感謝
女子バレーを見た後、「古賀紗理那選手のパンツがパツパツ過ぎる」という動画を見ました。
普通でした。釣られました。
石井優希さんも好きです。迷いますね。
「俺的にはこれしかありませんが、付け加えるのはありです。
残り4人の役割がうまく表せれば」
「ザンとユウが一緒に戦えることが一番だいじなのですよね。
他にいいのがあればみんな、今日中に言うなのです」
名前のみというのは変則的だが、パーティー名に禁止事項はない。
ロロが悔しそうにまだ色々メモしながら考えている。
他メンバーも一応考えている感じだ。
「行きたいところがあるけど、もう出ても大丈夫?」
遠慮がちにザンは尋ねる。
アンテのせっかくの工作などの努力を無駄にしたのだ。
半分イジワのせいかも、と考え打ち消す。
「おおっぴらでなければ大丈夫なのです。
ドーラにきた高名な司祭にはなしつけたから、そのへんはおーけーなの」
なるほど、その司祭に治療を受けたことにしたのか。
オーケーというのも仲間内の共通語になった。
そのうち博多弁で語り合えるかも(博多出身じゃないが)。
「ギルドの混雑が落ち着いたらにします。
ルナノ、実験つきあって」
もちろん念話の実験だ。
今夜のことを必死で考えないようにする。
間もなくだと思うと、爆発寸前かもしれない。
実際は理性で抑えて平然としているが・・・。
朝食を終え、ユウ達は隣室へ。
飯のたびに一番実感する、手があり動くこと。
こんなに幸せでいいのだろうか。
ユウだけでなく、ルナノにも・・・ウインドにも、全ての人に恩は返そう。
今日はルナノ側からの送受信――主体はザンだが――も含め、できるだけ多くのパターンと個人への集中方法解明を心がける。
アリアの突然の念話受信で、ある程度危険をはらんでいるのは分かった。
そろそろいい時間か。
獣人らが噂を聞きつけて待っているかとも思ったが、Cランクから更に上を目指しているらしい彼らは忙しいようだ。
とりあえずは人目を避けつつ、ひとりでサイクロの装具屋へ向かう。
「おお来たか、調整はおそらくほぼ無いと思うが。
・・・金属疲労のトラブルか?」
「まだおおっぴらにはしてないですが」
外から覗ける窓もないので、ザンは両手を出して見せる。
「まさかっ、治せたのか」
「ええ、話せないことも多いですが。
サイクロさんにはこの報告と頼みたいことがあります」
ザンは義手と装具一式を作業台の空いた所に取り出す。
「おい、魔法袋は簡単に人に見せるもんじゃないぞ!」
「オレを誰だと思ってるんですか・・・。
ていうか、信用してるサイクロさんだから問題ないです」
「まあ大体やりたいことは分かるが」
「はい、もうオレには邪魔だし不要なものです。
でも、希望を失った誰かにとっては役に立つものです。
義手はもっと細かく改造して誰かに使ってもらうのもありです」
「そんな勿体ねぇことができるかよ、英雄の使ったもんだ。
国宝もんだ」
「あはは、国宝は言い過ぎですけど・・・。
今日はまだおおっぴらにせず、明日から宣伝に使ってもらって構いません」
「宣伝にはしねぇよ、飾るけどな。
俺の宝もんだ」
「はい、これからも多くの人を助けてあげてください」
サイクロは作業用の前掛けでゴシゴシ顔を拭っていた。
「ああ・・・少しでも・・・役に立てたんなら嬉しいよ。
余計な詮索はしねぇ・・・ありがとうな」
ザンは「それじゃ」と軽い調子で扉を開け、店を出た。
もらい泣きしそうで危なかった。
サイクロさんには真っ先に報告したかったが、もう急ぐところは無い。
宿に戻ってからの、夕食時の会話から気合を入れよう。
そういや、食堂に行くこと自体久々だ。
とりあえずはまずギルドに戻り、ユウと情報交換が必須だ。
「念話だけど、【勘】で何か分かった?」
「【無】で集中も使ったけど、そしたらリリアにも届いたの。
あとは、アリアにも同じ様にピントを合わせてもらったら交信できた」
「うん、アリアは特異体質というか特別だからね。
そのくらい?」
「うん、何かつかめそうなんだけど、まだね」
「じゃあ、ルナノとの近距離集中実験の結果だけど。
えーとその・・・肉体的にも精神的にも結びつきの強い人が交信し易い。
イジワからも受信はできるけど、安定しなかった。
チャンネルと言うか、そのピントを個人個人で設定出来ればいいんだけど。
あと、ルナノにオレから送る場合」
「えっ、もうそんなに出来た・・・分かったの?」
「うん、後でそれは説明するよ。
送受信共に主体はオレになるけど、最初の呼びかけは集中してなんとか出来る。
ユウのほうが能力で簡単なはず。
で、呼び出し状態をキープしてこちらに集中してもらう。
こちらからの、ピントか、合わせ方がもっと安定すれば届きやすいはず。
オレがとにかく、そのチャンネル設定というかピント合わせが確実なら、相手に集中のコツを念話しながら伝えることで上達する感じ。
今から直接念話でその辺は共有しよう」
「なんかきっかけがあったの?」
「実は、多重思考を数だけは増やしまくってたから、その一部を『自動化』したんだ。
PCとか、あっちで流行りのAIもどきみたいな。
それで、念話もだけど、剣の動きやゲージの変化もデータ取ってるから」
「うわー、やっぱり工夫次第ってことね・・・。
わたしも【無・勘】磨かないと」
「まあ、ゲージで先越されたから。1勝1敗かな」
「念話じゃなくても意味がわからないなのですなの!」
興奮するとやっぱり語尾が変だ。
アリアこそ普通にしゃべって欲しい・・・。