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ザンユウ

イジワが馬を繋ごうとしていた。

庭の端に棒が距離をおいて並び、輪っかが付いている。

自家用の馬車で来る客のことも考えてのことか。


「あっ、つながないで。

ほどくの大変そうだから」


「リュリュに会って行かないんです?」

「ゆっくりあらためてごあいさつとかはしたいし。

明日おむかえはいつもの出勤時間でいいですよね?」


「いや、8時に出てみんなと朝食にしたい。

正直、家でゆっくりしたいし」


「じゃあ、ローブ着てこのへんで人のいなさそうなとこにいてください。

8時でりょうかいです」



明かりが見え、料理しているらしい匂いもする。

ユウは安心して、馬とともに消えた。

乗らずに手を触れただけだ。



ギルドの近辺は人が多い、【聴】で人のいない路地に修正、転移。

馬が動いてくれない。

ただでさえユウは馬など扱えないのに、何か怯えているようだ。


もしかしたら、と馬の意識に集中してみる。

見えた、馬の位置情報を確認する高度な記憶の一部が混乱している。

それと、メス馬のなんやかんやアレな記憶も混じっている。


落ち着かせるために、アレな記憶を繰り返し真似して再現して送る。

人にもやったことがないのに、出来たかわからないが・・・馬はもっと興奮しだした。


どうしようもないので、例の場所に跳ぶ。



「おおおっ、ユウさん・・・だな。

なぜ馬が・・・発情しているのでは??」

馬とユウが現れたのは、ドーラのマスター、ムダラの部屋だった。


「すみません、どうしようもなくて」

「リュリュは・・・もう帰ったんだったか。

まず、馬をどうやって外に出すかだが」


ユウは再び周囲を探って裏門前に誰もいないことを確認。

「裏門前で待ちます!」

馬とともに消えた。


使いが来るかと待っていると、ムダラが直接来た。

説明が簡単で済む、助かった。


ムダラは“魔断の風”を送ってきた時に会い、アリバイ作りにも協力した。

今日もイジワとともに挨拶は済ませてある。


「明日からはイジワの家に直接なので大丈夫です、ありがとうございました」

「ああ、何でも無いことだ。

ザン君たちをよろしく頼む!」


でかい馬フンが落ちていた。

危なかった。





ゴザに戻ると、弁当が届いたところだった。

いつもわざわざギルド長直々に弁当を応接に持ってくるのだが、一緒にいる事務員は事情を知るサエラだ、問題無い。


「ザンもイジワも勝手に表から出入りしてたなのですね。

ちゃんと説明しなかったのもわるかったなのですけど」


「ごめん、シンヨルの事で居場所を隠してるってのにとらわれてて。

イジワは別に治療もしてないしな・・・」


「まあ、頃合いだからもう宿にうつってもいい感じなのです。

そしたらあしたからお風呂にもはいれるのです。

ザンも、お知り合いさんにもほかのひとにもうまく話すのです」



夕飯を食べながら、当然パーティー名の話になる。

イジワ抜きだが、彼の方でも考えてはいるだろう。


「“魔斬の両腕”ってオレのためにつけたようなもんだから、それだけは変えようと思ってるんだ。

統合とか別に、いいのがあったら色々参考にさせてもらうかも」


「ザンとユウさん・・・ユウは元々の仲間だから、それに因んだ名前がいいと思う」

ルナノ含め皆が、よそよそしいので『さん』付けで呼ばないよう約束したばかりだ。


「6人が一緒になるのは当然として、うちはまだ地道にやりたいですね。

金魚のフンでも構いません」

「茶さん、そこまで言うとイヤミです」

ユウの今言った『茶さん』だけは全員そのままだ、茶では変だ。


弁当を膝に載せ、茶さんの足に手をのばすユウ。

アリアとリリアのふたりが全く正反対の意味で手の動きを監視していた。

全員いるのに、手を繋ぐくらいに決まっているが・・・。


全方向見えてしまうザンは、思わず【視】をオフにする。

血走った二人の目が怖い。

ユウの手元をこっそり見てしまう自分も嫌だ。



「アリアと私はアンテとして、メンバーではなく補佐役というのも有りではないでしょうか」

「さすがリリア、あたしもそれは有りと思うなのです!」


「いいえ、一緒がいいです! どうせ離れませんから!」

ユウが必死で言った。

大事な巨乳とロリババア要素、じゃなくて女神様が会わせてくれた縁なのだ。


「じゃあそのへんはイジワがいいならそうするとして、あとはパーティー名だけなのですね」


一同うーんと考えるがすぐには出ず。


それぞれ他愛もない事やパーティー名の相談など自由に話していた。

ザンは会話しつつ、【多】の自動化をやっている。


PCなら考えてキーボードで打って、ミスを修正したりするのだが、脳内では直接全て組み立てやテストできるのであっと言う間。

滅茶苦茶複雑な手順が数種、既に組み上がって動いている。


1つ目は、木剣の動きに関するシミュレート

2つ目は、【斬】のゲージに関する可能性、変化も監視

3つ目は、【調】の可能性、データ収集


多分、完全には程遠いので都度修正する。


全員が、ある意味風呂より優れているユウの清浄の癒やしを受け、床に就く。

でも、やはり風呂に入りたい。



~~~~~~~~~~~~



今日は夕方から宿に戻る。


ローブを着たイジワが戻ってきた。

昨日すでに決まりかけた、シンヨル+新パーティー6人の件を話す。


「ああ、俺の考えてた事と同じです。

いいと思いますよ。

名前も考えましたが・・・



“ザンユウ”でどうでしょう」

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