表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/115

ザンへの援護

5人は10メートル程度離れて立っていた。


誰も倒れてはいない。

全員無傷に見える。



~~~~

何が、いや誰が“授与魔法”オークを倒したのか。



魔法陣や魔法自体について知識の乏しい中で、脳内で示されたのは『解呪』の可能性だった。


『面接』の時見たユウさんの紙には【何でも治す】、その中には【呪い】とも書いていた。

今でもありありと文字を思い出せる。



しかし『解呪』で魔物が倒せるのか?

見たままだった。



ユウだ。



しかし大問題がある。

まだユウさんには会えない。


だが答えはもう出ていた。

カンニングをする気分だが、多くの可能性から導き出された答え。



『世界のどこかから、癒やしの力で狙い撃ちした』



ザンがあらゆる方向を一斉に見ても、隠れた敵を発見できなかった。


何か索敵能力を使い、しかも相当遠くから狙った、という答えだ。

~~~~



考えたのは全て一瞬だった。


仲間の中央へ降りるザン、全員が駆け寄る。


「すみません、離れすぎました。

体は大丈夫ですか?」

全員口々に「問題無い」と答えた。



「赤いのが消えた瞬間、力が戻った」


「前より魔力が回復してるみたい」


「体力も回復してるように思うが」


バラバラに似たことを言っている。



「状況を見ると、変異オークを倒しきった後に狙われました?」


ジェギが冷静に答える。

「誤爆を避ける、というか出せる魔法陣の数や量が決まってるんだろう。

隠れて待っていた、確実に我々を狙って」


答えは一致した。

皆も頷く。



「まだいけますか?

あっ、さっきの援護は仲間です。オレと同郷の人間です。

相当遠くから狙ったようです」


全員不思議でたまらないだろう、先に言っておく。


「行きたいんだろう?

行くなら(まと)まって進むぞ、さっきのが現れるだけじゃなく、いきなり『生まれる』可能性もある。

その時は頼む」




ザンは大きなジグザグを描きつつ飛ぶ。

ジェギ達に見られてどうこうという事は言っていられず、普通に飛んだ。


飛びながらすれ違う変異オークを全て(ほふ)る。

虐殺である。



オークらも、綺麗に整列しているわけではないので手前にいたのもいる。

ジェギ・イジワ・モスコがそれらを全て倒してゆく。


エリルとルナノは更に後ろで監視と、牽制・おびき出しをおこなう。

たまに2人に行き着く敵は、能力を上げたイジワが逃さない。


うち一匹はルナノの魔法で上半身を吹き飛ばされた。


同様の能力向上と指輪、その上ザンのマントによる効果だが、エリルも開いた口が塞がらない。



ルナノは違和感を感じた、全力攻撃でも魔力が減らない。

指輪からの魔力の流れを感じ、見ると輝きが少しだけ減っていた。





一方、ザンは【視】への感覚調整を続ける。

放っておくと、斜め上とかあらゆる方向に意識が向いている。


確かに意識に直結しているし、多重思考で追いつけるが、『感覚』が違う。



いきなり視点の違うモニター画像で運転するようなものだろうか。


例えば真横から向かってくるトラックがそのまま見えるとする。

横だと意識できれば、それに応じて止まったり避けたりはできるが、瞬時に連続して動くのは普通は無理だ。



多重思考とのリンクは、きちんと別々の視点だと処理できる。

だが、根本である体を動かすことはザン自身がおこなうのだ。



ザンは、今は雑多すぎる情報を切り捨てることにする。

左右と後ろ、そして上下のみの情報に絞る。


大量のオークに対応しながら自身の動きとのリンクを確かめてゆく。

すべての方向とは行かないが、ほぼ死角は無くなった。





“42”

更にレベルが徐々に上がってゆく。

普通なら正気の沙汰ではない量の魔物、それも変異オークなのだ。



周囲に魔物が一匹もいなくなった。


ジェギさん達が頼りだ。

スタンピードに遭遇経験のある彼らに状況を尋ねる。



「今までこれ程一気に討伐したのは見たこと無いし、記録でも見ていない・・・。


普通は大群が壁まで到達し、集団魔法と大砲で切り崩す。

左右に散った魔物をA・Bクラスで掃討し、残りは物量で食い止める。

最後は、キングか同格の親玉を壁に呼び寄せ、決戦だ。

前回は壁が半壊した」



モスコが補足してくれる。


「初期に一気に大量討伐出来たのが大きいな。

散ってしまえば壁に戻って待つしか無い。

あと、先にジェネラル以下のクラスを狩っただろ?

あれで、やつらは統率を欠いていた。

いや、結局ザン君が大量瞬殺出来たのが一番だが」



「後はキングか同格のやつが残ってるね。

ザコは少ないけど、精鋭が守ってるはずよ。

数は50もいないと思うけど、ボスは無理かもね」


エリルさんが最も聞きたいことを教えてくれた。




「キングを狙ってみます。」


「ああ、キング以外は恐らくいけそうだが。

キングは通常部下がやられるまで動かない。

無理なら即撤退するぞ、ザン君」



「聞いてください。

オレは新しい“天賦の才(ギフト)”をもらいました。

キングと闘う時はオレが動きを止めます、出来れば目を塞ぎます。

そこに集中攻撃してください。


オレは後ろが見えますから。

オレに向けて魔法を打てば直前で躱すので当てられます」



「わかったわ」「分かった」

最初に答えたのはやはりルナノとイジワ。

オレのビックリ人間ぶりをダテに見てはいない。


“魔断の風”メンバーも2人の様子を見て納得するしか無い。




魔素発生源方向へ全員走る。




ボスたちはピクニックにでも行くかのように、ゆっくり歩いていた。


ジェネラルとその下位のナイトとメイジ1匹ずつ。

あとは20程の変異オーク、雑用係なのかも?


こちらに気づいたオークメイジが魔法を飛ばす。


ザンは魔法を斬り、まっすぐメイジへ飛んだ。



その背後にいた巨大な物はオークキングだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ