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課題

説明が分かりにくい箇所があるかも。

ご意見もログイン不要で受け付けていますので、ご遠慮無くどうぞ。

(投稿フォームは最新ページ下です)


手紙を見たアリアは言った。

「うん、じゃあこの通りにするなのです。

誰にも言わずふたりで決めるなのです」


「誰にも?」

「確かにそういえばそうですね。

オレ達ふたりにしか分からない事ですね」


「でも、そのあいだ何もおきないって保証は無いなのです」





イジワとザンは森を走っていた。

まだ両腕はマントを掴み、周囲に見せなかった。

というか、時間的にギルドに冒険者はほぼいない。


久々の、ゴザの例の練習場を目指す。

イジワも恐らくレベル70だろうが、ふたりとも超人的に速く走れるわけではない。

流石Aランク、と思えるくらいには速い。


ルナノは大事を取って休暇だ。

自分達も焦るばかりでなく、多少休むべきだろう。

魔物を倒した翌日の治療日に休んだだけだ。


獣人達と話もしたいし、ロロ(ろろ)の弓も含めショッピングなども。

そして・・・ルナノの体に触れたい。

勿論、いやらしい意味だ。



木剣は既にイジワが買ってきていると聞き、すぐに出掛けたのだ。

ブランチを摂っているので、昼飯は無しだ。


イジワが片手剣サイズを渡す、もう一本も。

「なんで2本?」

「何言ってんだ。

長さはこれでいいだろ、斬りが目覚めたんだし元々このくらい斬ってたし」


言われて初めて気づいた。

多重思考ってなんだっけ・・・。


見た目は短剣だったが、片手剣の長さの“纏い”で完全にやってた。

二刀流。

一緒に戦った全員がザンの二刀流に気づいていて、本人は今気づいた。


オーガ戦では長くしてから片方しか使っていない。

もし腕が斬られなかったらその可能性に気づかなかったかも、と変な感覚に捉われる。



なぜ気付かなかったかと一応振り返る。

確かにジェギとの対練でも、ベストな動きを目指して両肘の木短剣を動かした。

実戦では意識せずそのまま最大に近い片手剣サイズを2本使った。


単に、あまりに当然だったというだけだ。




イジワは“神速”を使わず剣を振る、恐らく控えめだ。

互いに足を止めての打ち合いだ。

体格やリーチはほぼ同じくらいなので、まずはとにかく真似る。


手加減のおかげだが、そう喰らわずにいける。

速度が速まると、途端に困惑した。

「ストップ!」


ストップは日常語に近いので通じる。

「剣がぶつかって・・・基本からやらないとダメだ。

多重思考で基本を身につけるまで大変そう」


“纏い”なら剣同士がぶつかることは無いが、技能向上に繋がりそうなのでやってみる。

何より、木剣が自由に使えないとイジワとの練習ができない。



~~~~

ザンは、動きの修正選択と実証・練習を繰り返しながら、新しいことも考えていた。


これまで【多】では、視界に入る全てからあらゆる情報と予想を引き出すことに努力してきたが、方向を変え脳内シュミレート出来ないかと。

『イメージトレーニング』の自動化だ。



ザンはPC、というよりコンピューターが好きで小中学生から『プログラミング』をやっていた。

(元の世界の)最近は授業で取り入れるらしいと聞いた。



プログラムというのは、ぶっちゃけ運動会などのプログラムと似た予定表だ。

要するに、順序を組み立ててPCや機械にやらせる事。


 1ある動きを脳内で再現


 2うまくいけば次に進む、ダメなら修正して1に戻る


 3次の動きを考え1に戻る


滅茶苦茶単純化したが、PCはこの様に記憶された行程を無限に繰り返す。

動きの部分が言葉であったり、何段階も条件をつけたり。



ザンの蓄積した経験から、動きを選び脳内で試行していく。

これを【多】の空き部分で続けるのだ。

実際やって無理なら、これ自体また修正したり増やせばいい。



本物のAI{人工知能}が出来ればいいが、無理である。

元の世界でAIと呼ばれるものは、実は知能でもなんでも無い。

先程のような行程を、多くのデータと条件で実行する模倣ロボットである。


本当のAI{人工知能}ができるには、技術的特異点というか第二の産業革命というか、『シンギュラリティ』と呼ばれる一種の大異変が必要なのだ。


何か、どうでもいい知識だ・・・。

~~~~



別思考で考えつつ、ザンは2本の剣をスムーズに振るう訓練をイジワと繰り返した。



日が暮れてきた。

ギルドに人が増える時間だ、だが大丈夫。

(ユウ、ちょっといい?)


(もしかして、帰る手伝い?)

イメージも読まれている気がするが別にいい・・・。

(頼む、混んでそうだし窓に激突も嫌だし)


(とっつぁん、おやすいごようでさぁ)


数秒後、ユウ出現。

今日はイジワを家に送るはずでありザンは聞く。

「このまま先にイジワ送っていく?」


「いや、ちょっとだけなんか話があるって。

いったんもどるね」




シンヨルと“魔斬の両腕”とユウ・アリア・リリア全員集合。

8時には2時間と少し早いが。


いきなりアリアが話を始めた、戻った3人は床に座る。


「今は3パンティー・・・違った3パーティーに別れてるなのよね?

統合とか、改名とか考えていてほしいなの。

本格的にはあしたイジワさんが愛の巣からもどってからでいいなのです」


「一緒にはいたいですが、シンヨルは恋愛禁止だから、そこは別々で」

「そんなルール変えればいいだろうが、再編するんならな」

必死なユウに、自分で以前言った事をコロッと覆すロロ(ろろ)


「きょうはもう、イジワさんを愛の巣に送ってあげるなのです。

馬も使うし、ちょっとめんどうなのです」


ユウはイジワの家もリュリュも知らないので、今日だけはあっちのギルドからイジワの操る馬に乗って行くことになる。



リリアが色んなサイズのフード付きローブを取り出す。

なるほど、転移の際はこれで身元を隠せる。

ちょっと怪しいが。


ザンは念の為こちらに残る事にする、ちょっと勿体無いが。

ユウは元々ローブだが、イジワも身につけて怪しくなった。



「では、いってらっしゃいなのですウヒヒヒヒ」

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