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マノゼノ大戦  作者: シュート
第2章:初めての任務
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第6話:初任務の終わり

「お疲れ様。予定よりもかなり遅れたらしいけど何かあったのかしら? 」


 秘田は御剣と雷電を見比べながら口を開く。


「あぁ。実は――」


 御剣は呆れたように淡々と事情を説明する。その横で雷電は謎の光の事を思い出していた。あの時咲那に会わなければどうなっていたのだろうか。正直そんなことは考えたくなかった。だが彼女のおかげで助かっている事に偽りはない。


「あの子をよく見つけられたわね」


「へ? 」


 雷電は困惑していると秘田は口を開いた。


「あの子、天本さんの妹なのよ。彼女も保護の対象だったけど見つからなくて……とにかく良かったわ」


「なるほどな。そんなことよりも秘田さん、これを聞いてくれ」


 御剣はそう言うとボイスレコーダーを机に置く。それを見た秘田は(いぶか)しげな顔をすると再生ボタンを押す。

 最初のうちは彼女も何気なく聞いていた。しかし謎の光が襲った部分から徐々に彼女の顔が青ざめていく。雷電も聞いていて気持ちの良くない感覚に襲われていた。


「……なるほど。こんなことがあったのね。これは……由々しき事態だわ」


「あぁ、そうだろ? 驚くべきところは相手が人間だったってところなんだぜ」


「御剣さん、相手は人間かまだ確認は取れてないですよ」


 御剣の言葉に雷電は静止する。


「じゃあなんだって言うんだ? 」


「まだ分かりませんよ。こんな異常事態だからこそどんな可能性もあるような気がしています。相手が異世界の人でも人間に擬態している宇宙人とかですね」


 雷電の言葉に御剣は黙り込んだ。


「アークゼノ……一体彼らは何者なのかしら」


「秘田さん、そんなことは考えなくていい」


「だからってアークゼノが話せば分からない相手だとは完全に言えないわ。話さえ通じればまだ――」


 秘田が反論したが、彼女の話を遮るかのように御剣が鋭く指摘する。


「まず……アークゼノと話が通じると思うか? 」


 彼の指摘は秘田と雷電の心に突き刺さった。

自分はアークゼノと戦わなければならない。その気持ちが氷となって雷電の心を侵食していく。


「そう……ね。会議を夕食の三十分後に開きましょう。あなた達の情報をみんなに伝えるためにね」


「うへぇ、また会議かよ。面倒臭いぜ」


 御剣は辟易(へきえき)したように秘田を見る。


「はぁ……御剣、あなたはリーダーよ。これから私の代わりに指揮を執るのにそんなんでいいのかしら」


 秘田は呆れたようにため息をつくと話を続ける。


「この任務は元々御剣じゃなくて朝火に任せるつもりだったのよ。でもリーダーであるあなたが前線を知らないまま指揮を執ったらダメだと判断した上で任せたの」


「……秘田さんは特殊部隊があぁなることは予想してたのか? 」


 御剣の疑問に対して秘田はうなった。


「正直予想外ね。でも御剣が指揮をミスった場合特殊部隊以上の損害が起こる事が収穫ってぐらいかしら。あなたはこれからアーク全体の命を握って貰うことを分かって欲しいわ」


「ぐっ……」


 御剣は歯を食いしばった。まさかここまで自分が責任を負わなくてもいいと思っていたのだろう。正直に言うと彼にその責任は重すぎるように感じた。


「秘田さん、アークの指揮を御剣さんに任せて君は何をするんですか。あなたが指揮をして僕達は――」


「あなた達は大人よ。子供じゃないんだからそれくらいやれるはずよ」


 雷電の言葉を遮って秘田は冷たく言い放った。


「だとしても六人の命も一人で抱えきれないぜ」


「ならあなたが抱えれるようにするまでよ。拒否権はないわ」


「そんな無茶な」


 御剣はやれやれというように肩をすくめた。確かに無茶な命令だとは雷電も思っている。しかし秘田の言う通り拒否権などはない。


「後で資料を渡すわ。そして御剣は会議後ここにまた来てちょうだい」


「僕は……いいんですか? 」


 雷電は恐る恐る訊ねた。


「ええ、雷電はいいわ。でもあなたはこれから先鋒としてエラーやアークゼノに立ち向かえるように精進するのよ」


「先鋒とか役割はどうやって決めてるんだ? 」


 そう言えばそうだ。

御剣の疑問に思わずハッとした。自分は先鋒、御剣がリーダーなら他の人はどうなのだろうかと気になってくる。


「システム修復プログラムを解析した結果よ。それから適正を考慮して役割を割り振ってるわ」


 秘田の回答に御剣は頷く。明確な理由があるならば納得できる。だが雷電は自分が先鋒であることに不安を感じていた。


「そう……か。オレは失礼するぜ」


 御剣はそう言うと部屋を出ていった。雷電も彼と同様に出ようとして秘田の方を向く。彼女は書類を見ながらため息をついていた。

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