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マノゼノ大戦  作者: シュート
第1章:プレリュード
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第4話:システムに選ばれし者たち

 橙色の布団のようなふわふわとした空だった。上空には沈みゆく夕日が見える。それは金柑のように丸く、朽ちた建物に影を落としている。その中で雷電と朝火は歩みを進めていた。


「あっ! あの建物……だよな? 」


 しばらく歩いていると朝火が声を出した。完全に日が沈んで暗くなっているせいか建物の全貌までは見えない。近づいてみると2人の自衛隊員が門番のように立ちはだかっていた。


「おや、君たちか。入ってくれ」


 一人の自衛隊員は雷電達を見ると建物に入るように誘導する。雷電は頷くと朝火に続いて建物の中に入った。入るないなや白い壁と床がまず目に飛び込んでくる。そして真正面に1人の女性が待っているのが見えた。こちらが近づくにつれて相手の顔が顕になっていく。しばらくすると雷電達に気がついたのかこちらを向いた。


「二人とも待っていたわ。雷電幻夢、朝火詩音」


 秘田書佳(ひだ ふみか)は周囲を見回しながら言った。彼女は歴代二人目の女性首長である。首長選挙で最終まで残り、その座を勝ち取ったことは記憶に新しい。


「さてと、あなた達はこれから重大な任務を遂行してもらうわ」


「重大な任務……ですか」


 雷電はふと嫌な予感がした。彼女の口振りからしてこちらよりも事情を知っているように感じる。


「重大と言っても大したことではないわ。南都に現れたエラー達を討伐して欲しいだけよ」


「あの……それってあたしや幻夢以外ではダメなんでしょうか? 」


 青ざめている雷電をよそに朝火が訊ねる。


「ダメです。あなた達が南都を守る『最後の切り札』なのですから」


「何を根拠にそんなことを言っているのですか? 」


 その答えを聞いてもなお朝火は引き下がらなかった。


「根拠ですか。あなた達が『O(オー)システム』に選ばれた人と言えば……」


 秘田はそう言った後にハッとすると口を塞いだ。

数十年前、雷電が居る国の大半が大災害によって消え去っていた。そんな大災害から南都を守ったのはO(オー)システムだと言われている。


「秘田さん。キミはこの件についてどれほど知っているのですか? 」


「私は首長だから大抵の事は知っている。もちろんO(オー)システムの事もね」


 メガネ越しに秘田の瞳が映っている。その瞳の奥には奥深く何も見えない。どこか恐ろしさを孕んだように見えて雷電は震え上がる。


「あの……秘田さん? 」


 ふとどこかから声が聞こえる。ふり返ると一人の少女が立っていた。片手に金属質のバインダーを持っている。乱雑な髪にブカブカの白衣をなびかせていた。その姿はマッドサイエンティストを連想させる。


「天本さん。今は立て込んでるから後にして」


「先にしてもらわなければ後が詰まるのですが……」


「そう。それなら仕方ないわ」


 秘田は呆れたような顔でこちらを向いた。


「さてと、これから君たちには持っている兵器の『適合』行ってもらう。天本、頼んだぞ」


 彼女の一言で天本は軽く礼をする。そしてバインダーを持ち直すと口を開いた。


「はい。私が天本従美(あまもと つぐみ)です。二人とも今からご案内しますね」


 天本はにこりと笑うと右側にあったドアへ向かっていく。これから自分はどうなってしまうのだろうか。そんな疑問を抱えつつも雷電は天本について行った。



 暗い廊下を雷電達は歩き続ける。時折光っている非常灯しか頼りにならず、ホラー映画を連想させる雰囲気を漂わせていた。


「あの……天本さん? 」


 雷電は痺れを切らし恐る恐る訊ねた。


「なんでしょうか?何か聞きたいことがあれば答えますよ」


「僕達がO(オー)システムに選ばれたと秘田さんから聞きましたが本当なのでしょうか? 」


 そう聞いた時、突然天本の足が止まる。かなりまずいことを聞いてしまったのでは無いだろうか。そう思うと背筋が凍るような思いに囚われる。

 しばらくの間無言の時間が流れたがようやく天本が重い口を開いた。


「本当です。あなた達は南都を守る為O(オー)システムに選ばれました。かつての……ですけれどね」


 天本は言葉が詰まったのか再び黙り込んだ。しかし朝火がすぐに静寂を破る。


「かつてということは今はどうなんだ? 」


「今は人々に危機に晒しています。エラーが現れたのも全てあのシステムのせいなんです」


「それならシステムを止めてしまえばいいんじゃないか? あたし達を危険に晒すことはないと思うんだが」


 朝火の語気の強さに天本は萎縮した。


O(オー)システムを止めるのは最終手段にさせてください。あれは……南都の生命線ですから」


 天本は話を続けた。


「そうなる前に私は見つけたいんです。あのシステムが制御できなくなった原因を。それさえ見つけたら最小限の被害で済むかもしれませんから」


「だから探している間の時間稼ぎをして欲しいってことか」


 朝火の言葉に天本は頷く。


「事情は分かった。天本さん、頼みます」


 その言葉と共に雷電は自分も貢献しなければという思いに駆られる。しかし心の奥底にはまだ自分でいいのか不安が残っていた。

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