表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご都合主義なんてありません  作者: よーや
第一幕 一章~異世界転生の場合~
8/54

異世界転生の場合┈┈case-6


よろしくお願いします。




自分で言うのもなんですけれども、ワタクシはとってもお金持ち。買えない物なんてありませんの。


自分で言うのもなんですけれども、ワタクシはとっても万能超人。出来ない事なんてありませんの。



…自分で言うのもなんですけれども、ワタクシはとっても孤独。密かな楽しみはあれど、一人寂しく日常を過ごしておりますの。


お父様もお母様も、毎日お仕事やら何やらでお忙しいので、ワタクシが会えるのは凡そ一、二年に一度有れば良い方ですもの。


ご友人?そんなの一人だっていた試しがありませんの。

誰も彼も皆、ワタクシの顔色を伺ってるんですもの。


何だって持ってますの。何だって出来ますの。

全てを持った恵まれた人生だと、自信を持って言えますわ。


…同時にワタクシが心から欲しい物には、どうしても手が届かないのですけれど。



お父様、お母様には小さな頃素直に寂しいと、そう伝えた事もございますのよ?

その時の一度だけですわ。


尊敬して止まないお父様とお母様の罵り合いを見て、お二人を醜い、悍ましいと感じた事は。


それ以来ワタクシの中で感情を出す事は、完全にタブーとなりましたわ。






だから良かったのかもしれませんわね。



我が財閥のせいで倒産した等とおっしゃる方の、見当違いな逆恨みの結果とはいえ。



ワタクシが殺される事で、もう寂しさを誤魔化さずに済むのなら。

ワタクシが殺される事で、もう二度とお父様とお母様が醜くならずに済むのなら。



良かったのかもしれませんわね。



…良かったのかもしれませんわね。



……。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





あら?

目の前にとっても素敵なお爺様がいらっしゃる。

ワタクシ、小さな頃にお爺様が亡くなってから、実は所謂枯れ専でしたの。


…こんな些細な事でも言える様な、気心の知れたご友人すら、居ませんでしたけれども。



お話をして曰く…お爺様は神様だそうですわ。

そしてワタクシは異世界に転生出来るそうですの。


…べ、別に素敵なお爺様が仰ってるからと、無条件で信じた訳ではないですのよ?

色々と考えた上で信じるに足るとですね…!


…コホン。


…恐らくワタクシ、素敵な素敵なお爺様に会ってはしたなくも、興奮してた様で…。

初対面にも関わらず、ついワガママを言ってしまいましたの。


乙女ゲームの世界に転生させて欲しいと…!


え、似合わない?

似合う似合わないなんて、そんな事どうだって良いんですの。



…乙女ゲームの世界でしたら、所謂恋バナを出来るような、そんな同性のご友人も出来ると思ったんですもの。

…そう思い密かに嗜んでいたのが、乙女ゲームなんですもの。


殿方なんて心底どうでも良いですのよ?

淑女にとって殿方とは選ぶものではなく、選ばれる事こそ尊ばれし事なのですから。


…チラッ。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈






素敵な素敵なお爺様のご好意により、ワタクシは乙女ゲームの世界に転生させて頂きましたの。


この世界にワタクシは、国を守護する聖女として祭られる家系の、令嬢として生まれ落ちましたの。


厳格で在られながらもお優しいお父様。

凛とした佇まいに包容力を併せ持つお母様。

そしてお転婆ながら、誰もに愛される愛らしさを持つ妹。


婚約者様もおりますのよ?

学園で過ごす内にワタクシをお見初め頂いた、次期国王様となるお方ですの。

現国王様をお見受けする限り、きっと将来は素敵なお爺様となる筈ですわ。


肝心の同性のご友人。

乙女ゲームでの所謂取り巻き、という形にはなってしまいましたが、それでもちゃんと出来ましてよ?


前世の、友人を騙る者達に比べれば、よっぽど良い関係を築かせて頂いていますもの。


孤独なんて感じない。

感じる暇も無い様な、濃密で素敵で幸福な毎日。























その幕切れが断頭台の上だなんて想像が出来まして?


ワタクシにとっては愛すべき妹。

ですが、その妹にとってワタクシは、先に産まれただけで全てを掠め取っていった憎むべき相手だったようですの。



気が付いた頃には有りもしない、数々の悪事と不貞の証拠を並べられ、あれよという間に裁判にかけられましたの。


その証拠というのにもどうやら、ワタクシが信頼の置いていたご友人達の影がちらほらと。


…信じたくはありませんけれどね。



前世で経験し得なかった醜い嫉妬という理不尽が。


国家反逆罪なんて大層なものとしてワタクシの身に擦り付けられ、ギロチンの刃として牙を剥くなんて。



















想像出来なかったワタクシの、前世は恵まれすぎていたのかしら。









--------------------















転生例 No.6 …学生:F

転生先 …RPG要素有りの乙女ゲームの世界

死亡原因 …多量出血、それに伴う酸欠、脳への強い負荷



一言…お嬢様といえば「オーッホッホ」みたいな笑い方だけど、実際真面目にこの笑い方してる人っているんですかね?


順次更新予定。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ