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ユウへの「知らせ」

ルーナさんが、茶さんとロロ(ろろ)さんを呼んできた。


改めて、大教皇アードスの正体が語られた。

ルーナも当事者の一人であり、3人も既に“アンテ”の一員だ。

明かしておくべきとの判断だ。




アンテの一人が暗殺に失敗し、秘密裏に殺された。


そして、アードスは事実を知るものをおびき寄せるエサにすぎない。

仮に彼を暗殺できても世界の教会と支持者を敵に回し、本当の敵にはたどり着けないだろう。




ユウの能力のあらましも語る。


神に会い、能力をもらい、飛ばされた。

もうひとり物理の戦士がいる


まだまだ強くならなければ会うことは出来ない、会えば大きな悪に気づかれ死ぬ。



すでに敵を感知する力、魔法の威力をを維持する力、舞闘の能力を得た。


実は最大の力は“癒やし”つまり光あるいは聖の力だが、強くならなければ不完全であることも。




実際、敵を見えない距離から発見し、ファイヤドラゴンを貫いた魔法。

最大の驚きは明るく金色に光る魔法陣。


全て見たものだ、信じるしか無かった。



ザンの名前や腕の話は特にはしなかったが、聞いたことだけで“新たなる夜明け”3人はいっぱいっぱいのようだ。



「明日は早いよ。しっかり寝ときなよー」


男2人は悩みながら解散。

ルーナも考えるのをやめてベッドに飛び込んだようだ。






起こされるとまだ暗かった。


普通に身支度をするうち明るくなり、VIP馬車に全員乗り込む。

もう1台も返却を兼ねてついてくる、もしもの時の予備にもなる。



御者には障害物でも無い限り止まるなと伝えてある。

もう黒ユウは6人全員に隠すこと無く遠隔射撃できる。



客室では宿で作ってもらった弁当を食べる。

御者と馬は昼一度のみ休憩と食事、大変な仕事だ。


暗くなる前には城塞都市ナーラに着いた。



行きの時は交流さえしていなかったので、わざわざ1日半かけたという事だ。

強行軍なら何も起こらなければ、なんとか一日の距離なのだ。




丸一日の車内、黒ユウはルーナお姉ちゃんに程々に甘えつつ、茶さんとの関係を何となく聞いた。


「強くても顔が趣味じゃない」そうだ。

何となく分かるような。



昔から、丸顔で優しそうな男性にハマるのだ。

デブ専ではない。


今回は顔も中身も超一流だった、とユウだけは思っていた。




黒ユウの話の、『もうひとりの戦士』つまりザンについては特に話す必要は無いと思ったが、茶さんにどんな人かと聞かれ、ユウは答えぬ訳には行かない。


誤解されては大変だ。



「少し話しただけで、良くは知らないです。

いずれは一緒に戦うでしょうけど、それ以上ではありません。


ただ、両手を失って、それからどうしているか、どれだけ強くなれるか心配です」



“新たなる夜明け”3人は初耳だ。


ルーナが昨晩聞いたはずだが、結びつかなかったのだろう。

それについて彼らは何も聞くことはできなかった。


後は姉妹の交流大会へ。





ナーラの城門を潜ってからは馬車を開放し歩いてギルドへ。


ララさんの案内でぞろぞろと応接室へ。

前と同じ配置で座っていると、椅子を抱えたララさんとギルド長が入ってきた。



「ファイアドラゴン討伐おめでとう。

正直いえば、上手く逃げて帰ってくれるものだとばかり思ってました。

まさか倒してしまうとは」


「こっちはドキドキハラハラの勝利だよ。

あんたが裏切ったかと思ったよー」



「まさか。

最初の日に大教皇のことを聞いたのはさりげなく教えてくれたってことですし」


ギルド長は“新たなる夜明け”の3人が気になるようだ。




「“新たなる夜明け”はもうアンテのメンバーだよ。

特にルーナはヤツラと因縁を持ち、残り2人も賛同してる」



ギルド長は安心して続ける。


「森を抜けてロワから来られたんです、並ではありませんよね。

そしてあの『氷の檻』を見た時に確信しました。

普通の魔法じゃない、と。


だから倒してしまうことも考えなかった訳ではありませんが・・・。

参りました」




「ああ、大事な事を言わなきゃならない。

付与魔法で“赤い呪法陣”を使う魔物が出たよ。

そっちで死にかけた」



「ほ、本当にですか?

確か、最果ての冒険者の町、ゴザで討伐されて以来です。

そっちとおっしゃるからには、アースドラゴン亜種の方ですね」


「ああ、絶対じゃないが恐らく一匹だけのようだ」




しばらく2人は沈黙し、重い空気が流れる。


「“授与魔法”への対抗策は何なのですか?」



「普通の冒険者じゃあ全滅だろうねぇ・・・。

この子、ユウの特別な力のおかげさ」



「他所の地方に出現したらお手上げですね・・・・・・。

いや、実はそれに関係した良い情報もあります。

新しいAランクパーティーです」


「ほう、まあ新Aランクが増えるのはいいが」



「順を追って話しましょう。

ゴザで討伐された“授与魔法”ドラゴンですが、この時同時に『デュエラノ』という元Aランクの“悪魔教”手配犯も討伐されているのです。


この時に実は、討伐した若者が両手を失っています」



ユウが立ち上がった。

ザンの名前を言おうとして躊躇(ためら)う。



躊躇(ためら)う内にギルド長が続けた。


「新Aランクパーティーは結成5ヶ月、その若者は実質冒険者になって2ヶ月です。

普通の強さではないのに、まだ弱い・・・これはあのウインドの談ですが」


「ああ、ウインドかい。会ったことはないが、色々知ってる」

なぜかアリアさんはユウを見る。




「彼らはもっと強くなりますよ。

名前は、リーダーの剣士イジワ、魔法師のルナノ、そして実質エースの少年。


剣士ザンです。


両腕を失ったままAランクへ昇りつめたすごい(やつ)です」

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