と、私はそれを否定した。私はお父様やお母様から教わったことをずっと実践しているだけ。私が褒められるものじゃなくて……。
「だったら尚更だな。教えられたことをちゃんと実践できて、継続できて。そんなことができる人間、滅多にいないと思うぞ。」
……そうなのかな。嬉しさ半分恥ずかしさ半分、少しだけ自分の顔が熱くなっていることに気が付いた。シークス様も、ちょっと目を逸らしながら頬を赤くしている。
「……まあ、その。なんだ。お前にはお前の良さがちゃんとあるんだ。そんな気に病むことじゃないさ。」
この人は、ちょっと不器用で優しいんだと思う。
「……そうですか。」
気が付けば、彼女のことを抱きしめていた。思ったよりも彼女の体温が伝わり、ちょっと恥ずかしい。でも、悪い気はしない。ずっとこうしていたいような、心地よさがある。
「……アーマリア?」
「……ありがとうございます、シークス様。少し心が軽くなりました。」
そんなちょっと不器用な彼女に、感謝の言葉を述べる。今まで心の中にいたもやもやが晴れた、そんな気がする。そして。私はそのまま、自分の瞼が重くなっていく感覚に従い、ゆっくりと意識を手放した。
あれから、また数日が経った。あの日以降、心のもやもやが完全にとまでは行かないまでも、晴れた感じがした。心なしか体も軽い。
「おはようございますシークス様。本日も良い天気ですよ。」
「……んぁ……。」
優雅に二度寝をかまそうとした彼女の毛布を剥ぎ取る。今度は服が胸辺りまでめくれてしまい、簡素な黒い下着が見えてしまっていた。そんなあられもない姿に対してため息を吐くのを我慢しながら、眠い目を擦る彼女に提案する。
「朝食まで少し時間がかかりますから、眠気覚ましとして川で顔を洗ってきてはどうでしょうか?」
「……分かった。」
寝起きの、ざらついた低めの声で彼女は返事をすると、めくれた服をもとに戻し、体を引きずるようにして歩き出した。
「もう、本当に朝が苦手なんですから……。」
ちょっと呆れ気味に呟く。とりあえず、私は朝食の準備を始めた。今日はイノシシ肉の香草炒め。フライパンが欲しいとシークス様に頼んだところ、目の前で岩を冗談抜きで切り刻み始めたときにはびっくりした。今思えば、食器やナイフ、フォークといったものも。ああやって作っていたのだろう。にしてもシークス様も言っていたが、あのナイフの切れ味はおかしいと思う。まあ結果としてちょっと重いけど割と使いやすいフライパンが出来上がったので、結果オーライ。
「……さて、これぐらいかな。」
数分ほどで料理は完成する。お皿に盛って、シークス様を呼びに行くために私は小屋を出た。
少し歩いて、川の方でシークス様が佇んでいるのを見つける。
「シークス様ー!」
と、私は彼女を呼びながら駆け寄った。
「シークス様、朝食ができましたので一緒に食べま……しょう……?」
そこで、漸く気が付いた。川の対岸。そこに佇んでいる、複数人の騎士たち。私のほうに視線を向け、驚いた様子を見せる。すぐにその正体が分かった。
お父様たちと一緒に魔物を相手取っていた、あの時の護衛たちだ。
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