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7年前の事件

当時俺フィットは3歳の息子と妻の3人で下層に暮らしていた。

お金が無くても愛があればなんていうけど、それではお腹は膨れない。

貧しいながら3人で僅かながらの場所で家畜を育て、市場で販売してた。

このところ息子の具合がよくない。はやり病にかかってるようだ。

下層のお医者様連れて行ってヒールをかけて貰った。

少し息子が楽になったみたいだ。

息子の病気を治すには薬が必要だそうだが、下層にはなく中層においているらしい。

それにものすごく高いそうだ。

とてもじゃないけど買える金額ではなかった。



帝国の先代が亡くなって新しい皇帝になってからどうも騎士たちがあわただしい。

○上層

○中層

○下層と分かれていて

下層の中でも

1層 下層騎士 役場 学校

2層 市場 農地

3層 住宅 となっている。



見回りの時間じゃないのに。下層騎士が住宅地区まで来ている。

下層騎士「伝令がある。上の階に集まれ。」



息子を妻に任せ、俺だけ集まりに向かった。

皆集まってるみたいだ。


下層騎士「お前ら!今期の税がまったく足らんでないか。どうなっているんだ!」

村長「申し訳ありません。今期は不作でございまして、皆飢えております。できる限りお渡し致しましたが・・・」

下層騎士「ええーい、お前らの分際で俺達に逆らうのか!」

村長「申し訳ございません。お許しください。」

下層騎士「貴様らがそのつもりなら、今までは金でも物でもいいからたった5割にしてやってたが、これからは7割にする。払えないものは財産没収、それでも用意しなければ処刑だ。」

村人「そんな・・・」

下層騎士「口ごたえするんじゃねぇー!分かったならさっさと仕事に戻れ!役立たずは今ここで処刑してやる!」

下層騎士は剣を鞘から出した。

集まった人々は皆散らばった。



帰り道に八百屋をしてるルシエデに会った。

「なぁーフィット、今日の伝令どう思う?」

「最悪だよ。下層は野たれ死んでる者もいるというのに、税の引き上げなんてとんでもない。病気の息子の治療もしてあげたいのに、それどころじゃない。これじゃ食べ物さえ食えないよ。」

「だよなー。うちもだよ。今日の夜、村長の家で会議があるらしいぜ。」

「もちろんいくよ」

「くれぐれも騎士に見つかるなよ」

「おぅ、わかった。」


村長とは下層のリーダーみたいなものだ。

何かあったら、皆をまとめてくれる良いじいさんだ。


その夜、村長の家に向かった。

話し合いの結果、一揆をしようということになった。参加し、負ければ命はないかもしれないとのことで、自由参加になった。月曜日の夜中に作戦決行、武器になりそうなものを持ち寄って集まる事になった。


帰って妻に今日の出来事を相談した。お互いもうこの手しか生きる道はないんだと思い参加することにした。嫁には家で息子と留守番しとくように言った。嫁にも肉切り用の包丁を持たせ、俺は仕事用の包丁などをあるだけ持ち、集合場所に向かった。


一揆は3つの班に分かれて行う事になった。

ひとつは下層騎士の宿舎に出向き寝込みを襲う班。

もうひとつは下層と中層の間にいる門番を倒す班。

そして、情報伝達を行う班。

厳しい戦いになるが、皆奮起していた。


現在0刻

「皆集まったか」

年寄りから青年まで100人ほど集まっていた。

「これならいけるかもしれんぞ!」


俺は寝込みを襲う班に所属していた。

配置につき様子をうかがう。騎士はのん気に寝ているようだ。4人部屋で近くに鎧と剣が置いてある。


2刻になった作戦決行!

俺たちは静かに侵入し、一斉にドアを開けた。

騎士は飛び起きて剣を持とうとしたが、こちらが早かった。

剣を蹴り上げ、遠ざけて首に包丁を刺した。他のみんなも順調みたいだ。


ふときりがついて思うと、警備にでている人数を省いても、寝床が空いてる率が高すぎる。

そう思った時、

「シューードン」魔法の音がした。

この音は情報伝達班が想定外の事態が起きた時鳴らす音だ。


外に出て知ってる者に聞くと、どうやら一揆の情報騎士達にが洩れており、3層で残された村人達が襲われているようだ。

「妻や子が危ない」一心不乱になり家に向かった。

家の周りには騎士が大勢いた。

下層騎士だけでなく中層からも騎士が来ているみたいだ。

俺は騎士に捕らわれ、目の前で騎士は剣を振りかざし、妻を切り捨てた。



一揆は失敗に終わった



捕らわれてからは殴るに蹴るでさんざんな目にあったがなんとか生きている。

1週間後、開放された

家は壊され、家畜や道具、物という物は奪われた。

一揆を起こした一家は皆そうなった。


息子は近所の人が預かってくれていた。

税も払えないので、下層3層の小屋に穴を掘って最下層を作った。


そこで俺は土に穴を彫って木の板をはめ込んだ家とはいえないようなものを作って住んだ。

家の隣には僅かな空間を作りそこに知り合いから貰った苗を植えた。


それから数日後、

息子の様子がおかしい。高熱で息が荒い。下層の医者を呼んできた。

そしてヒールをかけて貰ったが様子が変わらない。

そのまま息子は息を引き取った。


それからというもの俺は僅かな野菜だけを作り引きこもるようになった。

あれから7年・・・今日は息子の命日だ。

月日は一瞬で過ぎ去る。だが自分の時間はあの日で止まっているようだ。

いつもは下層には寄り付かないのだが、今日は墓参りだ。

最下層には住宅のほかに闇市もある。そこで大体すませる。

下層に行っても住居がある人は税で7割取られ、苦しい生活を送っている。


墓参りの帰り道、騎士に蹴られ蹲っている男の子がいる。

騎士にやめるように言い。逃げるように連れて帰ってきた。

男の子に話を聞くと10歳だという。俺の息子も生きていたら武と同じ年だ。

なんだか武を見てるとあの小さかった息子が成長したみたいだ。

自分が生きるのが精一杯なのだがつい、親が見つかるまで居ていいと言った。


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