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イジワ、新スキル

イジワは少し焦っていた。


あと2日。

元より戦闘力に不安と言える物はない。

何より、ザンとユウがいれば自分達は補佐に徹すればいい。


だが、使えるはずのものが見つけられないのは嫌だ。

もっと出来ることを。


イジワは神速の斬りを繰り出す。

せめて、極めねば。



1段上がった。

神速がだ。

もうオーガはズタズタだが、さらに繰り出される剣。


オーガは魔石もろとも粉々になった。

膝を付き、肩で息をする。

神速の初期と同じだ。


まだ周囲に注意は払っていて、普通にならオーガにも対応できる。

皆のところへ戻る。



「さしずめ、“超神速”なのです。やはりすごいのです!」

「一安心だね、頼りにしてる」

ザンも自分の事のように嬉しかった。


万が一“神速”を見切られても次がある。

敵には信じ難い事だろう。

持続時間はもっと伸びるはずだ。



ロロ(ろろ)は一発でオーガの動きを止める。

毎回同じに見えて、実は腱、靱帯、筋肉とほんの少し位置を変えている。

その後の倒れ方で、どのように効いているのか見ている。


方向をメインに、距離によって茶さんとリリアが分担する。


茶さんは首以外の『隠れた急所』で止めを刺す。

自分が高速で動きながら通り過ぎざまに。


リリアは距離や速さは劣るものの、初期のザンのように動き回る。


ルーナとルナノは主にクモとヘビを狙う。

交互に上を見れば問題無い。

クモは足全て綺麗に切る感覚。

ヘビも急所のみ狙うが、皮を剥ぐのにルナノが精密な切断を行う。


ルーナは魔力が減れば、交代での上への監視でルナノに声をかける。

ルナノはまだ余裕がある。



ザンは少し離れ、斬る対象によって変化するゲージを観察している。

どうやら、属性を変えた上で斬りをそれぞれ高められる。

無属性から高めていく。



ユウは満杯以上踊って、その後複数魔法陣発動に挑戦している。

また満杯にして繰り返しだ。



アリアは今までと違い、手と指を組み合わせ何か詠唱する。

定期的に気合の広がりが起き、全員がどきりとする。

依然、意味が分からないが・・・。




イジワは“超神速”の回復時間に背後にオーガの接近を感じ、斬る。

なんと、距離を間違った。

オーガはまだ遠くにいた、が・・・。


剣筋が光になって伸び、オーガを切断した。

若干疲れはあるが、“超神速”の連続ほどではない。


念の為、回復を待ち放ってみる。

精度を高める必要があるようだ。


能力が見つからないどころか、訓練時間が足りないほどだ・・・。



「まあ、なまえは・・・ルノワの伝記からさがしておくなのです!」


全員唖然だ。

英雄の右腕の伝記を読んで、全て試したほうがいいかもしれない。




午後は対練だ。

魔法師2人とロロ(ろろ)も見て目を慣らす。

果たして本当に見えるかは疑問だが。


防御のみのザンの二刀流に全員が挑む。

イジワが“超神速”で攻めるが、ザンは木剣を弾き飛ばす。


「ヤバいから弾き飛ばすしかないんだよ。

もう少しだと思う」


再開、ザンの二刀流はまさに『舞闘術』のようだ。

実際は全く違うし、見るものが見れば分かる。


だが、ゆっくりと流れるような動きでイジワの“超神速”さえほとんど防いでしまうのは夢のように見えるほどだ。

全ての能力のサポートがあってこそだが、名人級なのでは。


上には上がいる、というから分からないが・・・。

ザン自身も力を上げている。




「おつかれさまなの、イジワにはびっくりなのです。

英雄の右腕の本はユウがさがすのです?」


「大丈夫だ。

伯爵が集めていたらしく、うちの屋敷に初版本がある。

改変が最も少ないはずだし、書き出して試してみるよ」

聞いてみればなるほどだ。


というか、イジワ自身読まなかったのか。

まあ初版本なら大丈夫だろう。


先にイジワを石なし転移で送る。

一瞬で戻るが、ザンが警戒する。



うまい夕食に軽い酒。


気分良く風呂に向かう。


アリアも、ユウとルナノに紛れ込んでいる。

「お姉ちゃんなのです」

「アリアは・・・ルーナを名前で呼んだほうがいいと思う」

「そうですね、殴りたくなるのでぜひそれで」


ユウとルナノはこれから慣れるしか無いのだ。


この世界を巡る攻防に、ロリババア要素はどの様な影響を与えるのだろうか?

予想不可能である。


リリアの攻略不能と思われた高い壁は崩れたが、今後アツノの協力が得られるのかが焦点だ。


リリアはルーナの吸い付きに魅せられ、もう離れてはいられないようだ。


尚、リリアの指示により周囲からこの状態は完璧に隠蔽されている。






その頃、イジワは自宅で食事と風呂を終え、励んでいた。




伝記の読み込みとリスト作りである。


「こ、これ程とは!」

驚愕であった。


「凄すぎる・・・」

次のページがめくれない、あまりにも凄い。



英雄の右腕ルノワは、幼少時の1ページ目からスキルに目覚めていた。

ほぼ1ページごとにスキルに目覚める。


果たして、これを全て試せるのか?

一生かかりそうだ。

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