ユウ、活動休止?
見慣れたオフィス。
だが自分の机が見つからない。
今やっている仕事が思い出せない。
馴染みのある人達がデスクワークしている。
今なにか聞かれたらどうしよう。
考えているふりをして歩き回る。
どうしても思い出せない、ひたすら歩き回る。
目が覚めた。
まだ夜明け前、カーテン越しの外は暗い。
そういえば、働き始めて数年経ったころも同じような夢を見ていた。
学校に来ているが、自分の席が思い出せずひたすら歩き回る。
ここに来てから2ヶ月も経っていない、早い。
あまりに色々起こりすぎて、濃密な時間を過ごしたからあの頃が過去に思えているのかもしれない。
仕事は、大雑把に言えば派遣。
どこに行ってもひと月もしない内に仕事内容の必要なことは全て分かった。
社員の誰もが疑問があれば自分に聞いてくる。
形式的にリーダーのような立ち回りになる。
契約期間が切れるとサヨナラだ。
たまに上司に抗議してくれる者もいたが、仕事の負担が増えるからのようだった。
そこそこ男も食べた。
期限付きだから気楽だったのかも。
「じゃあ元気で」
こんな言葉を何回聞いただろう。
しばらく一緒に部屋を借りていた由香の事を思い出した。
アパートでは交代で買い物に行き同じ物を食べ、同じ様にゲームをしたりゴロゴロしたり。
全く同じ生活をしていたのに、私はぐんぐん横に育ち、由香は変わらなかった。
彼女は結婚し仕事もやめ、それ以来会っていない。
懐かしさや悔しさがとめどなく・・・
再び目が覚めると普通の朝だった。
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昨日はサーシャも一緒に全員で食事。
サーシャは、公演後ドラゴン討伐の噂話に茶髪剣士と少女魔法師の話が出たのでピンときて宿の受付で尋ねたそうだ。
全員で風呂にも入った。
あまり攻めるとリリアとルーナの次のおっぱいチャンスを逃しかねない。
見て楽しみ、後はサーシャのを穴の空くほど観察した。
体は舞闘のおかげかあきれるほど引き締まっていた。
16・7歳くらいだと思うが、Cカップくらいはある。
ルーナほど乳首ふくめ締まってはいないが、これはこれで若くて貴重だ。
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「私のとは全く別物ですね。
同じ舞闘でも。
これ以上は教えられないと思います」
補助を付けての前後転から始め、基本の回転技はすべてこなせた。
イメージ通りに体が動く。
風魔法を使って滞空時間を伸ばしたりしたが、それが原因?
「実は最初会った瞬間から思ったんですが、実際見てから確かめようって。
同じ使い手にしか分からないですが間違いないです」
「どう違うんです?」
「考えつくのは、魔法使いだから、とか。
それくらいしか思いつきませんが、それ以外考えられないです」
「じゃあ、また練習だねぇ。“新たなる夜明け”とも一緒に。
明日朝イチで城塞のナーラに戻ろう。
あっちで報告することも出来たし」
夕方前までは町外れの森で合同訓練。
ユウの場合、出来るだけ舞闘の動きを使いながら最小の魔法のみ使う。
無駄に跳び回っているようにしかまだ思えないが・・・。
朝から気になっている事を忘れられた。
今こそまさに夢のような事ばかり起きているが、現実なのだ。
現実に没頭し、『わけのわからない疑問』を何とか忘れることが出来た。
そして、サーシャの夕方公演には間に合った。
レベルが一気に上ったせいか、弟らしき相手役全員の剣筋がなんとか見える。
ヤンヤヤンヤとアリアさんの歓声が引くぐらいすごかった。
ユウは前と同じ金貨3枚、アリアは対抗して5枚も入れた・・・。
茶さん達も負けじと・・・金貨1枚ずつ入れた。
うん、お金は大事。
舞台は撤収、また他所へ行くらしい。
儲かっているのだろうか、今日はともかく普段は。
なにか理由があったり、スポンサーでもいたりして。
出発はやはり明日朝らしいので、今日聞ければ聞こう。
すべきこと終了、宿へ。
やはりサーシャ含む7人での食事。
途中たまらず、リリアさんの飲むカクテルらしき酒をひったくって一気飲みする。
「ユウ!?」
「茶さん・・・ユウさん、あなたのことがすきです。
つきあってください!」
「パーティーメンバーの恋愛はうちでは禁止だぜ?」
いつも喋らないくせに、ロロさんが余計なことを言う。
「あっ、いや、メンバーじゃないし。
今答えられない、待ってもらえないか」
周囲全員は愕然としている。
普通、冗談と流すか断るだろう、この年齢差では。
「ユウ、大丈夫?」
リリアさんがアルコール含め色んな意味で心配なようだ。
ビールより濃い程度か、ユウにとっては問題無い。
体が小さいせいか、少し強めには感じた。
何もなかったように、料理にがっつく黒ユウとアリア。
自分で何をしたかったのか分からないユウ自身だが、後で思うと悔いを残したくなかったのかもしれない。
年齢は茶さんも知っている。茶さんだけが。
即座に断らないのも、それがあっての事だろう。
女性陣で風呂に向かう。
まだリリアさんが心配していたが、ケロッとしているのを見て安心したようだ。
服を脱いで両腕を見て、やっと、やっと思い出した。
ザンさんの事を。
あの時のイメージを。
あの後は私の中のおっさんが目を覚ましたり、おっぱい送信実験で紛らわせたのだ。
腕がない。
聖級魔法、大教皇クラスでないと切れた体は戻せない。
風呂ではいつものおっぱい活動を忘れてどうすればいいか考える。
現状、何も出来るわけはない。
アリアさんに後で聞こう、ずっとそれだけ考えていた。
部屋に戻ってアリアさんに話す。
言っていなかった腕の事も。
「光が見えるって言ったよねぇ。今はどうなんだい?」
ルーナさんがいるにも関わらずアリアさんは言う。
「凄く光っています、前よりも。
それとなぜか夜中にも光ります、最近毎晩」
書き出しに悩みました。