ミッション・インポッシブル、ユウ
アリアのもたらした知らせに全員複雑な思いであった。
同行していたベテランAランクパーティーが一時的に意識を失ったものの、本人と彼のパーティーは無傷だったそうだ。
一体どんな手段で呪法陣を破れるのか。
彼は本当に凄い。
一方、その“授与魔法”持ちは、わざわざ彼を待ち受けていたわけではないだろう。
あちこちにいるとしたら。
ギルド長の方から対処法を尋ねてきたくらいなのだ。
世界で多くの冒険者が犠牲になるはず。
「まだ目撃報告こそ無いが・・・。
注意喚起は全てのギルドに向けておこなったそうだよ。
あたしらは出来ることをするしかないよ」
その通りだ、この6人ぽっちで出来ることは少ないのだ。
「それより、“新たなる夜明け”の3人は潰されかけたよねぇ。
そちらの心配が先だ。
まあ、この町にいてあたしたち、というよりユウが一緒なら心配ないけど」
なぜか夕食が豪華だ。
そして、黒ユウ含め全員に酒が配られていた。
「ユウはまだ・・・」
リリアは真面目なのである。
「ああ、ユウは15超えてるよ。子供に見えるけどねぇ。
理由があって隠してた、すまないねぇ」
ユウは悩む。
本当にそのことを知っているのか、適当に言ってるのか。
これは先手を取っておこう。
「はい、15超えてます」
アクロバティックな回答だ。
15ですと言えばアリアに嘘とバレる。
これなら本当だから、そこまではバレても問題無い。
別にアリアだけならバレてもいいが。
おっぱいミッションは慎重な行動を求められるが、大丈夫だろう。
「こういう時はうまいもんを食って、満足することで落ち着けるのさ。
少々の酒もあれば言うことなし」
「あんたはよくわかってるなあ!」
ロロが思わずほめる。
ユウもカクテルっぽい甘い酒をちょびちょび飲み、全員ほど良い感じで今日の食事は終わった。
「適当に言ってみたけど本当なんだねぇ。
まあいいや、癒やしの力について話そうか」
「はーい」
ユウも今夜は気分がいい。
「ユウに聞いた限りでは、“癒やし”に限っては魔力調整すると威力が落ちたり効かないこともある。
全力を込めることで力を発揮、魔力も節約できる。
これからはイメージと色、その効果、そして何をすればどのくらい減るのか調べる方向だねぇ」
「はい」
話は終わってしまった。
たった一日間が空いただけだが、風呂でゆっくりするのは久々な気がする。
前回はザンの事が心を支配していてそれどころではなかった。
もう心はすっきりしたはずなのに、違った問題が大きく思える。
茶さん・・・。
いや、今はそんなことを考えている時ではないのだ。
休んでいたおっぱい活動を再開すべき時なのだ。
なるべく自然に・・・いや、15歳の思春期少女になりきるのだ。
前は純真無垢で攻めたが、それほど違和感はない、はず。
まずはかかり湯に時間を掛け、ルーナとリリアの様子を観察する。
アリアはといえば、2人と並びたくないのか、浴槽の端で目を閉じてゆったりしている。
ルーナとリリアが話し始めたのを見極めて、まずはアリアの方に向かう。
フェイントだ。
最初から美乳ペアに向かえば、当然ユウを間に座らせるために間隔を開けるだろう。
そうさせないための手順なのだ。
ルーナの視界から外れると、方向転換して彼女へ向かう。
狩りであればこの程度気づくだろうし、気づかれたとしても構わない。
2人の間隔を開けさせないのが目的だ。
「おねえちゃん大好き!」
抱きつき攻撃!
ルーナの吸い付くおっぱいの感触を、ユウは首で見事に捉えた。
だが、これからが本番である。
「リリアさんも好き!」
体が斜めになりながらも、ユウの腕はリリアを捉えた。
ルーナが捉えられてれていたので安心したのであろう。
腰を浮かし2人の中央へ移動し、腕・首・顔を駆使して2人のおっぱいを堪能した。
「ユウちゃんったら・・・」
例によってルーナは拒否することはない。
変な意味でなく、ゆでダコのように顔を紅潮させている。
リリアは限界か、一旦離れる。
ここからの仕込みは賭けである。
ルーナだけに言う。
「これからもこんな感じでおねがいねっ、おねえちゃん」
ルーナは頷く。
離れ際に肝心な一言。
「リリアさんもこれからもおねがいしますありがとう」
若干棒読みになったが、返事が来ない内に逃亡。
洗い場で洗髪を始めるユウ。
体を洗い、2人と入れ替わりに浴槽に入る。
反論の機会を作ってはならない。
服を着ていると、いつの間にかリリアがすぐ横にいた。
とくに何も言わない、まあ些細なことだと思ったのかも。
とりあえずは成功か。
これで1つのおっぱいパターン確保、慣れさせるのと習慣化することで様々なパターンに発展させられるはずだ。
これからが腕の見せ所だ。
「オシッコも済ませたね?」
「寝る準備万端です」
全員集まり、解呪の実験だ。
昼分かったとおり全力でやるので、そのまま寝てしまってもいいように準備。
結果はユウの今の実力次第。
「じゃあ呪法陣を見せるよ」
アリアがズボンを下ろしてパンツを・・・。
「あっ間違った」
ズボンを上げる。
笑えず呆れる茶さん、ロロが少しにやけている。
上を脱ぐアリア・・・途中で動きが止まった。
「よく考えたら脱がなくていいか、ごめんごめん」
冷え切った空気に、さすがのアリアも謝る。
アリアは右腕をまくって出す。
肘より少し上あたり。
「この辺だね。
魔法をかければ分かるはずだから、一気に頼むよ」
「はい。ユウ、イッキまーす!」
深い意味はないが、前回上手く行ったので験担ぎである。
水色の魔法陣が今まで見たことのない輝きを見せた。
一方、呪法陣らしきものが一旦赤く光り、薄まった。
アリアが20歳くらいになっている。
準備良く、鏡を出して姿を確かめるアリア。
全員の驚きは意に介していないようだ。
「ユウは本物に近づいたねぇ。
まあ普通の解呪じゃあ不可能だから本物以上だけど。
で、残りは?」
「5分の1くらいの消費です。
もう一回かけてみます!」
「いや、時間を置かないと効果はないと思うよ」
アリアの言う通り、効果もなく魔力も減らない。
いきなり【聴】がオンになった。
アリアの呪法陣と似たものが世界に散らばっている。
あの火山で遭った“凶悪なもの”だ。
近づいているわけではないが、ザンさんを感じたときのように分かる。
場所が分かるわけではないが、存在をロックオンできる。
これはもしかしたら・・・。