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さとがえり

第五章開始です。


セラルカ聖堂の鐘。


普段は毎日朝6時から夕方6時まで時間の数だけ鳴る。

この世界の時間は元の世界と同じ。

昔の勇者が作らせた時計と関係あるらしい。


聖者または悪魔が訪問した時、ある預言者が告げた時、諸説あるが世界の変異を知らせる時に13回鐘が鳴るという。

良い知らせか悪い知らせかは分からないが、何かが起こる予兆だ。


この事は数日中に世界に知れ渡り、人々は畏怖する。




「鐘を鳴らせるのはわたしたちだけではなかったのですね」

ユウは当然のことに今更気づいた。


「そうあることではないですからなの。

ウインドも悪魔教も、まさか鐘を聞くためにセラルカにずっといるわけじゃないはずなのです。


これが世界に伝わって、何がおこるかは待つしかないなのです。

できることをしながら」


(御名答じゃ)


「寝てえいきをやしなうなのです。

かいさん!」


ユウは一度清浄をかけ、寝る前の運動とばかりに言われた通り満杯から更に踊る。


踊り終わるとルーナが浮かべておいてくれた光の玉が消える。

「おやすみなさい」





イジワは家で朝食を摂り7時出勤、

全員で昨日に続き狩りを行う。


ユウは一応【聴】オンだが、特別なことが無ければ指示は出さない。

今日目が覚めるとアツノの言う通り、目に見えて魔力全体量が増えていた。

更に踊る。


ザンも【視】オンで視覚情報に注意だけは払う。

属性には木火土金水、確か前の世界で五行といわれる物が含まれる。

後は、風と光と闇。


集まらないのが、金と闇である。

金は希少金属や金属ゴーレムなどを斬れば良いらしい。

光はユウの魔法陣とシンクロさせることで成功した。

闇魔法を斬れればいいのだが・・・。



シンヨルはそのまま教えられたことをこなす。

茶さんは、ただでさえ素早いオーガの各部位を狙って連続で突く。


リリアは昔のザンのように走り、跳ぶ。

本人なりの限界を昔のように目指して。


ルナノはいきあたりばったりだった指輪の特性を、意識して使う。


最も分かり難いのはイジワだっただろう。

オーガの接近を待ってから、最低のみ神速発動で乗り切る。

これでいいのかはまだ見えない。


全員クモにもヘビにも注意を怠らない。



「おひるごはんなのです!」


全員集まり、転移石無しでギルド応接に跳ぶ。

もう必要時にしか転移石は使っていない。


応接に人がいれば隣に、そこもダメならマスタールームに、まあ要するに近所なら自由に調整可能なのでどこでもいい。



食事は“湯の宿”に戻ってからだ。

弁当でも魔法でチンできるが、ここなら出来たてを自由に頼める。


「昼からは、うちにきてみるなのです。

ちょこっとアレをたおすのです」

「おい、待て、いきなり過ぎるだろ!」


「ちょこっとたおせるわけないなのです。

さとがえりです」

「ああ、里帰りか。文字通りだな」


漫才がイマイチだが、あそこに行けるのは凄い、らしい。




「ではいくなのです」

転移石に魔力を流し込む。


広場が見える。

特に人目は気にしなくていいらしい。

ログハウスがある。

アルプスの少女だ。


半分以上魔力は消費しているが、遠くに来たのか場所が掴めない。


「結界も問題無しでぬけたのです。

さすがなのです」

聞くと、結界で一旦止められると予想していたらしい。

実験を兼ねていたようだ。


おじいさんが歩いてきて、珍しそうに全員を見る。

特に慌てる様子もない。


「おじいさーん」

「おお、アリアが若返った!」


どこかで聞いたセリフで感動の再会のようだ。


「この方達は?」

「なかまのひとなのです」

「仲間か、それはいいが相変わらずおまえは変じゃのう。

皆のところに行くか、寄り合い所におるぞ」



「ただいまー、なのです!」

「おおー、アリアちゃんじゃないか。

若返って頭を打ったか」

「昔からこんな感じだろうが」

「聞いてたが相変わらずだな」


少し年上の女性と、若めの男性2人。

皆背は小さめだ。


「父ちゃん母ちゃんと会っていくのか?」

「こんかいはいいなのです、またくるので。

次はエンシャントの間引きでもするなのです」


「エンシャントを? バカなことを、ははは」

「この人達をなんとこころえる、ザンユウのパーティーにあらせられるぞ」


「なんと、すげえ!」「ウソでしょ!?」「一目で分かったぞ俺は」

「なにをかくそう、わたしもメンバーの一員・・・」

誰ももうアリアの言葉は聞いていない。


ザン達と握手を交わす里の人達。

「あの鐘の事は以前から聞いているよ、俺達に出来ることがあれば」

「武器を作るなら任せろ」


「ロスロ、武器というより金属のことで来たなのです。

ミスリルとかインゴットあるなのです?」

「ああ、ちょっと材料が高いがいいの作るぞ」


「作るんじゃなくて、ザンユウのザンさんが斬るのです。

ぞくせいを得るなのです」

「冗談言ってんじゃねえ、斬れるもんか」


「賭けるです?」

「もちろんだ」


騒がしすぎていつ終わるのかと思っていたらおかしなことになっている。



ロスロの工房へ行く。

ここは炉があるからか、石造りだ。


おじいさん含む全員見物に来ている。

工房から、ザンを含む数人でミスリルの塊を運び、木の台に乗せる。


ザンが刀を実体化させる、無属性の白だ。

振り下ろす。

抵抗はあるが、数秒で切断した。

台を斬らないよう止める余裕がある。


「斬れた・・・繋げられるが、加工が大変だ・・・」

「どーせ使う分切るなのです」


ユウが白金色の魔法陣を出す。

「おお腰の痛みが」「足の痛みが」「体が軽い」「若返った…気がする」


「もう一度だけ、斬らせて貰っていいですか?

サイズ指定があればその通りにしますよ」

「もちろんいいが・・・自由に切れるようなもんじゃないぞ?」

「言ってみてください」


ロスロが大きさを細かく言う。


ザンの刀が純金色に変わった、インゴットより少し長い刃だ。


スパン、音がしたわけではないがそんな斬れ方だ。

一刀両断、正確に。


「ロスロさん、アリア、ありがとう。

これで後は闇属性のみです」


「これ斬ってみそ、なのです。

闇よ飛べ!」


ザンは慌てて無属性の剣に戻し、闇を一刀両断した。

闇は消えた。

徐々に黒くなる剣、闇属性の漆黒の剣だ。


アリアのプレゼントと言うか隠し玉で全属性集まった。

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