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ダメ人間ばかりの異世界を俺が作り替えた話  作者: 花咲彩音
魔水邪悪編
13/16

13話 契約

6月の初更新です!

中々リアルが忙しいので更新頻度が下がりますが、読者の皆様の為に頑張ります......!


corridorと白い大理石に掘ってある壁の道を通っていく。

ルミナスについて行く。

corridorって確か、日本語で廊下って意味だったよな。

英語は、この異世界でも通用するのだろうか。

俺は前も言った通り、理系なので文系の英語は苦手だ。

英語とはおさらばできると思ったんだけどな.....。

「星夏さん、ここでいいです。」

「お、おう、」

ルミナスは立ち止まり、俺の方を向いた。

その場所は人が少ない廊下の端。

「それで、話って」

「前にも言いました。が、今度のお願いはちゃんとします。」

「...........え?」

俺にお願いされることはただ一つ。

だからすぐに分かった。


「自分と契約しましょう。」


「......契約?」

予想外の言葉に同じ言葉を繰り返してしまった。

ルミナスの瞳は一ミリだってふざけてなどいない。

真剣で真っ直ぐしている。

「この世界では約束事や決め事をする時には、【契約】を交わさなければならないんです。」

初耳だ。

さやかもルミナスも一度は世界を作り替えて欲しいと言ってきたが、「【契約】をしよう。」とは持ち掛けられていない。

「約束事や決め事って、何をするんだ?」

「星夏さんにお願いする事はひとつしかありません。」


「この世界を作り替えて下さい。」


初めに予想した事と的中した。そして、



「その対価として、自分の命を捧げましょう。」


「え。」

命?

「何言ってんだお前!?!命を捧げるって、は!?」

思わず、ルミナスの両肩を強く掴む。

「言葉の通りですよ、星夏さん。」

「は!?おま、死ぬんじゃないよな!?」

「死にはしません。個体として存在が消えるだけです。」

「どっちにしても死んでるようなものじゃねーか!?!ルミナスはそんなにこの世界を作り替えることに意味があると思ってるのか!?」

「あるに決まってるじゃ無いですか!自分にとってこの世界は、意味があると思ってるんです!」

ルミナスは声を上げた。

「それに、星夏さんの素質、《夢作替具現化》は自分の命一つと同じくらいの価値があるんです、別の対価なんて用意できません。」

「...........。」

叫び、言い合いは自分の沈黙によって終わった。

だが、納得はしていない。

ルミナスが消えて、その代わりに俺の魔法でこの異世界を作り替えるなんて。

作り替えること自体、自分が出来ると確信できないのに、ルミナスの命がかかるなんて、不安とプレッシャーで押しつぶされそうだ。

第一、ルミナスがどうしてそこまでしてこの世界を作り替える事にこだわるのかが分からない。

「星夏さん、お願いです。」

あの、上から目線で毒舌で人を見下すようなルミナスが跪いている。

どうして......。

「なんでそんなに.......。」

「.......、大切な人を、救いたいんです。」

「...........え?」

ぽつりと本音を漏らす。

「この、《魔水邪悪》に大切な人がいて、その人を救うためだけに、自分は使者をして、世界を作り替えたいと思っているんです。」

大切な人。

俺の大切な人は、家族だった。

お母さんがいて、お父さんがいる。

当たり前の生活が続く幸せ。

悪夢のように何度と見てきた。

そうか、ルミナスにも大切な人がいて、その人の為に頑張っているのか。

俺なら、お母さんやお父さんの為に命をかけれる。

だから分かった。ルミナスが必死になる理由も。

「...........わかった。」

認めたくはなかった。

ルミナスは居なくなるのは、嫌だから。

なんで嫌なのかは、ハッキリしていないが。

「.....っ!ありがとう、ありがとうございます!」

ルミナスは顔を上げ、明るい表情をした。

その表情が余りにも眩しく、悲しく感じた。

「それで、その契約について教えて欲しい。」

「はい...!」

ルミナスと視線を合わせられなかった俺は、複雑な気持ちを胸に、少しだけ俯くのだった。




廊下の裏で、

「........。(赤坂星夏。やはり、彼は...レイミ様の恩人でしたか.....。)」

ルナが静かに瞳を細めていた。

ルミナスの大切な人が自分だということに、まだ星夏は気づかない。



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