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ユウ、魔法を使う

「メシは・・・マダだよな」

筋肉女、ウールさんが言う。



「ユウさんとウールは世間話でもして座ってて」

ひぃ、リア様無茶です。

許してくださいませ。


「待って、“虚実の秘術”の事は話してある。

必要だったから。

あたしも整理して話すから、ユウもウールもこっちへ」


全員食堂の椅子に腰掛けた。

リアさんが仕切る。

「この子が話してたユウ。いちおうウールも聞いてて」



アリアさんの話す私のストーリーは若干ニュアンスが変えられていた。

再度尋問(正確には審問というらしい)を受けても辻褄が合うように、だと思う。


アリアさんの立場ならどう表現すれば嘘なく大事な部分をボカせるか、お手の物なのか。

魔法の話はめっちゃ適当なのに、こっちは専門分野なのかな。



要約すると、

記憶喪失自体は嘘。なのにそれ以降は全く嘘は無かった。

秘術を明かすことで、その事実を引き出せた。


嘘の理由は、それ以前がとても普通では信じられない事だから。



それは、

全く無力な男女2人が、神の啓示を受け(ちから)を授かった。


もうひとりは剣士、ザン。

が、魔法陣で全く別の場所に送られてしまったらしい。


瀕死、もしくはほぼ死亡していたリアを慣れぬその(ちから)で救った。

その部分をもう一度、魔法理論が自信なさげな解説付きで語られた。


その後はリアの知るとおりだ、と。



「大筋はウールにも話してある。

連れて行くかはアリアの審問結果次第だった。

ユウは使える」


最後の一言は・・・。

使えなければどうなっていたのか。いや、あの治癒魔法を体験しては殺すことは無いとは思うけど・・・・・。



「ユウさんごめんなさい、なんか勝手に進めてて。

問題は、ユウが協力してくれるかですね。

ここで方針を決めましょう」


リアさんはそこまで言うと黙り込み、沈黙が流れた。



「リアに任せておけば大丈夫。

あなたにとっても決して悪いことにはならないからねー」


ウールは頬杖をついて大人しくしている。あっ、もしかして寝てる?



「ここは放棄します」

えっ、と思わず声を上げてしまう。


「細かいことは後で。

3人でロワには帰らずに・・・そう、東へ旅立つ。

目的はザンという人探し。


ウールは雇いの仕事終了、ギルド報告せず色を付けて支払い、分かれる。

依頼者行方不明ってことで。


私は死んだので、名を変える」



あらゆる可能性を考えての事だった。

何から逃げるのか、までは教えてくれないが時期を見て話すという。


リアは戦闘で瀕死だったという。

その上、死亡確実の崖から放り投げられた。


自分でもありえないと思う。

治せたのが。



「アリアのこの子への信頼はかなりのものだと思う。

少なくとも、改めて審問を受けてもウソにならないように話していた、そんな気がした・・・。


すべてリセットしましょう。

これでユウには危険は及ばないと思う。

もしもの時は全力で逃がすか、無関係という事にするから。


それに・・・、ザンという人が望まないなら、そこで分かれましょう。

これは私達の都合だから、仲間は自分達でも探します」



「ちょっと寂しいね」

ウールはそれだけ言った。

一緒に話を聞いた、ということは特別な仲間だったのかな。



ウールはそのまま冒険者に戻り、わたしたちは改めて冒険者の予定。

わたしの服は恐ろしくて慣れた手付きでリア、改めリリアが鞄に収納。


リリアって名前、あまり変わらないし大丈夫かと思ったが恐らく計算済み。

聞くだけ無駄か。


代わりに3人とも少しづつ材質や色違いのローブに。

魔法使いの制服みたいな物というけど、完全に異様な集団です。

こちらの常識ではそうでもないのだろうか。


服の内ポケットにあった重めの革袋を返してくれた。



ここはよほど結界魔法に()けた物でないと見つけられないそうだ。

放置される動物たちはかわいそうだけど。


「旅か。わくわくするねぇ」

実感のこもっていない口調で言うアリアさん。



帰り、というか旅立ちの前に山からは降りなければならない。

魔物が出たら、燃やしても構わないから魔法を撃ってもいいという。


というか、いきなりは無理だから。

試しに岩に向けて撃たせてもらった。


炎の大きさをイメージするとそのとおりの火球が出た。

ちょっと手が熱い。

飛んでいくイメージするとそのとおりに飛んだ。

爆発のイメージ、ぶつかる前に爆発した。


ぶつかったら爆発するように()()()()おくのか・・・。


なんとなく理解できた。そうしよう。

3人はぼけーと見ていた。



「こんな何気ない魔法って初めて見た。

教えた私もビックリだよ」

「本番はいくよとか、ハイヤーとか、なんか言って撃ってね」

「ハイヤーはいやです」


ウールは、お手上げというアクションだけだった。



なんだかクラクラっとしてバランスを崩しかけたが、リヤ、違った、リリヤさんが支えてくれる。

これで魔力切れって、どれだけレベル上げないといけないのかと思ったが。



「魔力酔いだろうねー、もう治ったはず」

「はい、戻りました。魔力酔い?」


「慣れない魔力を使うと、一時的に酔ったようになるの。

ベテランでも大規模な魔法を使うと必ずなる。

すぐ慣れるし、集中すれば気づかないことが多いから気にしてなかったの。


まあ、あたし達も気をつける。

魔法2度目なのにちょっと迂闊だったねぇ」




改めて思い出してみる。


サブ能力4つだから名人級の25%の能力か。

努力で伸びるって言ってたから、最初はショボいはずだけど。


実地でやらないと分かりようがないよね。



4回ほどイノシシっぽい動物が1・2匹ツッコんできて、ほぼ全部自分が倒した。

習った魔法の順番に。


3人のわたしを見る目が変わったような気がして、後で理由を聞くと、ベテラン冒険者並の速さと命中と威力なんだそう。



女神様方式の基準が全くわからない・・・。

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