表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マノゼノ大戦  作者: シュート
第3章:美しき傲慢の魔女
17/23

第4話:美しき傲慢の魔女

「チッ、面倒だな 」


 鍵本は軽く舌打ちをすると女性の炎を避ける。


「“傲慢(プライド)(オブ)(バーン)”」


 女性が妖しく微笑んだ刹那、炎が追尾すると近くで爆発した。その隙を突くように鍵本が鎌を女性に向かって振り下ろす。だが斧で防がれて鍔迫り合いのような状況になってしまった。

 雷電は彼を助けたいと思う。だが先程の炎で行く道を塞がれていた。


「傲慢の炎……か。ふっ、力に自惚れてる貴様にはお似合いかもしれないな」


 武器と武器が擦れ合う音が響きながらも鍵本は余裕があるように言い放つ。そして軽くいなした後に足を払った。すると女性はバランスを少し崩す。


 傲慢――

確か7つの大罪の傲慢はベリアルということは覚えている。天使達に反逆を起こした天使の一人であり、幾多の人を欺いて堕落させたという話は有名だ。

 まさに彼女はベリアルを体現するような美しさと威厳を醸し出していた。


「ふふっ、そうかしら? ならばその力を身に焼き付けてやるわ! 」


 女性は斧で鍵本の首元を狙いながらも雷電が近づかないように炎で妨害をしかけていた。しかし鍵本は涼しい顔でしゃがんで女性の攻撃を避ける。そして鎌で彼女の胴を切りつけた。


 「貴様、斧は攻撃後の隙が大きいことを忘れているようだな 」


 鍵本は煽りながらも女性の血が付いた鎌を胸元を目掛けて切りつけようとした。しかし女性はそれを読んでいたのか攻撃を跳ね返す。すると彼の鎌が宙を舞い、雷電の目の前に突き刺さった。


 元々彼は煽るような人ではないのに一体どうしてしまったのだろうか。答えはわかっていた。おそらく彼も武器の力の影響を受けているのだ。


「鍵本さん! 」


 雷電は何とか炎を避けながら鍵本の鎌を拾った。だが炎から逃げてばかりで彼とは距離が離れていく。


 彼に武器を投げるとしても女性に武器を取られてしまう可能性はゼロではない。正直どうすべきか悩んでいた。


 雷電は鍵本に武器を届けようとする。その間彼は何も出来ずに女性にやられていた。雷電は彼を助けたい思いに駆られる。しかしこんな遠距離ではどんな届かずどうにもならない。

 彼の目の前に来た頃には直視できないほどボロボロの姿になっていた。


「チェックメイト。冥土の土産としてウチの名前を教えてあげる。ウチの名前は東方美火(とうほう みか)アークゼノの一人よ! 」


 気づけば火傷でやられている鍵本の前で嘲笑うかのように言い放つ。完全にペースは彼女の方にある。この状況をひっくり返すための策があればいいのだがそんなに都合よく出てこない。


 とりあえず仲間がピンチならばカバーしなければ。雷電は彼を庇うように東方の前に立った。


「鍵本さん!ここからは僕に任せてください! 」


 雷電はそう言うと東方の胴を目掛けて無限(インフィニティ)を突き刺そうとする。だが彼女の斧によって跳ね返されてしまった。


「ふふっ、あんたもあの男のように死にたいのかしら? お望みならばさせてあげるわ! 」


 東方は僕との距離を詰めた後に足を払った。平衡感覚を失った雷電はバランスを崩し転倒する。


火の輪舞曲(イグニッション)! 」


 立ち上がろうとした雷電を邪魔するかのように体が急に発火し始める。他の人たちも自分のように魔法かなにかで発火させたのだろう。雷電は奥歯を噛み締めた。


「勝てないくせに立ち向かうなんて無駄な勇気にも程があるよ 」


 東方は高笑いをしながら雷電を無視する。そして斧を握ると鍵本トドメを刺そうとした。彼の目はただただ高笑いしている東方を睨みつけることしか出来なかった。


 こんな状況をひっくり返すなんて無謀だったんだ。雷電は絶望しかけた時、突然無限(インフィニティ)から声が聞こえた。


「ここは致し方ないね。幻夢くん、『ラミエル、メタモルフォーゼ』と叫ぶんだ! 」


 声の主はラミエルだろう。ふと雷電は彼の命令に従っていいのかと不安がよぎる。だがこの状況を打破するには従うしかないのだ。

 雷電は体が燃えながらも立ち上がり、無限(インフィニティ)を掲げると叫んだ。


「ラミエル、メタモルフォーゼ! 」


 雷電がそう叫んだ時、無限(インフィニティ)にはめられていた水色の宝石から謎の光が溢れ出しす。そして一気にその体を包み始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ