表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/115

永遠のトートロジー

徐々に近づく正体不明の魔物。


ここで大きな疑問を確かめる。

「魔物にぶつけるか真下からの魔法陣を固定化できないの?」


「今まで試したことがなかったけど。

固定化出来るのはひとつの魔法だけみたい。

この魔方陣が大きく強いからじゃなくて、仕様だと思う・・・」


「一旦こちらを解除すれば・・・」


茶さんが遮る。

「それは危険だ。

敵全体を包む魔法陣ができても、移動しながら怒った魔物が触手から呪法陣を撃つ可能性がある、そうなれば射程は110メートルになる。


そこまですぐには視えず警告が遅れた、すまない!」



再度状況を確認。


~~~~

味方はユウの固定化された魔法陣の後ろ半分にいる。

5メートル程度の距離で戦うことになるが、恐らく全力近い強度の魔法陣の限界なのだろう、多分呪法陣から全員は守れるはずだが。


問題は触手だが、後方中央にユウ、そのすぐ後ろに魔法師3人とロロ(ろろ)とアリア。

それを囲うように、正面にイジワ、右に茶さん、左にジェギ、後方右にモスコ、左にリリア。


瞬間最大剣速はイジワだろう、両リーダーが左右で補佐すれば盤石(ばんじゃく)

回り込んできた触手には剣速とフットワークのふたりで対応。

~~~~


確認は【多】で一瞬だ。




あと150メートル程度、まずザン自身の“斬り”を試す。


「ユウ、ある程度強いのを2発頼む。

1発目で“斬り”が通用するか試す、2発目は魔法だ。

充分近づいてるから、魔法を吸われてダメ元で」


「イキます!」

ユウは杖を持っていない、こんな時にどうでもいい事だが。


撃たれた青い魔法陣の直後を追うように飛ぶザン。

左右上下から来る触手を全て切断していく、呪法陣は消えても青い魔法陣は消えず進む、さすがだ。


触手を斬りながら、ユウの魔法陣にも当てて一部斬ってしまうが・・・。

消えない、それどころか面白い事が起こったような。


着弾と同時に斬る。

反撃が始まるまで無限に斬りつけたいが、触手も来るので数撃しか無理だ。


呪法陣を避けつつ斬りながら離脱。


“斬り”は物理防御を突破したはずだが・・・。

斬れていなかったのか、再生速度の方が早いのか、無傷だった。




「次はタイミングを合わせて、魔法陣到達直後に魔法が当たるように。

触手が来れば斬るから」


魔法陣の速度は見ているので分かるだろう。

「イキます!」


触手は出さないようだ、妨害できそうに思えるが。

ほんの少し遅れてルーナ、ルナノと全力近い魔法を打ち出す。

ルナノの波○拳みたいなのを吸われたら怖い。


普通の魔法には触手が来る。

ザンが飛び出し、切断するが範囲が広すぎて間に合わないのもある。

幾分遅れてエリルのが来た、速い。


ルーナの風の刃は触手を切りつつも弱まったが、他は着弾。


魔物に大穴が空き、おおーと全員から歓声が・・・


魔物の肉というか果肉というか、一気に盛り上がり修復していく。

ユウが一発解呪を撃つが、呪法陣で相殺されてしまった。



全員黙り込み・・・ジェギが言葉を発した。

「再生の魔物は無限に再生するわけでなく、限りがあると聞く。

ザン君の斬撃が有効かもしれない、やる価値はある」


ユウが踊りながら話しかけてくる。

もう触手射程に入りそうだ、喋っていられるのは今のうちかも。

「『へんなおどり』でMPを吸えたら一番いいんだけどねー」


ププッと、場にそぐわぬ笑いをふたりで浮かべる。


「仲がいいのね」

ルナノが妬いている。


「地元の定番のギャグ・・・笑い話なんだ、ごめん」




もう、すぐに触手責めが来る、【多】で選択肢を狭める。


「魔法は温存する。

オレが斬りまくるから、ユウはさっきの強力なやつを繰り返し頼む。

触手と赤いのが来るぞ、本番だ!」



ユウの充電満タンを待つ。

既に触手が届いているが・・・弱い。

呪法陣は消える、ユウ、GJだ。


「触手は相当弱体化されてる、速度はほぼ同じだから気をつけて!

ユウ、GJ!」

親指を立てるオレに、ユウが踊りながらVサイン。


ルナノは少し頬が膨らんでいるが、耐えている。

地元から離れてたから嬉しいんだゴメン、と心の中で謝る。



ユウが魔法陣を撃ち、ザンが斬りつける。

斬ったあとは【視】で確認できるのに意識が行っていなかった。

【多】にも変なクセがつくこともあるのか・・・。


一瞬斬れているようだが、魔法と違い斬撃では修復が早いのか。


「魔法陣を速くしたほうがいいよね?

魔法のタイミングに合わせようとしたから」

「頼む」


そんな事ができるのか、タイミングが難しいが掴めれば恐らく楽になる。

触手の邪魔が減る。


再び魔法陣に続き斬る、問題ない。


そして何より、5メートルという近距離での戦闘が不安だったが、触手の弱体化と邪魔が減って攻撃できて、かえって楽だ。

嬉しい誤算だが・・・。



斬っても斬ってもすぐに戻る。


ヘラクレスとヒュドラの話を思い出すが、あれは首を切って切断面を焼いたという話だったか。


「魔法もう1回行こうか、近いしダメージも大きいはず」


「さっきの速さに戻すね、この速度」

ユウが小さな魔法陣を飛ばして速度を示す。



「おーけー、イクよ!」

再び魔法が撃たれ、近いので触手の邪魔もほぼ無い。


大きく削ったように見えた魔物の肉は、瞬く間に再生した。



「無理な人がいれば帰ります、遠慮無く言ってください。

またやればいいんですから!」


誰も何も言わない。


「魔法陣のおかげで楽すぎるんだよ」

モスコが珍しく反応した。

近すぎて、結構背後から触手が来ている。


口では言っているが、午前から7~8時間はぶっ続けなのだ。


「俺にも働かせろ・・・」

ロロ(ろろ)がぼやく。


ロロ(ろろ)さんはマスコットキャラでユウと踊るといいなのです」

このバア・・・オバ・・・おねえさんもよく分からない。



遊んでいる場合ではない、疲労は溜まっているはず。


「イクよ!」

魔法陣が撃たれ、反撃回避にも慣れ更に数箇所斬る。


また同じだ。



これは無理な気がする。


「マスコットキャラ」がこの世界でどういう物なのかは不明。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ