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バカップルもどき

ゴザのギルド。

テーブルと椅子がどこかに運び出された応接室は若干広い。

書庫だった隣室も片付けられ、ユウの練習用になったようだ。


継続的に“癒やし”などの練習のためにここに留まる事になった。

庇護対象であるシンヨルも、当然一緒だ。


ザン達“魔斬の両腕”は、必然的に行動を共にする彼らと過ごす事に。

腕の完治を暫く見せないことで不審さも減るだろう。


ユウはイジワが新婚と聞き、夕方から朝まで家に送ると言う。

初日の馬の手配もあり、連絡係のギルド長が忙しい。




ザンは森の奥にでも行き体を慣らしたいところだが、仕事ができた。

ノックをして隣室へ。

アリアとリリアもいる。


早速本題へ。

「【調】がおおまかに分かった、要するに『念話』だね。

これ、色々試さないといけないから先に伝えときたくて」


「先越されたね。

癒やしゲージが進化したからそっちに夢中すぎたみたい。

ザンには言っとかないとね」


話は少しややこしかった、理解してしまえば簡単だが。


朝一は以前と同じ、踊ると増えずに明るさが増し完全な白金色になると増量する。

白金色増加分は10分程で満杯、以前は時間経過で普通に戻ったが今は減らない。


現時点ではあるが10分は長すぎとも思えるが、白金状態の魔力は以前の数倍に相当するようで比較はできないらしい。

元々の魔力量自体相当増えていて、増加・回復も実際は速くなっている。


但し、寝るとリセットされるので、更に変化があるのではと回復を繰り返しているらしい。



魔力消費するための魔法陣だが、上下階に漏れないか最初は心配したが、実際生成されるのは対象の接地面から体を覆う大きさのみだそうだ。


【想】併用の空撃ちが殆どで、たまに肩こり解消用も出すらしい・・・。




ユウの説明に少し手間がかかったが、【調】で聞けばイメージ込みで分かったかも。

いや、相互通信こそ出来そうだがまだ分からない点が多すぎる。


「オレが気づいたのは、どっかから知らない声が頭に響いたから。

【調】でチューニング・・・波長を合わせると聞こえるらしい。

余計なイメージも見えるけどそれは消して、声で会話するのがいい」


「とにかくやってみるね」


ザンは心で(ユウ聞こえる?)と呼びかける。


「聞こえた!ピントが合った」


(オレは聞こえるから、そちらも心で会話して)


(これでいい?聞こえてる?)


(よし、第一段階成功だね)



(勝手にイメージが流れて来るけど、それはオフにして)

心を見られてると思うと、なぜかリリアさんの胸をチラ見してしまう。


(あー、ルナノさんにいいつけてやるw)


(同時に、なんで見てしまったかも分かっただろ。

あと、wってなるべくやめて)


(アリアさん達に悪いから、たまに説明しようか)


「えっ?説明って、聞こえたなのです」

アリアが反応した、予想外の事態。


チューニングを合わせた覚えもないのに。

これ、混乱しないか。

(リリアさん、わかりますか?)


「リリアさん、何か変化は?」

「えっ?別にありませんわ」


「じゃあアリアさん、今のは気にしない方向でお願いします。

暫く実験するので、ふたりはお茶でもしてお待ちを」

ザンが動揺して変な言葉遣いで言った。


(ユウ、まずふたりでのルールを決めておこう)

(ルール? 言ってみて)


(イメージの方は必要以外は覗かないこと、プライバシーね。

他の人にもこれは秘密で)

(他の人? ・・・んー、わかった)


要領を得ない返事だが、ずっと見てればヤバさに気づくに違いない。

自分も見られたくなければ見るなって話だ。

因みに、この思考は言語化されていないが、覗いていたならイメージで理解できたはずだ。


(あーなるほどね)

これは間違いなく見たな。



(ルナノで試したけど、彼女のイメージも言葉も見えたし聞こえた。

さっきの人は勝手に受信したけど、勘がいいか元々そういう力があるか分からないけど)


(あっなるへそ。つまり、他の人とも通話出来るかもってことね)


(意識できない時は切っておいたほうが無難だと思うけどね・・・。

緊急時に使えるか気になるからお互い試そう、切るから呼びかけて)


数秒経って(ザン!)と聞こえ、(聞こえた)と返す。

色々な呼び方を試したそうだが、いつも使っている呼び方が良いようだ。


お互い、緊急時呼び出しが出来ることを確認。




あまり黙ってると変なので、言葉で会話しよう。

どっかのマンガで見たが、目の前でメールで会話するカップルみたいだ。

実際いるらしいが・・・。



「あと一つ。

【調】とメイン能力とどっちが先に出たか気づいた?」

「ううん、わかんない」


「そうか、場合によってはサブ能力は最後かもと思ったけど、どっちにしろ完全に近づいたってことだからね。

ゲージもどきも調べないと」


「こっちは数は少ないけど、奥が深いみたい。

がんばりましょっ」

「おう」



応接へ戻って、【多】で振り返る。


気になる事は、敵から『転移石』を持ち出したウインドさんの事だ。

貴重過ぎる物のはずだが、ユウの転移が公になれば・・・。


あとは『念話』がどのくらい届くか、くらいか。


振り返る期間の選択がまずいと忘れていることもありそうだが、きりが無いので良しとする。



「じゃ、奥地に行って色々試してみる。

緊急時は新能力でユウと連絡できそうだから多分大丈夫」

ダメなら狼煙でも上げてくれるだろう。


「あっ、刀は短剣だけでいいの?」

「問題ないよ、ルナノ。いってきます」



ザンはその場から一気に窓を抜け、誰にも見えない速度で急上昇して行った。


「決めた、魔弓(まきゅう)買うぜ」

ずっと悩んでいたらしいロロ(ろろ)の決意が虚しく響いた。

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