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鬼の子、世界を征す  作者: ポレモン
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プロローグ2

前後してしまいましがた、プロローグの前の時代の話

遥か昔、地上は闇の神オプスキュリテの眷属である闇鬼種に支配されていた。


闇鬼は別名で吸血鬼またはバンパイアとも呼ばれる種族であり、他の生物の生き血をエネルギーの糧とした。


彼らは『血の盟約』という強力な闇魔法を使い、地上に住まう全ての種族を決して挙がらうことのできない鎖で縛りつけたのであった。


姿は主神オプスキュリテを模し、漆黒の髪と翼を持ち、目は赤く燃え上がり、肌は青磁のように青み掛かった白色をしていた。犬歯が発達し、額の中央に第三の目と云われる特殊な器官を持っていた。


第三の目は普段はあまり目立つことは無いが、精神的な昂ぶりに反応し赤く円錐状に突き出るのであった。


闇鬼の力は、第三の目の大きさに比例し、大きな角を持つ者ほどより大きな力を有していた。


角の大きさは遺伝した。


故に闇鬼の社会は上下関係のハッキリした社会であった。



闇鬼が好んで糧としたのは風の眷属である風精種の血であった。現在でいうところのハイエルフである。


風精は他の眷属の中で最も体内に魔力を有し、その血は闇鬼に天上の至福を思い起こさせるものだった。


しかし、風精は長命であるが故に繁殖力が非常に低く、その至福に与れるのは王族もしくは大貴族だけであった。


闇鬼はより多くの上質な血を求めて、風精と他の神の眷属、若しくは動物との間に様々な交配を繰り返し、多くの種族を作るのであった。


新しく生まれた種族の殆どは、闇鬼を満足させるものではなく、総称としてハーフ・人間(間に生まれたものという意味で)・出来損ないと呼ばれた。


代表的なのは

火の神の眷属である火龍種ドラゴンと風精の間に生まれたドラゴニュート

水の神の眷属である水妖種マーマンと風精の間に生まれたセイレーン

などである。


闇鬼と風精との間に生まれたもののうち、闇鬼に近いものをレッサーバンパイア、風精に近いものをダークエルフと呼んだ。


どちらの種族も、元の種族の劣化版であり、出来損ないであった。

レッサーバンパイアの方がまだ下級兵士といえども眷属扱いを受けた分、ましであったかもしれない。


これらの種族は一芸に秀でてはいたが、闇鬼族を満足させるものではなかった。



土の神の眷属である土匠種ドワーフは寿命が短くはあったが繁殖力は最も高く、風精との間に多くのハーフを作ることができた。後にハーフの大半を占めることとなったこの種族が人間と呼ばれるようになるのはこのためである。


人間の血も初めのうちは満足するものでは無かったが、勾配を重ねていくうちに製錬され、オリジナルには劣るものの闇鬼を十分に満足させるのに至るのであった。


この時に人間より分かれた種族はハーフエルフと呼ばれ、闇鬼の中下級貴族の領地で盛んに育成された。


ハーフエルフは風精と同じく大気に含まれる生気を糧とした。大気のエネルギーは世界樹の朝露に多く含まれるものである。


故に、ハーフエルフの繁殖地と共に、大陸は世界樹の点在する森で覆われた。



闇鬼は殆ど不死に近い生命であった。


本来種族の繁殖力は寿命の長さに反比例し、限りなく子供の生まれにくい種族であったが、この時代の闇鬼は過剰な糧を得ることが出来た故、中下流階級に置いて爆発的に数を増やすことに成功した。


また、闇の因子をもつ新たな種族の出現も重なり、闇の神オプスキュリテが唯一神リュミエールの封印を破り復活したのであった。


闇鬼は主神の復活を喜び新たな力を捧げるべく、あらゆる動物に自身の血を注いでいくのだった。


この出来事により、地上に魔族・魔獣が生まれるのだった。


魔族・魔獣は誘惑にあがらえず、ひたすら他の生命の血を求めるのだった。


ハーフはもちろん、神の眷属である上位種の中にも血に溺れる者が出没するほどであった。


オプスキュリテはこの時点をもって、勝利を確信しリュミエールに勝負を挑むのであったが、敢え無く敗北し、眷属もろとも地中に封印されるのであった。


その時にうけたリュミエールの呪いにより、吸血種は陽の光を浴びると死に至ることとなった。


闇の因子を持つダークエルフは戦力外として戦争に不参加であったため、因子のみでは呪いが発動しないという、神の恩赦も与えられた。


これゆえ血が重なり合って先祖返りが起こり、極低確率で魔人・魔獣が自然発生し社会を脅かすのであった。


ダークエルフの肌の色

黒檀→青磁

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