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前夜

「持ってきたよ」


イジワは伝記の読み込みとスキルリスト作りで徹夜・・・はしなかった。


呆れて即、ザンの念話周波に集中。

アツノがサポートしている事もあり、ザンは即応答する。

対処が決まったので、すぐに寝ることが出来た。


正確にはすぐに寝てないが。




「初版なのに・・・」

「恐らく、本人は伝記なんて嫌がってたんじゃねえか?」

「出せるようになったとたん、遺族が多分やりたいようにやったなのです」


「俺の読んだのは、確かに酷かったがそれ程でもなかったぜ。

割と最近だが。大げさなのは削っちまったんだろうな」

ロロ(ろろ)はこういう分野は好きなようで色々知っている。


「初版は盛り過ぎだが、本当の話も混ざっているかもしれない。

それを後で削ったから、更に訳がわからないわけか。

全くひどいもんだ」

イジワの苛立ちは分かるが、ここはちゃちゃっとやることをやる。



ザンが本を手に取り、トランプのようにパラパラと指をずらす。

超速読、とでも言う感じか・・・。


(一番最初の方、もう1回じゃ)

まためくっていく。

(最初3分の1くらい・・・もうちょっと前じゃ)


4回ほど繰り返し終了。

もう、ザンが覚える必要は無い。


(動作や効果で分類したが・・・似たのは更にまとめるぞい)

全員にアツノの声は聞こえている。

何が出来るのかは分からないが、不安は無い。



ザンはほぼやっている事の意味が分かる。

全ての内容から、類似スキルを分類して試せる物をリストにするのだ。


この手のデータソーティング(分類・分析)はよくやった。

PCでは定形になったデータを分類集計するだけだ。

本全部なら、ニュアンスとか語尾など微妙な違いが分からず、トンチンカンな結果になる。


小説を書くAIは聞いたことがあるが、一見どんなに本物らしくとも人がプログラムした偽物、データの組み合わせに過ぎない。

また、人の書いた文章の分析など、定形に当てはめて処理するだけだ。


自律して考えるアツノの出す結果には興味津々だ。


(うむ、12種類じゃな、ただしこれは今回の件が終わって試すのじゃ。

今の“超神速”と“光斬(こうざん)”のみ、まず鍛えるがよい。

こんなんでましたけど)



光斬(こうざん)”が名前か。

もう一文字最初についても良さそうだが、本物だけにルノワ本人が地味な名前にしたのかも。



「ロワのうごきだけど、みんな気になるとおもうからはなすのです。

聖人のときみたいに一斉に集まるわけじゃないようでじょじょに人がふえてるのです」

通信石(上位版?)を隠す気はもう無いようだ。


「ああ、この石は映像やあるていどの言葉なら送れるなのです。

ザンとユウはたいけん済みなのですね」

アツノに言われたこともあり、情報を教えてくれるようだ。


「あつかえるのは里のものだけなのです、たぶん」




森に一応一緒に出掛け、ザンは一つずつ属性ゲージを高めていく。

4時間あれば1属性につき30分弱の時間を取れる。


イジワも徐々にスキルに慣れていく、レベル70もあるのだ。

今いる全員と“魔断の風”も揃っていた頃から、仲間内では“天賦の才(ギフト)”と言うよりもスキルと呼ぶほうが多い。


ザンの影響だ。

天賦の才(ギフト)”がごろごろ有りすぎて、ザンとユウの言う“スキル”という呼び方に慣れていた。

これからまた増える。



ザンユウとシンヨル、全員が強くなっている。






いつもの風呂だ。

この世界の運命を握る。

夕食のメニューなどどうでもいい。


昨日と打って変わり、アリアがおとなしい。


広い浴槽の一番奥に5人揃っている。

「開発するのです」

リリアにも横に並ぶように指示し、アリア・ルーナ・リリアと並ぶ。


「ルーナはいつもどおり、リリアは遊撃として自由に。

あ、あたしは開発してほしいのです」

よく意味が分からないが、特に問題もない。


わざわざリリアにまで指示をして並ばせた、影の黒幕を想像する。

周囲にはアリアが認識阻害の結界を張っているそうだ・・・。



これほど大げさに、とユウは思うが世界の命運がかかっているので仕方ない。

「お姉ちゃんちょっと待ってね」

ルーナへの気遣いを忘れぬようにし、リリアに手を伸ばす。


あ、中心部をつまんでしまった。

リリアが初めての反応を示した。

あからさま過ぎるので、全体を包み込むようにする。


顔を赤らめるリリアが綺麗だ。

「リリアさん、お姉ちゃん・・・」

ふたりに抱きつく。



依然、アリアの扱いが分からないが、ルナノが何か話している。

個人授業か。

そのうち参加しよう。



断っておくが、寝室での百合展開は一切無い。


これは、世界の命運を握る健康的な裸のコミュニーケーションなのだ。




9時を過ぎたが全員集合。


「『女神様による平和を祈る集会』、略してヘイワカイは明日夕方なのです。

女神様の名をかたるのは腹が立つけどおいとくとして、午前中にはロワのアジトにいくのです。


ウールっていう筋肉ばっきばきの女戦士が手引してくれるのです、イヒヒ」


ユウはウールの名前を聞いてほっとする。


「リリア、ユウはアードスなど軽くひねってくれるのです。

アツノさんの保証つきなのです。


問題はウインドだけど、それもふくめて今回はたよっていいそうなのです」



(よしっ、うん! まかせんさい。

こんなんでましたけど)

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