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新しい仲間

「話を思い出すと・・・時間的には聖女のメイリアさんがナーラで消息が途絶えて、サラス地域に来た聖人は・・・」

ユウが口ごもっていると、ザンのサポートが入った。

【調】は切っていたはずだが・・・助かる。

事件のイメージが時系列で流れてくる。

「アイリアムという人だった。

ところが、治療後に数千人を生贄にした大儀式を行った。

それが悪魔教の始まりですね」

「そのとおりなのです。

ユウの・・・ザンユウの読み解くおはなしをきかせてほしいなのです」

「ちょっと待ってください」

ザンの自動思考回路がユウの頭の中で走っている（動いている）。

自分の頭で考えているように感じ、思わず【勘】を重ね合わせる。

【無】で究極まで集中すると・・・。

全く別の思考が走っていた。

（ザン、何かした？）

（何が起こったんだろう。切ってたのに繋がって合わさった。

今来たのが何か気になる、様子を見よう）

いつまでも黙っているユウに、助けを出そうとした茶さんに、アリアが予想したように手を挙げて制する。

「まず、単純な仕掛けからひとつづつ。

アンテはとっくに辿り着いていると思いますが」

ザンとユウにだけ分かった。

アリアもかもしれない。

別の誰かが喋っている。

喋っているのはユウに見えるが。

ユウは懐からメモとペンを取り出す。

　　MAIRIA（メイリア）

もちろん、こちらの文字とアルファベットだが、現代の文字に当てはめるとこうなる。

　　AIRIAM（アイリアム）

アナグラム、というか逆さにしただけだ。

「アイリアムというのは偽名ですね。

アリア、メイリアの死の直前については調べているんでしょう？

教えてください」

「うん、余命の限られたメイリアはナーラで愛する人と出会ったのです。

ジョゼという男性と結婚式を挙げたことまで分かってるなのです。

あと、アイリアムはジョゼと同じに見えたそうなのです」

「見えたというのは？」

「とても男らしかったジョゼと、聖人のアイリアムは、姿形は同じでもまるで行動が違ってたなのです。

証言できるのは僅かなひとなのに断言できるほど違ったなのです」

「とっくにアンテは出している答えですが、私から改めて」

ユウの口調が微妙に変わっているが、続きを聞こうと皆黙っている。

「聖女メイリアは、命の尽きる直前に愛する人に出会いました。

そして聖人として生き続けるために、やってはならない事をしました。

ジョゼの意識に乗り移り、聖人を続けることです」

「なぜそうだとおもうなのです？」

「ジョゼを愛していたからでしょう。

愛する人の中で生き続け、また多くの人を助け続ける、なんてすばらしい！

という思いで、メイリアはやってはいけない儀式を行ったのです。

アンテの記録にあるかもしれません」

「うん、きくにたえないのでそのへんくわしくはパス１なのです」

「メイリアは『アイリアム』としてジョゼの中に生き続け、また病人を救い続けました。

既に報いというか罠が始まっている自覚無く。

終(つい)には、まさしく悪魔を呼び出すことに成功したはずです。

“悪魔教メイリア”の始まりです」

「みごとなのです」

「こんなんでましたけど」

ユウがいつもに戻ったような、変に、いや普通に戻った。

「あの、これ私の考えじゃありません。

今度頭に響いたら、この人だと思ってください。

質問は分かる範囲でなら受け付けます、ザンさんお願いします」

「謎は分かったが、説明の後の説明が説明になってなくて・・・」

ロロ(ろろ)が面白がっているのか怒っているのかよく分からない。

ザンが少し悩んで説明を始める。

「えーと、これがふたりに同時に出た【調】の本当の力です。

今まではオレとユウが別々に自分の能力を組み合わせつつ良い結果を出そうとしていました。

これまでの努力は、最終的な能力統合の布石だったわけです。

この人、統合能力人格はアツノと名乗っています」

（よしっ、うん！　皆さんよろしく！）

「うわっ」「きゃあ」「うぉっ」「なんだ！」

男性とも女性ともつかないしわがれた声だった。

かえって分かりやすいかもしれない。

「ちゃんと注意すれば本物かどうかすぐわかるので、仲良くしてあげてください。

アツノさんの力で能力の伸び悩みも、皆さん含め解決するはずです」

イジワにも連絡するが、特に何も起きなかったようだ。

一応概要だけふたりから普通に説明した。

アツノさんはあれから喋りかけてこない。

いや、しょっちゅう喋られても嫌だが。

きっと、夜中も解析作業を進めている。

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（よしっ、うん！　午前中は【聴】無しで森の奥で狩りですね。

全員で組んで、ザンは属性を意識してください。

午後は、木剣で剣士は模擬戦、その他はお休みで。

こんなんでましたけど）

『こんなん』の部分だけ関西弁っぽい。

夜中にはどういう思考をしていたのか聞くと、寝ていたそうだ・・・。

そう、睡眠は大事。

しょっぱな、ポイズンスパイダーに気づかず、ルーナが解毒を受けた。

ザンも【視】を切っている、午後の模擬戦では使う予定だ。

スパイダーの土属性、バイパーの水属性にも対応する。

【聴】全く無しで、かすり傷ではあるが治療をすることが多い。

模擬戦では、ザンがそれぞれと立ち会うことで観察できた。

結果は・・・

（風呂から上がったら、話しますね）だそうだ。