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マノゼノ大戦  作者: シュート
第3章:美しき傲慢の魔女
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第1話:獄炎事件を解決せよ

 それから数日後。雷電は基本的にエラーを倒す任務に奔走していた。何体倒したかなど覚えていない。雷電自身も途中で数えることをやめたことは覚えている。

 無限(インフィニティ)は人の感覚も鈍麻させているのだろう。日が経つ程にエラーを倒すことへの罪悪感も薄れていた。


 正気は狂気。今の状況を(かんが)みるとこの言葉がピッタリとくる。

 このまま機械のように過ごす日々が続くのだろうか。雷電はエラーを倒しながらそう思っていた。



 プルルルルルル…………プルルルルルル…………


草木が眠りへとつきはじめる未明頃。電話の音と共に雷電は目を覚ます。こんな時間にかけるとは一体誰だろうか。そう思いながらも通話ボタンを押す。


「もしもし…… 」


 声の奥底に眠気が沈む。このような時間にかけてくるのは緊急以外ないことは分かっていた。


「もしもし、私よ。至急図書館にある会議室に来れないかしら? 」


 電話の主は秘田だった。かなり緊迫した状況が頭の中に浮かび、雷電の目が段々覚醒していく。


「分かりました。すぐ行きます 」


 ここから図書館まではかなり遠いが、頼まれごととなったら断れない性格だった。

 しかし彼女に呼ばれた理由は何だろうか。雷電は一抹(いちまつ)の不安と疑問を抱えながら部屋のドアを開けた。



 硝子(ガラス)を散りばめたような星明かり。それを頼りに雷電は夜道を疾走した。息が上がり、額から汗が流れ出る。だがそんなことはどうでもよかった。秘田の言葉の答えが知りたい。そんな気持ちが体をつき動かしていた。


 そしてようやく図書館の中にある会議室へたどり着く。そこには一人の男が秘田の前に立っていた。

 セミロングの黒髪とかなりほっそりした体型。この姿は鍵本で間違いない。


「幻夢、来たのか 」


 彼は心地の良いテノールの声でぽつりと呟く。唯一見える左目が雷電を鏡のように映し出していた。


 サリエル――

雷電が修復プログラムを訊ねた時にそう言っていた。サリエルは神の命令という異名を持つ。

 全てを見透かされそうな気を薄々感じながら秘田に目を向ける。彼女は書類に目を移していた。


「秘田さん。俺たちをなんのために呼んだんだ」


「コホン。最近コロニー内で謎の発火が起きる事件があったことを知っているかしら? 」


 鍵本の疑問の答えに空気がシリアスへと変わっていく。コロニーというのは一般人達の避難区域である。第一から第十四まであり、場所は競技場や公民館など様々だった。


 雷電もコロニーには一度行ったことがある。その時に言われた自衛隊員の言葉は心に残っていた。


『ここにいる人たちはあなたを頼りにしています。だからこそこの悲劇を早く終わらせてください』


 エラーを駆逐しなければ。幻夢はその思いに駆られたことはよく覚えている。


「――今のところ死者は十人、重傷者は二十六人出ている。どう考えてもおかしな数字だという事は分かっているはずよ」


「だからこそ僕達に調査して欲しいと言うことですか? 」


 雷電は食い気味に訊ねると秘田は頷いた。


「いや、相手の流れも分かっているからそこに向かうだけでいいわ。これを見てちょうだい」


 秘田はそう言うとホワイトボードを指す。会議室に入った時に少し気になっていたものだ。コロニーのいくつかバツ印がついていた。そして第五コロニーに青い印が着いている。


「あなた達にこれから第五コロニーに行って欲しい。これ以上見過ごす訳には行かないわ」


「はい! 僕は行きます! 」


 雷電は声を張り上げ、自身を奮い立たせる。


「さすが先鋒ね。さてと、あなた達にこれを渡しておくわ」


 秘田はそう言うと雷電と鍵本に何かを渡した。見た感じただのインカムに見える。


「これは連絡デパイスよ。指示は御剣に任せてるから連絡を怠ることがないように」


 まさか御剣も裏で動いてるとは思わなかった。インカムをつけながら雷電はふと思う。そしてつけ終わると秘田が言い放った。


「あなた達の行動が運命に関わってくる。人々を守るため任務を遂行してきなさい」


 ここから戦場に行く。雷電は彼女の声を聞きながら唾を飲み込んだ。

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