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ザンと横領カップル

獲物の持ち帰りは手順の簡易さを優先した。


ベアーをまず水魔法で冷却。

ベテラン勢に教えてもらった方法だ。

売値が違ってくるらしい。


冷却と言っても別に水をかけるわけではないようだが、魔法については知らないことが多い。



ベアーの血抜きをしながら、オークは魔石のみ回収、放置。

毛皮を剥ぎ、肉や胆を切り分け、取り出し。

一気にやる。


ギルドまでは割と距離があるし、熊丸ごと運ぶより切り分けたほうが良い。

切り分けるには毛皮も剥いでおく必要があるわけだ。


肉を目一杯ズタ袋に詰めていくが・・・どう見ても持ち運べる量より多い。



取り敢えず再度冷却。


調節すれば攻撃魔法ほど魔力消費はないそうだ。

「魔法の練習と訓練にもなるから」

笑って言う。



【足】の効果があるかもと思い、一つ、二つ、三つと持ってみる。

2・3人分だが。


うん、持てる。


力持ちの能力は無いはずだが・・・恐らくレベルアップ、プラス【丈夫な体】プラス【足】の相乗効果か。


特に上半身が弱いということも無さそう。




僕以外の2人も恐らく自覚は少ないがレベルアップしているはずである。


出会ったときには「3ヶ月目」と言っていたが。


自分にしょっぱなオーク事件の5レベルアップがあったとしても、同一パーティーでずっとやっているのでだいたい同じくらいのレベルのはず。



レベルの上がり方だが、しょっぱなでオーク程の魔物を倒せばそりゃ上がるだろう。


今日はピッタリ1づつ上がったが、10に上がったのはぎりぎりのはず。

これからはオーク数匹、更には上位の魔物や獣を倒さなければならないだろう。


魔力含め2人共能力向上しているのだろうが、自分のようにはっきりした変化は感じないのかもしれない。


マジ女神様有能。



魔石回収して放置したオークは、そのまま残っているかワイルドウルフなどに食い散らかされているか微妙だが、普通は確認しに戻るところ。


だが、僕の提案で今日は宿に戻ることにした。

魔石も取っているし、民家近くでもなければ迷惑になることはない。


稼ぎとしては(今までと比べ)充分。



まず僕の能力はもちろん、2人の能力向上も確認するべき。


あとは、僕の能力の特殊性やその理由、仲間ともいえるユウさんの事、などなどとりあえずの話がしておきたい。




軽く洗濯した装備と服を干し、部屋に腰掛ける三人。


「今日はどっと疲れたな。やめて正解かもな」

いやいや、検証の立ち会いというか対練してもらおうと思ってるのに。


「僕ちゃんのくせに力持ち。ビックリ人間か」

なんでルナノはいつも嬉しそうに言うんだろう・・・。

イジワみたいに“俺”って言いたいけどさ、きっかけが無いんだよな。



「えーと、後でお互い強くなってるか確かめたいですけど。

例の、“魔物を倒すと強くなる”っていうのかな、大物3匹だし。

ルナノも魔力とかどうなってるか知りたいですよね?」


「それね。寝る前に氷作ってやってみる」


寝ると魔力回復するというのは知っていた。

戦闘中ぶっ倒れてもしばらくそのままで回復するらしい、もっとも命の保証は無いが。



「それで・・・僕がこんな変な力ばっかりなのを説明しておこうと思ったんです・・・」


「俺らも何も話してないよなぁ」

それに頷くルナノ。




「俺は貴族の出来の悪い息子でね。ルナノは幼なじみ」


「私はさえない商人の娘よ」

「結構すごい商人だろ、あちこち支店あるし。金も・・・」


「結婚するって言って2人で飛び出したの」

ふたりともゲラゲラ笑っている。まあ大体は察した。


田舎なので、2人して安全な野山で冒険者ごっこをしていたそうだ。

勿論イノシシとたわむれたりはしていない。



「こいつのおかげで装備は結構良いのが買えたんだ。後は知っての通り」


知っての通り、って全然わからないので聞くと

・ルナノが結構な額の金を持ち出してきた。

・かなり旅をして離れ、偽名なので見つからないはず。



2人共15歳で成人してるから、理由としてはありか。

後は知らん。


本当の名前は聞かなかった。

意味ないし。




「僕は・・・すっごい離れた国から来てて。

お金も違うし、何もかも違う所です。

ちょっと信じられないかもしれないけど、“神”みたいな人に会ったんです。

一緒にユウという女性がいました」


後は能力など、“レベル”という言葉や概念は取り除き、まあこっちで常識的かと思える程度に抑えて話した。

常識超えてるけどね。



2人は・・・意外に落ち着いていた。信じてくれるのか。


「実際見たからな。今日のも」


「やっぱりビックリ人間だったのね。

遠い世界では“僕”が標準語・・・」

ルナノ、ニヤニヤし過ぎ。


なんでやねん、とかのツッコミはやめておき僕は続ける。



「こんな力を貰って、なんかの役目があるのかとかは分かりません。

ただ、一緒に飛ばされたはずのユウさんにいずれは会わなければならないのかと。

なんとなくですが」


恩と“縁”のある2人と別れるつもりはなく、一緒に強くなる修行とランクアップを目指すことは明言しておく。




「持ってる本も冒険物語ばっかりみたいですね」

「イジルの英雄譚最高だし、大魔法使いルーナすごいよね」


「まだほとんど読めないので、引き続き字のお勉強よろしくお願いします」




イジワとの立ち会い。


まだ冒険者の帰る時間ではなく、見られる可能性は低いだろう。

いや、イジワは大丈夫だが、僕のほうが色々まずいかもしれない。


まずは、一気に踏み込んでみた。

飛びすぎてゴロゴロと転がる。


イジワは難なく避けた。



「最初はもっと練習したほうが良くないか?」

「はい、あ…うん。

お互い危ないから、飛ばずになるべく剣技だけでやりましょう」


改めてお互い構える。


イジワはノーモーションから剣を振った、鋭すぎ!

瞬時、無意識に一歩下がって避けていた。


これが【足】。

名前格好悪いけど、すごいぜ【足】。



見えてはいたので避けようとは思った。

普通は体が動かないはず。


「ちょっと待ってくださ…、待って」

言葉遣いを変えようと無理しているが、イジワは何も言わない。

いいやつだ。(こればっかり)


「まずそれぞれ全力で素振りして、戦いを想定して動いてみましょう。

丈夫な僕…が思い切りぶっ叩いたら危なそうで。

ちょっとあれこれ叩いてみます…みる」



まず、並んで素振りする。

鋭い、速い!イジワが。自分はどう見えているのか。



以前、ハゲになった木にイジワが木剣を振ると。

切れる。鋭利にではないが。

自分でも同じようになんとかできた。



振りまくって、色んなものを切って、叩いて。


オークを思い受けべながら動いた。交互に。

イジワはオールラウンドに以前より数段早くなっていた。

あまり参考になったとは思えなかったが兎に角伝えた。


イジワは戦闘で優秀な司令を下す。分析・判断力はすごい。

彼は意外なことを漏らした。



「剣速や動きでは勝てる気がしない。

普通に両手剣でもやれるんじゃ?

意地を張らせてもらえば、技ではまだ勝ってるかもな」

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