表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/115

ザンと獣人の預言者

“女神の祝福”は光っていた。



「最初はなんともなかったけど、昨日から少しずつ光りだして。

今日も光ったままだから気になってたの。


2回しか撃ってないから分かりにくいけど、最初も今のも普通の消費の感じ。

別に魔法はそんなに練習してないし、剣がんばったけど。


ちょっと外してみるね」



「おい、ちょ・・・」

何が起こるか分からないので多分イジワも止めようとしたが、外してしまっていた。


「別に変わらないね。光ったままだし」

「何が起こるか分からないのに、いきなり外しちゃダメだろ!」

ここはオレが言わなきゃ。


「ごめん。気をつける」

「分かったらいいよ」

すぐ指輪をまたはめる。




オレの戦闘は・・・

オーガと均衡状態にさえならなかった。


即後ろに回り込み首の後ろを斬る。

オーガにとってはわけのわからない動きだろう。


次の1匹は、すぐに2人の方に跳んだが、追いつき斬り、踵落としで地表に落とす。


余裕があるからできる。

無駄に蹴り飛ばしても意味がない。



強くなった・・・いや違うな。

速く移動できるというのが正しい。


あの憎い赤鎧と会った時を思い出す。



あの時、跳躍に自信があったからと、逃げるべき空間を見た。


ヤツから別に目を離したわけでなく、僅か視線がずれた一瞬に目の前にいた。

決め打ちで跳ぼうとし、予想外の動きに何も出来なかった。


『弱い』と見抜かれた程の実力差。

その上、動きでの完全な経験不足。


色んな意味で『痛い』記憶だ。




後は、わざわざオーガを探してはイジワとルナノが交代で倒した。


魔法はすべて一撃だった。

今の所の仮説では、指輪が杖のように魔法強化しているのではという事。


杖を使うと特定の魔法を強化するか、魔力を二割位増強できる。

それとは違うようだと言うし、増強しすぎ。

だが安全な場所で実験しないと、本当の効果は分からない。



強い魔物と戦うようになり剣で守ることにこだわっていたが、これから変わるかもしれない。





もう日が暮れそうになっていた。

全員夢中だった。自分達の力を確かめるように。


もっとも、ザンはオーク1、オーガ2しか倒していないが、ルナノとイジワの進歩を見るのに夢中だった。



クモ毒とヘビ革も勿論結構貯まった。


朝食が遅かったので何も食べていないが、荷物は軽く、急ぎ帰るのに問題は無い。

いざという時のために、保存食やキャンプ道具一式など魔法袋で持ち歩くべきだろう、と今更の話になった。



~~~~~~~~~~~~



ギルドはごった返していた。受付は順番待ち。

狩りや採取だけでなく肉体労働の派遣なども含め、精算にどっと押し寄せる時間になっていた。



イジワが列に並び、2人は適当に待つことに。


喫茶の席はどころどころ空いているが、どこに座っても相席になるので遠慮する。

ルナノもここでは流石に普通よりちょっと近いくらいで横にいる。




獣人が1人近づいてきた。いつものDランクのリーダーだ。

礼儀は心得ているようで、小声で話かけてくる。



「よう、顔見ねえから心配してたよ。秘密会議に秘密練習って飛び級でBランク試験候補にでもなったか?

まあ引き続きよろしくな」


「ああ」と、返答になってないような返答をすると獣人は戻っていった。

なんか聞いてきたが、追求するわけでも無く、普通の挨拶だった。


部屋に籠もってる事とか、なんか都合のいいように解釈されてるようだ。



考えれば、2人に聞いたところでは、当日その後もほぼ出血しておらず、ローブで隠したまま宿へ戻った。


この腕の事は誰も知らないし、おかしな噂のおかげで都合よく誤解されているようだ・・・。




並んでいるイジワに気づいたようで、いつもの普通の胸のお姉さんが走ってイジワの所へ。

イジワは今日の成果を言ったんだろう、3人とも仕切り内に呼ばれた。


事務員を1人呼んで「3分でいいから」と受付交代させる。



「前の応接辺りにいて」と我々に言うやいなやダッシュで上階へ向かった。


ごめん、オレ達のせいで忙しすぎ・・・。




応接室前で待っていると、ギルド長が来た。

「話は色々ある。まあ入りなさい」



「まずは、サエラから聞いたが、結婚おめでとう」


「ありがとうございます」

2人が声を揃えて答える。



「君たちは本日よりDランクとする。

今日の成果を含め充分な実績と、非公式には例の件もあるが、周囲が納得するものだと思っている。


それで・・・君たちもしくはザン君が引退するものだと思っていて、ちょっかいを出されないようにするために噂を流していたのだが・・・」



イジワだけ獣人リーダーから何も聞いていないので不思議だろう。


更にギルド長の話は続く。

「ザン君復帰後の初成果を聞かせてくれたまえ」




結婚翌日という事もあり、練習のつもりで出かけたこと。

オーク3匹を1人づつで倒し、物足りずそのまま奥へ行ったこと。

ルナノの指輪の件は内緒だ。


オーガを日が暮れるまで探し回り、10匹も倒してしまったこと。

おまけとして、クモ毒5瓶にヘビ11匹分。


すべて話した。



「うーむ、オーガが10匹か・・・。

・・・それで大事な事だが、それぞれ何匹倒したのかね」



「ザンが2匹、残り俺たち2人で4匹ずつです」


「そうか・・・」

ラダンの表情が微妙だった。



イジワがはっきりと理由を言う。


「勘違いしないでください、ザンが2匹なのはオーガのパターンに対応可能なのが確認できて、それ以上やっても意味無しと判断したからです。


あとは、ザンが安全確保してくれたので、俺たちも安心して初オーガでどれだけやれるのか確認出来たのです」


「そうか、充分だ・・・。


魔法袋から獲物を出す際は、常に1階奥の解体所にサエラ立ち会いで行きなさい」


「今から結構たくさん持ち込んで大丈夫です?」

「何を言ってるんだね、今から解体職人の働く時間だ」



ラダンが沈黙し話は終わった、かと全員立ち上がろうとしたが

「待ちなさい、話を総合して考慮する必要があった。

元々『デュエラノ』の討伐時点で上から()かされていたんだよ。


D級になるには一定期間必要だが、実績的に私の権限で上げることは簡単だった。

飛び級のためにも必要だ。


問題は、ザン君の事だったのだ。


全て信じよう。君たちは十分信頼に値する。

イジワ君とルナノ君は充分な実力を持ち、ザン君はおそらく・・・

想像を超えている事だろう」




「Bランク昇級試験に、自信を持って推薦する」


サブタイトル詐欺でした。(毎回)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ