表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

門限(桃花)

作者: 狼花

 ・・・  うわー 19時だ…… ・・・

Bookoffで漫画を読んでたら熱中してこんな時間になってしまった。

我が家の門限は18時。

これをすぎると家に入れて貰えずに締め出しの刑になってしまう。

最近日が落ちるのが早くなった。周りは暗くなってしまい車のライトやお店の看板の存在感が昼間よりも際立っている。

・・・帰っても 閉めだされるんだろうな・・・


 家の鍵を私が持っていてもあちらにはチェーンという攻略不可能な防壁がある。

家のドアを開いてもチェーンによりわずかな隙間だけしか開かないのである。

マンションの一階が自宅なら裏から回ってベランダから侵入という作戦が取れるのだが残念ながら上の階のため、その手を使うには高度なロッククライミングの技術が必要だ。

私は自転車を漕ぎながらこの防壁の突破法を考えている。

・・・と言っても考えられる手は1つしかないけどね。・・・

      

          誠実な謝罪による母との交渉


 それも情状酌量の余地が見える形にして今日は仕方がないわねという形にしたい

許してもらったという流れを作ってお母さんの怒りを回避したい。

そのための言い訳を考えている。

どうしようかな。  

・・・警察の人に職務質問されたことにしようかな、いやさらに話が面倒になるか・・・


 チャンスはお母さんがドア越しに怒ってくる一度切り。

失敗すれば反省しなさいと言われこの寒空の中、震えながら30分ほど待たないといけないのである。

自転車を漕ぎながらお母さんへの言い訳を考えているとふと頭をよぎったことがある

・・・  思ったけど締め出しも立派な虐待だよね  ・・・


 こんなに寒いんだから家に入らないと風邪引いちゃうよね

作戦変更。素直に謝るプランから寒さをアピールした、か弱い女の子プランに変更しよう。

きっとお母さんも諦めて家に入れてくれるはず入れてくれないなら虐待だと騒いでやろう。

私ってホントにもうピンチに強い。

私はこの秘策を思いついたことで喜んで自転車を飛ばして帰る。


 マンションの駐輪場に自転車を直し

家に着くとあんのじょうチェーンがかけられていた。

ドアの隙間からお母さんの顔が見える。

「何時だと思ってるの」

「ごめんなさい、寒いから入れて欲しいな」

「しばらくそこで反省しなさい」

・・・ やっぱり、そうきたねお母さん  ・・・

予想どうりのお母さんの対応だ。

「でも、お母さんもう寒くて手がこんなに冷たいんだよ」

私はわずかに開いたドアの隙間に手を入れ、お母さんに触ってもらう。

「あら、ほんとね」

お母さんも納得してくれたようだ。


 バタンとドアが閉じる。 ドアを閉じてチェーンを外してくれているのだろう。

・・・  おお、交渉成功!! やったー  ・・・


 しかし、なかなかドアが開かない。

なぜだろう。疑問に思いしばらく待つとやっとドアが開いた


  けれどチェーンはつけられたまま。

ドアの隙間からは私のコートと手袋が出てきた。

・・・  どうゆうこと?  ・・・


 「え、お母さん。家に入れてくれるんじゃ」

「誰もそんなこと言ってないわよ。寒いからコートと手袋を着て反省してなさい。じゃあね」

バタンと無情にもドアは閉められた。

 「そ、そんなお母さん。入れてよー(ドンドン、)」


  ・・・  やっぱり門限は守らないといけないか ・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ