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エルフと俺の冒険譚(仮)  作者: たかなり
1章~出会い~
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旅路

グリフォン襲撃から数時間後。死体をひたすら穴掘って埋めてやった。なにぶんデカイもので、シアはキャラぶれなど気にせず、「ウォー!!」と叫びながら全力で掘りすすめる。俺は魔法で石を細かく割って、シアが掘りやすいようにサポートしていた。

終わる頃には日が暮れていて、埋めた土の上に座って実っていた果実を二人で食べていた。


「シア、これからどうするの?」

「コレ、カラ?」

「街のエルフ達は逃げ出したみたいだ。きっと近くのエルフ村にいるだろうけど、そこに向かうの?」

「ウーン...」

「......俺は、旅に出るよ。人間となるべく関わらないように、長い旅に。」


その時、シアの胸にはチクリと何かが刺さったような感覚がした。それは、初めての感情で、嫌な感じはしなかった。ただ、カイの言葉が頭で木霊するたび、胸の刺激は増す一方。ここで、お別れなのかと。もう2度と、会えなくなってしまうのかと。そう思うと、シアは黙っていられなかった。


「ワタシ、イッショニ、タビシテ、イイ...カナ...」


シアの鼓動は通常の速度ではなかった。自分はなぜこんなにも身体が熱いのだろう。なぜ一緒に行きたいと、強気で言えないのだろう。どうしてカイのそばにいると、胸がチクチクするのだろう。

それは、カイも同じだった。

別れたくない、ここでサヨナラは絶対に嫌だ。だけど、シアの意思に反してまでエゴは通したくない。鼓動が早まる。シアに聞こえてやしないだろうか。濡れた目と視線があい、さらに鼓動は早まる。


「もちろん...一緒に、行こう」


初めて会った日、二人は、初めて見つけた気持ちと、初めてのキスを交わした。




歩幅の少し違う二人は、けれども横一列に並んで歩いていた。いつもよりゆったりと進む景色に、カイは視線を巡らせ、普段気づかなかった自然美を堪能していた。


「シア、疲れてない?」

「ダイジブッ」

「そっか」


シアもまた、楽しそうな笑顔をこちらに向けた。随分と心を許してくれたものだ、心の底から嬉しいと思う。


「ところで...シアは帝都語が話せるんだね。独学で学んだの?」

「チガウ!ワタシ、シショー、ニンゲン!」

「え、シショーって、武術の師匠ってこと⁇」

「ウン!ダカラ、シショー、オシエテモラタ」


深く話を聞くと、小さな頃に魔物に襲われたシアを、師匠である人間が助けたらしい。シアの状況を知った人間は、武術を教えると同時に彼女を養うことにした。しかしエルフの寿命と人間の寿命はまるで違う。師匠は既に数十年も前に死んだ。だから、不完全な帝都語は未だ不完全なままであった。


「じゃあ、俺とたくさん話そうな」

「......?ドーユーコト⁇」

「俺が、帝都語を教えるよ。師匠の代わり、じゃないけど、君が望むなら、俺がいくらだって教える。」

「アリガトッ、オハナシ、シヨーネ」


2人は現在、あてもなく彷徨っている。目的地などなく、たどり着いた場所こそが求めていた場所なのだと考えていた。道中にあるトラブルも、木陰で休むのも、全てその瞬間こそが旅なのだと。

日も暮れかけた森の中、目の前に不穏な空気が漂うのを感じた。どうやら、魔物が出てきたらしい。


「まずいシア!魔物だっ、まだ視認はできていないけど、結構な数いる!」

「..................っ」


魔物は素早い統率によりシア達を取り囲む陣形をとった。逃げるのは難しい。戦うしかないが、カイは戦闘経験がない。つまり、魔法を戦闘に用いるという考えそのものがすっぽ抜けている。


「カイ!テキ、ミエタ!キメラ!」


キメラは、2つの全く異なる個体のDNAが合わさってできた魔物のことである。その容姿は様々で、羽があるものもいれば、ツノがあるものもいる。個体それぞれの戦闘力はそれほど高くないものの、このように集団行動を得意とし、その強さは比較にならないほど上がる。8体ほどキメラはいるが、8対2の戦闘ではない。12対2ほどの劣勢と言える。


「シア!前みたいに支援する、できる範囲でかまわないから、敵を蹴散らせるか⁉︎」

「ワカタ!」

「アクティベート‼︎」


シアの細胞が活性化し、筋肉量や思考の回転、神経が研ぎ澄まされる。音を置き去りにした跳躍は前方にいる2体のキメラに向かい、死を乗せた蹴りが浴びせられた。

2体のキメラはあっさりと吹き飛ばされ、木にあたり五臓六腑を撒き散らす。

それを開戦の合図と見たキメラは、まずカイを狙った。支援をしているあたり、戦闘に不向きだと賢い頭で判断したのだろう。

カイはその先にくる痛みのイメージが浮かび、眉をひそめてしまう。が、イメージした痛みは現実のものとならなかった。シアは2体を蹴り殺したあと、すぐに木を足場にしてこちら側へ戻り、カイを襲うキメラを吹き飛ばす。


「くっ......シア!ありがとう!」

「ナルベク、ウゴカナイヨーニ!ッグァッ‼︎」

「シアー‼︎」


がら空きとなったシアの脇腹を、ケンタウロスのようなキメラが突進で突き飛ばした。受け身を取ったため致命的なダメージだけは防げたが、あばらにヒビが入ってしまった。

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