表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マノゼノ大戦  作者: シュート
第3章:美しき傲慢の魔女
19/23

第6話:幻影の天使、生還する


「幻夢くん……幻夢くん……」


 朦朧(もうろう)としていた意識が段々と戻ってくる。体を動かそうとしても熱に侵されたような感覚が襲いかかり、上手く体を動かすことが出来ない。


 今……僕はどこにいるのだろうか。

雷電は目を開けると天井が視界に入ってくる。おそらくベットの上か何かに仰向けで寝ているのだ。


「幻夢くん、無事だったのね」


 雷電の横には雅楽が椅子に座ってこちらを見ていた。

 どうやら施設にある自分の部屋に戻って来たようだった。おそらく鍵本がここまで運んできてくれたのだろう。


「無事だ……。くっ…………」


 意識を取り戻したと同時に痛覚も戻ってきたのか体に激痛が走る。


「ともかく……無事でよかったわ」


 そう言うと雅楽は雷電の左腕に杖を当てて何か詠唱し始める。


「鍵本さんは……? 」


 詠唱が終わった雅楽を見て雷電は口を開く。彼女の詠唱の力なのかそれとも彼女の持っている武器の力なのか分からない。とにかく段々と火傷が癒えてくるのを感じた。


「彼は大丈夫よ。貴方が一番酷かったから。ラファエルの力があったからこそ何とかなったけれども……」


 そう言うと彼女は緑色の六角形の宝石がはめ込まれている杖を握りしめた。


 ラファエル――

四大天使の一人であり、人々を癒す仕事が業務だったというのは覚えている。しかしその中でもウリエルと同じく戦いが好きで、悪魔に対して苛烈な攻撃をしたこともある。


「雅楽さん、まさかアークゼノと交戦するとは思わなくて……」


 雷電はうつむきながら呟いた。その話を聞いた時、彼女の髪の毛がゆらりと揺れる。


「知ってるわよ。アークゼノの一人と戦ったんでしょ? 」


 雷電は頷くと彼女にアークゼノとの戦いの一部始終を話す。彼女は真剣に話を聞いた後に一言ぽつりと呟いた。


「アークゼノって何者なのかしら?私達と同じ人間なのかしら……? 」


 彼女にそう言われて雷電疑問に思っていた。東方と出会って相手は人間の可能性が高くなっている。

 しかしそんなことを確証できる証拠はない。結論づけるのは時期尚早だろう。


「それは僕にも分からないですね」


 雷電は苦笑した。アークゼノが生きていてはこちらがいる世界が支配されてしまう。相手が何者だとしても全滅させなければ死に繋がることくらい分かっているはずだ。


「そうよね。ごめんなさい、こんな話をして」


 彼女は雷電の顔を見て申し訳なさそうにうつむく。しばらくの間、無言の時間が流れていた。だがそれを打破するかのように突然部屋のドアが開いて誰かが入ってきた。


「幻夢……おい、大丈夫なのか? 」


 入ってきたのは御剣だった。こちら状態が相当気になったのだろう。彼は不安そうにこちらを見ると椅子に座った。


「は、はい……大丈夫です」


 雷電はしどろもどろに答えると御剣は笑顔でこちらの頭を撫でた。まさかそこまでされるとは思わず雷電は顔が赤くなる。


「幻夢がいなければ任務は失敗してたぜ。本当に助かった。感謝するぜ」


 雷電はドキリとする。まさか彼から突然お礼を言われるとは思っていなかった。

 しかしこの任務を達成できたのも鍵本といたからだ。正直雷電は彼を他所に自分だけが褒められるのは気に食わなかった。すると突然御剣の表情が曇り始める。


「幻夢に言い忘れていたことがあるぜ。実は今回の任務には少し特殊な事情があったんだ。聞きたいか? 」


「な、なんでしょうか? 」


 雷電は曇った表情を浮かべている彼に訊ねた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ