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眠れない夜に
今日は、皆にとっては、変わらない朝になる筈だったと思う。そう、母の悲鳴が聞こえるまでは。
家全体に響き渡った母の甲高い悲鳴は、皆に非日常の始まりを知らせた。
家族の久し振りの団欒は、一日で終わってしまった。それを望んだ人物が居たから。
その団欒が、楽しい物だったかと聞かれればそうでは無い。
その団欒で、全員が、心から笑っていたかと聞かれればそうでは無い。
その団欒は、一人の客人の為に作られた偽りの姿であった。
その虚飾のベールは、何かとんでもない事件が起こった時に剥がれる物だと感じた。
ねぇお姉ちゃん、お姉ちゃんは、どれぐらい苦しかったの?
私は、ずっと苦しいよ。
姉の遺体がお風呂で発見された今日、私達家族は化けの皮を剝がされた。