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マノゼノ大戦  作者: シュート
第1章:プレリュード
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第6話:ここにいる仲間と共に

 雷電は装置の中で目を覚ます。ふわふわとした感覚を覚えながら辺りを見回した。あれは夢だったのだろうか。雷電はそう思いながら胸を撫で下ろした。


 無限の可能性と自分を変えたい気持ち――

頭の中にラミエルの言葉がふと蘇った。それによって自分は今ここにいる。雷電はどこか気持ちが晴れ晴れとしていた。

 さてそろそろ出なければ。雷電はそう思うと機械の外へ出て部屋のドアを開けた。


「雷電幻夢、遅いぞ」


 部屋を出ると秘田が待っていた。顔には不満げな表情が広がっている。


「はぁ……私についてきなさい」


 秘田は呆れたように(きびす)を返すと歩き始める。その時の瞳は雷電を一瞥(いちべつ)したように見えた。


 光も届かない暗い廊下。その中をまた歩いていた。疲労のせいか体が鉛のように重く感じる。そんな体に鞭を打ちながら雷電は遅々とした歩行を続けていた。


 しばらくして秘田は近くにあった部屋のドアを開け、部屋の中に入る。雷電も彼女に続いて部屋の中に入った。ここは会議室だろうか。ホワイトボードと椅子と机しかない質素な部屋だった。


 椅子には何人か座っている。雷電が足音を立てると全員がこちらを見た。人数は雷電を含めて七人いる。その中で一人、一メートル九十センチ近い男がいた。それからもう一人細身の男がいる。あとは背格好がそれほど変わらない女性達だった。


「さて、会議を始めようか。」


 秘田がホワイトボードの前で話し始めた。年齢は確か五十代だったはずだが、白髪混じりの髪の毛でより老けて見える。


「南都は今、エラーによって危機に瀕している。あなた達は『アーク』として守ってもらいたい」


 熱のこもった演説を前に誰もが唖然(あぜん)としていた。今の状況などここにいる誰もがわかっているはずだ。


「そんな事言われても。私たちはただの人間よ」


 雅楽癒月(うた ゆずき)がそう言いながらメガネのブリッジを指で押げる。自己紹介では幻夢のいる隣の街で外科医として働いていると言っていた。


「そんな事は承知の上よ。でも決められたプログラムがあなた達をサポートするはずだから心配はいらないわ」


「……それは本当か」


 秘田の回答にある男が質問をぶつけた。か鍵本路月(かぎもと ろつき)。昔はプログラマーだったが今は訳あってエンジニアをしているらしい。彼の右目は前髪で隠れており、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出していた。


「えぇ。だから先程兵器との『同期(どうき)』をしたの。他に質問はないかしら? 」


 秘田がそう言うと一人の女性が手を挙げる。

彼女は自己紹介で白百合水羽(しらゆり みずは)と言っていた。話を聞くと小学校で社会の先生をしているらしい。


「わたしたちが持ってる武器はどれくらい解析が進んでいるの? 」


「実はほぼ進んでないの。今は天本さんが解析中よ。わかり次第あなた達に伝えるわ 」


 秘田の答えに一人の女性が頷き、口を開いた。


「天本さん大変だね。友絵も協力しないと」


 上地友絵(かみじ ともえ)。彼女は自己紹介の時にそう言っていた。彼女はアルバイトをしながらアイドルをやっているらしいがグループ名までは聞けていない。


「その部分は心配しなくていいわ。それよりも……」


 秘田は一人の男に視線を向けた。その男に雷電は見覚えがある。一メートル九十センチ近い巨体に気を取られていた。だがよく見たら彼はかなりの有名人だということに気がつく。しかしどんな人だったか思い出せない。


御剣鉄秤(みつるぎ てっぺい)。なにか質問はないかしら? 」


「特にないぞ。何があってもオレたちが戦うしか手がないのがわかってるからな」


 御剣は長い金髪をなびかせながら言った。


「そうよ。あなた達の持っている兵器がエラーを倒す鍵となる。何があっても戦ってもらうわ」


「そ、そんな……」


 白百合は絶句した。


「不安な気持ちは誰だって一緒だ。まぁオレ達七人が共に戦えば大丈夫だぜ」


 御剣はニコリと笑いながら言う。突拍子に知らない人から言われても信用ならないのが本音だ。しかし味方を全く信用しないのはかなり悲惨な結果をもたらすのは分かっていた。


「それよりも明日はあたし達はどうするんだ? 」


 今まで黙っていた朝火が口を開く。確かに雷電もその件については訊ねたかった。


「明日はそれぞれの位置で任務に着いてもらうわ。場所は明日伝えるからよろしく」


「あ、あの……」


 雷電は思い切って手を挙げた。


「何かしら? 雷電幻夢。」


「僕達の家族が無事なのか気になるんだ」


 雷電は兵器と同期する前から不安になっていた。このような異常事態に家族の安否を気にする場合ではないとは分かっている。しかし訊ねなければもう二度と訊くことができない気がしていた。


「それは分からない。まだ場が混乱しているのよ」


 秘田はそう言ってため息をつく。


「そうですか…………」


「でも大丈夫。運が良ければ――」


 秘田の言葉を遮るかのように立てかけてあった時計が午後九時の時報を鳴らした。

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