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マノゼノ大戦  作者: シュート
4章:勝利の方程式
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第2話:命をかけた決闘


「えっ…………?」


 雷電は困惑した。だがそれを無視するかのように男は黒い棍棒で雷電に襲いかかってくる。彼の武器と無限(インフィニティ)がぶつかり合って武器の擦れるような音がきこえた。


「貴様が美火を撤退させたという実力を見せてもらおうか」


 男はそう言いながらニヤリと笑う。こんな体格相手に互角に戦おうなんて無理に等しい。ここは変身も致し方ないと思いながら軽くいなすと距離をとった。


「ラミエル・メタモルフォーゼ! 」


 その言葉で謎の光が雷電を包む。男は光に惑わされず涼しい顔をすると棍棒を振り下ろした。


「くらえっ! サンダーストー厶! 」


 雷電は攻撃をかわして詠唱する。しかし男は軽々と避けるとニヤリと笑った。


「甘い、それ程度か」


 突然彼の近くで突風が吹く。雷電は勢いよく飛ばされ、バトルアーマに傷がついてしまった。


「くっ!まさかこの技は…………まさか!」


 雷電は立ち上がりながら男の方を見る。彼は突風に対しても微動だにしていない。


「ふん、強欲ごうよくの風だ」


 男は涼しい顔で雷電の頭を掴み、持ち上げる。そしてビルに向かって投げつけた。


 強欲ごうよく――

七つの大罪の強欲はマモンだと言うのは覚えている。天使の時でも金銀財宝を愛しており、人々に貴金属ききんぞくなどの価値を見出みいだしたという記述があったような気がした。



「うわぁぁぁぁぁっ! 」


 雷電は為す術なく投げられてビルに正面衝突する。ビルも崩壊して瓦礫がれきの山になっていた。

 雷電は何とか瓦礫がれきの山をき分けながら立ち上がる。水色のバトルアーマは所々壊れていて肌がき出しになり、一部は血が滲み出ていた。


「幻夢、幻夢! 大丈夫か! 」


 御剣の声が連絡デパイス越しに聞こえてくる。彼もまさかアークゼノと交戦するとは思っていなかったのだろう。声にかなりの驚きが入り交じっていた。


「大丈夫です。僕は……まだ戦えます」


 僕はそう答えると無限(インフィニティ)を構える。こんなところで死にたくはない。その思いが僕の体をつき動かし、戦う力を与えてくれる。


「ライトニングランス! 」


 雷電は雷の力をまとわせてビームのように男に向けて発射する。


「なっ!? 」


 まさかこのような攻撃を相手はすると思っていなかったのだろう。相手は何も出来ずにこちらの攻撃が直撃する。攻撃が当たったとはいえまだ自分が不利という状況はひしひしと感じていた。

 雷電は相手が回避されないように無限(インフィニティ)を稲妻のようにジグザグに動かして攻撃する。


「しまった!」


 どうやらあの時の東方と同じく体がしびれているのか動くことが出来ないようだ。こちらの攻撃が男の左胸を貫通した。雷電は少し有利感に浸り、無限(インフィニティ)を慣れた手つきで抜いた。


「幻夢! 気を抜くな! 」


 連絡デパイス越しに御剣の叫び声が聞こえる。その刹那、突風で雷電の体が宙を浮いた。気がつけばビルの瓦礫(がれき)に衝突する。雷電が起き上がった頃には男が目の前に迫っていた。


「俺に本気を出させようとしたことは褒めてやろう」


 男はそう言いながら勝ち誇ったような笑みを浮かべる。すると彼を包むかのように黒い光が現れる。

 しばらくして黒い光が消えていくと同時に巨大な針鼠はりねずみのような化け物が見えてくる。


「う、嘘だ……」


 雷電は絶句する。その横でエラー達が山のように湧いていた。まさに地獄絵図とはこういう事だろうか。そう思えるほど絶望的な状況に陥っていた。


「おい、幻夢。相当やばいことになってるぜ。ここは撤退を考えた方が良さそうだ」


 御剣の声が連絡デパイスを通して聞こえてくる。


「撤退はできませんよ。撤退したら第二南都大学が壊滅します。ここは僕が全て――」


「ダメだ。仲間を呼ぶまで粘ってくれないか」


「な、なんでですか! そんなの呼んでる間に僕がたえられなかったらどうするつもりですか! 」


 雷電は感情に任せて叫ぶ。正直これ以上耐えるのは至難の業だ。だが現状を打破するのは耐えることしか選択肢はない。その事を分かっていながらも雷電は御剣に当たっていた。


「ちょっと落ち着け。他の人も任務に行ってるし致命的な人員不足に陥っている」


「ならどうするんですか」


 雷電が訊ねると御剣はため息をついて答えた。


「一つ策がある。だがその前に聞かせてくれ。幻夢はオレに命を預けられるか? 」



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