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俺はランダムだ

次の日は、一応普段のルーチン(くりかえし)の通りに森へ出かけた。


「ふたりにお願いがあるんだけど・・・。

・・・やっぱり後でいい!」

途中、ルナノが顔を赤らめながら言った。


こ、これは!例の展開か!

俗に言うハーレ・・・あれ?逆ハーレム?



正直言うとこの歳に戻って多少ムラムラしたことはあった。


あれ?いま中二くらいか。

ということは本格的に目覚める前だったような。

ということは・・・・・・34歳のつづきか。


そのまんまかよ。



まあ優しく受け止めてあげよう。

交互なのか一緒になのかは任せる。


そういえばユウは・・・今の姿がわかんないしなあ。

変わってなかったりして。


女神様関係とは言っても数時間一緒だったかどうかだし。

もし会ったら告白されても・・・。




「ここでいいだろう」


今日は僕の【足】関係の練習をメインに、一日訓練の予定。

イジワの見立ては流石だ。


オークの出るテリトリー手前、かつある程度開けたところ。

多少の高低差は構わない、むしろあったほうが良い。

最も心配なのは、見通しの悪いところで誰か一人が襲われることだ。



ルナノが(うつむ)きながら言った。


「け、剣を教えてください」

「そんなことだろうと思った」

イジワは分かってたようだ。


そうなのか。そういう展開は無いのか。

よく考えりゃ、そういう事なら宿で言うよね。アハハハハ


「2人で頑張れよ」

渾身の丁寧語なしの一言を言い捨て、僕は離れる。

決まった。


残された2人は何も考えるまいと決心、さっさと練習を始めた。




少し離れて見ると、ルナノは短めの練習用木剣を振っている。

イジワが手取り足取り(いやらしい意味ではない)教えている。


僕は…俺は、練習しながら心の中で一人称変更も訓練だ!


魔法のワードを繰り返し唱える。人前では恥ずかしくて言えない。

 (俺はガン○ムだ! 俺はガ○ダムだ!)



ぼk…俺はまず比較的平らなところでまずは軽く、単純に走り、ジャンプを繰り返す。


離れすぎたと思ったら、逆に2人に向かって進む。

前になら1回で4メーター程度か。


次はバックステップも交える。まだあくまで軽く、だ。

バランスを崩しかけるが、コケはしない。

良い感じ。



今度は、ランダムな方向に飛ぶ。

(俺はランダムだ!)


以前とは疲労感が違う、いくらでも走れる。

だんだん力が入ってきて・・・いや、これはあくまでスピード重視なのだ。


走り全力、ジャンプは手加減。それでも自分が別人のように動けることに感動を覚える。

(俺はガン○ムだ!)



走りジャンプは安定して出来るようになった感じ、だが次が本番だ。


まずは木剣を取り出して(念の為腰には剣を持ったまま)構え、飛ぶ。

コケない程度に全力、だがやはり転がる、難しい。


一気に間を詰める、離れる、の練習だ。



オークやベアー、その他の身長の高い敵には上へのジャンプも有効だろう。


その際には空中でフリーな状態で攻撃を受けないように、剣を振るいながらになるだろう。

ある程度の木の下から飛び上がり、枝を斬る、そういうのがいいかもね。

木は動かないけど。


いや、今は水平距離の練習だ。

(俺はガ○ダムだ!)



構えてから飛び、踏ん張る。

それは出来るが、剣が振れなければ意味がない。


ちょっと訓練に変化を加えよう。

「俺はガン○ムだ!」


ついに声に出した。

大いなる一歩だ。




結局、ガ○ダムばかりだと権利的にもまずいので、ドラゴンとか強そうなものを順に叫びながらかなり分かってきた。


8割位の力で飛び剣を振る一連の動作。

軽く5メーターはいけるか。



小説とかで“縮地”というスキルがあるが、確か武術や剣術でそういうのがあるとネットで見たことがある。


要するに歩法というか特殊なステップで近づくみたいだが、そういう感じいやそれ以上にはなれると思う。

本物の“縮地”も出来るならいつかは。


「俺は・・・」

「ごはんよー!」

俺はごはんだ。



聞くところでは、この世界では一日二食らしいが、冒険者の場合、早朝出かける前に食事を摂るので昼食は必須だ。

帰り道に力が出ない状態では危険過ぎる。




ルナノは悩んでいたようだ。


遠距離、後方支援としての役割は大きい。

現にオーク戦では見事にファイヤーボールを命中させて動きを止めた。


上級魔法はまだからっきしであるものの、中級のアロー系も撃てるようだ。


回数制限があるので無理に使わないが、その気になればオークにも一人で勝てるかもしれない。



だが、たった一日数発・・・今迄の3倍近くの10数発は撃てるようだが・・・の攻撃以外の待機時間。

敵が強くなるほどそれは多くなる。



単純に戦いたいだけではない。


背後から別の魔物に襲われることもある。


更には、森に入るに連れ“エイプ種”が出るようになる。

エイプはある程度の知能を持ち、集団で連携して攻めてくる。

十数匹の集団などザラにいて、包囲してくるそうだ。



魔法の訓練は人一倍やってきたが、今更剣の教えを請うことが恥ずかしかったという。

恥ずかしくなんか無いと思うが・・・。



「俺は恥ずかくないと思う、だ!」

唖然と2人が見るが、知らん顔でまた食事に戻る。


“湯の宿”特製の湯の宿弁当だが、いつかは嫁の弁当を食いたいものだ。


そういえばイジワは童貞なのだろうか。

いかんいかん。俺は(素人)童貞だ!あくまで心で叫ぶ。




午後からは、2人は木剣で相当軽くに見えるが打ち合っている。


ルナノの動きは結構いい。

自分が言うのもアレだが、すぐに追い抜かれるくらい上達しそうな感じさえする。



こちらは全力はまだ無理だが、8~9割の力で飛び回り、任意のタイミングで木剣を構えたまま止まる。

あるいは剣を振ることも交えつつ。


いつかは、いやそのうち、岩山だって一気に登れるようになりたい、いやなる。


全力未満の動きで考えられるパターンを全てやれたかどうか、というところでもうそろそろ帰ろうということになった。





夜の自主練習で分かったこともある。

一番は短剣の長さ以上に“(まと)える”ことだ。



最初は光でイメージしていた斬り能力が、まさに剣に“纏う”という感覚にいつの間にか変わっていた。



ここに来て最初のオークを斬った件、あれは女神様のサービスだったのかスッパリと胴体切断したが、未だにそれほどの効果範囲は無い。


そのかわり、同じように斬ることによる防御の方法があるはずだ。


例えば、ワイルドボアに吹っ飛ばされたことがあるが、そういう時は衝突前に“纏え”ばスッパリと切断し衝撃を相当減らせるはず。

毛皮はかなり安くなるが。



オークに殴りつけられても、切断することで防御できるはず。

よほど速い魔物の攻撃でなければ。


斬りの制限完全解除は遠いようなので、どれほどの攻撃が斬れるのか、刃物の攻撃が斬れるのかとかは分からないが。

実験して手持ちの武器が切れでもしたら目も当てられない・・・。



まだまだ強くなれる。気づきしだいなのかもしれない。

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