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決意

今回まで、振り返り多めです。

ユウとザンの接点です。


「例の魔物に近づかないよう・・・分かるんだったか。

50メートル離れれば大丈夫、進化とかしてなければ」


これだけ上空なら大丈夫だろうけど念の為言っておく。



「半日で50キロも動いてない・・・。

走るのより遅い? 多分」


「とにかく一旦北に引きつけよう」



充分北へ移動したがまだ森である。

日が暮れかけて分かりにくいが先は海っぽい。


誰も見ていないのでゆっくりと降りていく。



「待って」

ユウから複数の炎の矢が飛んだ。

ちょっと火のついた場所にはバケツで消火するかのように水が注ぐ。


ザンだから同時に見ることが出来たが、多重思考並みの魔法だな、と思う。


「もういいよ、他は降りたら氷で殲滅するから。

クモはめんどいから先にしといた」




着地する。

これから15000キロだっけか。

ひとりで複数のことをしながら向かうのだろう、心配だと伝える。


「ありがと、じゃあ魔力回復と索敵と射撃が同時に出来るかやってみるね。

ザンは見える範囲でよろしく」

やっぱザンはキレる、ヒゲソリCM厳禁。


踊り出すユウ、すぐに周囲に氷槍が降るのがなんとか見えた。

森の中に関しては【多・視】では見える範囲しか無理だ。


「おーけー、この辺も普通の地域とあんま変わらないみたい」

「魔物密集地域とか無いのかな?」

ザンが多重思考での可能性のひとつを言ってみる。


ユウはまた長髪のおじさんを必死で打ち消す。

あ、ザン相手なら問題ないのか。


「キレてなーい」


「?」

「いや、ザンがキレるなーと思って」


「・・・うん、話が通じないとストレス溜まるよね」


まあなんとなく理解した。



「あっと、『魔物密集地域』だけど以前にオーガの大群来たけど。

焼き払うから大丈夫、氷を降らすほうがいいか。

『氷槍グラム』いい名前よね、火の方は『インフェルノ』ぽいらしい」


ユウが嬉しそうだ・・・。



「えーと、しばらくここにいたほうがいいよね?

足が遅いんなら、もうちょっとひきつけとこうか」

例の魔物の話だ。


「話したいこと結構あったけど、いざとなると忘れてるのよね」


ザンは念の為【多】で伝えるべきことを整理。

ずっと同行してるので、ユウはほぼ情報把握したはずだが・・・。

忘れてた、ウインドの話。


彼の話はこの世界の人たちには理解しくいし、出来ない話もあった。


後は、こちらの仲間に手紙を見せてない。

忘れてた。




「ウインドさんの話をしておかないと。


出会ったのは昇給試験の審査員としてだった。

一見、すごい乱暴なイヤなやつだった」


「そうじゃなかったってこと?」


「うん、それは仮の姿で実際は丁寧で繊細で、ユーモアもある。

あ、ニホン好きだけどスウェーデン人らしいよ、結構昔にこっち来たらしい。

部下の人と相当話したり情報集めしたらしい、夢のことまで知ってた」


「ニホンの人と思ってた・・・。

能力はもらってるんだよね」


「うん、レベルが見えるって。

だから、オレらを見た瞬間まだ弱いって見抜かれた。

後は、相手の記憶を飛び飛びにだけど探れる、探られればすぐ分かるよ」


「あっ、スパイっていうか裏切り者のリストはそれで・・・」


「だね、多分わざと見逃したか泳がせてるか、大教皇なんてどうしようもないのかも。

あと、オレ達みたいにレベル上昇で能力をもらってると思う」


「ルナノさんを襲った時の、ね」


「転移石かと思ったけど、能力での瞬間移動・・・いや、加速装置みたいな感じの気がするんだ。

周囲の速度を遅くして自分だけ速く動ける感じ、他は知らない」


「他にもあったら怖いね。

完全に味方ならいいけど、敵を信用させるためになにかやってきたりとか・・・、物語ならよくあるのよね」



「まあ、分からないことは仕方ないけど警戒だけはして。

白髪で長髪、40歳くらいに見えたっけ。


そうそう、ニホン人は特別なんだって」


「アニメ好き?」


「そこまで知らないけど、部下の人と一緒に見たかも・・・。

じゃなくて、『約束を守り、最後までやり通す』だっけ。

女神様とも部下とも約束はしてないけど」


「あーたまに聞く・・・ネットでも見るけど。

でも、空気読むってほうが実感あるよね」


暗くなっていくのが不安だけど、ユウなら大丈夫。

少しだけ移動して、ふたりとも石に腰掛けていた。


「形にこだわり過ぎとか、流されるのは悪いとこだって言ってた。

それより、ニホン人を選んで転移者を探してたらしいよ。

実は結構苦労して探したみたい、やっとか、って言ってた」


「普通、いつもこんなもんだって言ってたっけ・・・」



「これ話したかったんだ、ユウとオレじゃ違うことも多いけど大事な事。


オレは能力を貰っただけで、単なるチートだって言ったんだ、悩んでた。

でも違うんじゃないか、元の世界でも何か器があったはず、って。

ウインドさんが言ってた。うまく話せないけど・・・」


「面接の扉をくぐった決意?

もしかして」


【勘】の能力・・・いや、ユウ自身も思ってたのかも。

どっちでもいい、伝えられるだけ伝えておきたかった事だ。


決意という言葉を安易に使いたくなかったが、ユウから言ってくれた。


「うん、決意したから能力が貰えた。

オレも、確かになにか決意してやろうとした事は無かったから何も言えなかった。


決意できたら、元の世界でもなにか出来たような気がする。


ここには来れなかっただろうけど」


次回から物語は大きく進んでいきます。

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