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鉄壁の守り?

前回と2話同時更新です。


アリアは無視された。

というより、恐らく全員が気を遣って知らんふりをした。

完璧な自己紹介だったかもしれない・・・。



「“新たなる夜明け”略してシンヨルのリーダーユウです。

分かりにくいので『茶』でお願いします。

弓師のロロ(ろろ)と魔法師のルーナです。


私の解析能力は聞いていると思いますが、覗こうとしなければ触れない限り発動しません。」


「リリアです、ユウさんに助けられました。

全員アンテの人間であるとともに、信頼できる人たちです。

私なんかですみませんが、保証します」



「“魔断の風”のジェギだ。

剣士のモスコは剣速勝負、イジワ君に既に追い抜かれつつあるが。

エリルは魔法射出速度では負けないが、助けになるかどうか。


私のこの技も通用するか微妙だ。」


ジェギは、用意していたのだろう、傍らにあった木剣を持つと軽く振りながら伸縮して見せた。

出し惜しみ無しだ。



イジワも覚悟を決める。

「イジワです、本名はアレン・ルノワ。

『英雄の右腕』の子孫ですが、幸運からザンと出会ってAランクになれました。


比較的最近ですが、剣速を高める技と『兜割り』に似た防御無視の一撃が打てるようになりました」



ルナノは特に紹介はしなかった。

あちらで、指輪の事も含め仲間やルーナと話したのだろう。


アリアのはあんなのでいいのだろうか・・・。

まあいつもの事か。



ギルド長と女性職員が荷物を抱えて入ってきた。

魔法袋無しでわざわざ弁当を運んできたようだ。


「出発時間は任せますが。

充分お気をつけて、怪我さえなければ何度でも出直してください」


「魔物がこちらに来ないよう、すぐに北でザンと合流します。

あちらで作戦も相談します」

ユウが答え、全員の行動は決定した。





全員転移すると同時に、炎の矢が数発飛び水が撒かれ、氷の槍があちこちに降った。

【聴】が使えるユウにしか出来ないことだ。

勿論仲間であるザンに当てることもない。


ザンは宙に浮いていた。

これだけ北に離れていれば魔物の移動を監視している者にも見咎められることはない。


ザンは、遠くに見える海と、その向こうの風景を見つめていた。


魔法に気づくとゆっくりと降りてくる。



「ルナノ、おかえり」

「ただいま、ザン」

しっかりと抱き合う。



「いきなりこっち、森に来たんだね」

全く予想通りだが、一応言っておくザン。

後は何もこちらから話さず、ユウの作戦を聞く。


「形や攻撃方法は聞いたけど、やっぱりそれだけじゃ。

茶さんの見立てしだいだけど、考えてることはある。

守備用の魔法陣、敵を足止めできる強さのを作れれば後は流れ次第ね」


「なるほど、考えは似てるけどあの魔物を足止めできる強さか。

剣士5人がユウを触手から守り、魔法師と弓師の4人が待機あとひとりは不明だけど、その全員を守れる大きさが必要だね。


後は同じでオレが遊撃、呪法陣と触手を出来るだけ斬って敵をつついて何か反応を引き出す」


「なるほど・・・・・・

キレてなーい」

全員不思議顔だろうが、見ないし気にしない。


「かわいそうに、そのストレスオレにも経験が・・・いやそれはいいとして。

効果がなかったり、怪我人が出れば逃げる場合もあるから。

慌てずやろう」


「最初に近づく直前、魔法陣の設置はどこにするなの?」

あんまりウザくない、なにがあったんだろう。


「大丈夫です」





ギルド方向へ、魔物の1キロほど北に出現する一同。


ザンが、触手に足を取られる可能性も考え浮きながら500メートル程度まで一気に接近。


近づくにつれ、走る速度から徐々に遅くしていく。

50メートルより近づいたか、呪法陣だけ飛んできて、避けながら斬る。

あと数発は躱す。


以前と同じで、距離が離れると消滅する、距離はほんの少し伸びている。



一気に全員の所に戻る。

割と起伏の少ない場所だ、ここでいい。


「射程は50メートルいかない、怒らせなければまずは触手も来ない。

ここでいいけど、周囲の木を切って見通しを良くしておこう。

ユウは後ろ側を切って」


ザンが飛びながら次々に周囲の木を根本から伐採していく。

100メート範囲くらいをいつのまにか切り倒していた。

そしてすべて左右なるべく遠くへ蹴り飛ばしていく。


背後も切った物から順に蹴り飛ばしていく。


切り株の残る広場が出来た、視界は万全。



再びユウを見ると準備完了のようで、既に10メートルより小さい程度のくっきとした白金色の魔法陣が出来ていた。


「ヤツの能力が分かりました」

茶さんだ。


「本体部は物理のほぼ完全防御、触手と枝は最大60メートル伸びて相手を罠にかけます、そして全体が再生可能。

魔法を呪法陣で『食べ』ます、獲物の魔力や体力もです。


弱点、というか心臓が本体中央の後ろ側です」


「植物ではない?」

「はっきりしません、全て作られた、またはキメラ生物のような」


たいしたものだ。

文字で見えるのかは分からないが、危険な事や攻めどころが分かる。

ただし、物理防御に魔法吸収と、相手自体が難物だが。



ユウが解呪を先制で飛ばし、踊る。


効果があったのかは不明だが、明らかに先程の射程より遠くへ触手を出して暴れている。

進行速度は変わらないが。


待つと同時に今のデータから攻略を探る。


解呪と魔法の同時、または解呪と“斬り”能力の組み合わせ、ならいけるか?


しかし触手で以前のように阻まれる可能性は高い。


いや違う、ユウの魔法陣で守られた全員が逃げずに戦えるのだから。

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