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第46話 やっちゃったのだ......

 


 ◇ ◆ レムリア視点 ◆ ◇




 ぬぉおおおおぉぉぉぉっ!!


 城はブレスで吹っ飛んだのだが、あの気持ち悪い女は倒せなかったのだ。

 相変わらず魔素が濃ゆくて探知がし辛いのだが...間違いないのだ。瓦礫の中で、あの女の魔力がピンピンしていやがるのだっ!!


  --ぐぬぬ...


 いったいあの黒いのはなんなのだっ!?


 手加減したとはいえ、あんなので妾の格好良いブレスが防がれると思うとイラッとくるぞ。

 次はもっと強いブレスにしてやるのだっ!!


 えーっと、これくらいの強さなら城の場所以外は吹き飛ばんギリギリだな。

 くらうのだっ! 妾のブレス!!


   --キュゥゥゥゥ..ゥゥン...

     --ズゴゴゴ..ゴゴコゴゴ,,,ゴゴゴゴゴゴゴ


 よしっ、次はちゃんと黒いのに防がれずに吹き飛ばしてやったぞっ!!

 これでやっとあの女が倒せ......ぬっ? なっ、何故なのだっ!?


 妾のブレスが直撃したはずなのに、あの気持ち悪い女に全然ダメージが入っておらんではないかっ!!

 あれだけの攻撃を当てたというのに、魔力が全然乱れておらんし、全く減っておらんぞ。これは...多分あの女は無傷なのだ。


 追撃するとすれば、瓦礫に埋まっておる今がチャンスなのかもしれんが...。



「ぐるぅ...(むぅ...)」



 やはりコレは攻撃方法を見つけなければ倒せないタイプのボスイベントなのではないか?

 攻略法を見つけなければクリア出来んのかもしれんぞ...。


  --ぬぐぅ......


 不本意だが、此処は一旦撤退するしかないかもしれん......。一度攻略情報を集める必要があるのだ。

 幸い、崩れた瓦礫にあの女が埋まっておるからな、逃げるなら簡単に逃げられる...。


  --ふむ...


 そうだな、そうしよう。今回は戦略的撤退をするのだっ!!


 さてと...そうと決まれば...。一先ず何処に向かうとするか...。

 あやつの攻略情報を知ってそうなのは...ギルドマスターか?


 冒険者の親玉っぽいしな。色々な情報を持ってそうなのだ。試しにあの女の事を聞いてみるのもアリかもしれんな。


 えーっと、冒険者ギルドは確かあっちの方角に...。


  --おっ?


 アレはもしかしてジョニーではないか?

 よく見ればケイトも...みんな居るではないかっ!!


 ギルドに向かおうかと思っておったが...うむ、そうだな...。

 よし、決めたぞっ、アレに合流するっ。今度こそ皆で楽しいパーティプレイをするのだっ!

 簡単に答えを聞くより、パーティープレイでちょっとずつ弱点や情報を集める方が絶対に楽しいからなっ!!


  --んんっ?


 よく見ればジョニー達の近くにアンデッドの敵がおるみたいだな。

 取り敢えず今は合流の邪魔になるし、敵なら合流した後も出てくるだろうからな。今はまだパーティを組んでおらんし、必要無いから倒しておくのだっ!


  --キュゥゥゥゥン...


 あっ...。


   --バシュゥゥン


  --ガガガガガガガガガガガガガガガガ...


 ......。


 ...。


 い、威力を間違えてしまったのだ......。


 さっきあの女を吹き飛ばすために力んでおったからな、加減するのを忘れておったのだ...。


  --うぅ......


 ま、まずいぞ、街がいっぱい吹き飛んでしまったのだ。

 家を1件破壊しただけであれだけ怒られたのだ...こんなに壊したらケイトが...また...いっぱい、怒られ......。


   --ハッ


 そ、そうだ、ジョニー達はっ!?

 まさかジョニー達まで、妾のブレスで吹き飛んでしまったのか!?

 そ、それはマズイのだっ!! 怒られるだけではすまなくなってしまうのだっ!!


 ジョニー!

 ジョニー達は何処に居るのだ!?


 ......居たのだっ!!



「(ジョニー! みんなっ! 無事なのだなっ!?)」



 まずは念話で無事を確認...よしっ、動いておるなっ。

 しかし、怪我をさせてしまったかもしれんぞ、急いで皆のところまで駆けつけるのだ!!


 っとと...そうだ、人化の魔法をかけねば踏み潰してしまう...。

 近くに降りる前に人化の魔法を...ぬおあぁっ!!


  --ズシャッ


 銀子を背中に乗せてたのを忘れておったぞ。思いっ切り頭から地面に突っ込んでしまったのだ。



「銀子、銀子、取り敢えずどいて欲しいのだ」


「んっ」



 っふぅ...。


   --パン

  --パン


 泥を(はた)いて立ち上がって...っと。よしっ、改めて合流なのだっ。



「ジョニー、久しぶりなのだっ

 何でこんな場所にいるのだ?」


「あ...えっと...」


「んむ?」



 どうしたのだ? 何故みんな無表情で妾を見ておるのだ?



「あの、レムさん...」


「んむ?」


「ドラゴン...だったんですか?」


「む? そうだぞっ! あの白い羽がとっても格好良いだろう?」


「え...ええ...」



 むぅ、あんな格好良い姿を見た後だと言うのに、ジョニー達の反応が薄すぎやしないか...。


   --ぬっ、もしかしてっ...


 これは、妾のドラゴン姿にビックリしておるのか?


 そうかそうか...これはいつものアレだなっ!

 あの姿になると、たまにビックリしてしまう人が居るからな、今回もきっとそれなのだっ。



「えっと、僕たちはレムさんを探しに来たんですが」


「む? 妾をか?」



 なんで妾を探していたのだ?



「ケイトさんからレムさんが連れ去られたと聞いたんですが...」


「妾が......連れ去られた...?」



 んー.......。んんっ?



「あっ......」



 そうだっ、あの金ピカ犬仮面に持って行かれて、それでケイトと逸れてしまったのだったな...。

 ふむふむ...成る程っ! それで皆が探しに来てくれたと言う訳なのだな。



「探しに来てくれてありがとうなのだっ」


「いえいえ、レムさんが無事で良かったです」



 うむうむ、これが仲間というやつなのだなっ。


  --ペシ

    --ペシ


 むっ? 後ろで気配?


 ......?


 今、確かに後ろの方で地面を叩くような音がしたのだが、誰もおらんみたいだな...。

 てっきり誰かがビックリさせようと後ろから忍び寄って来ておるのかと思ったのだが...。


  --ペシッ


 むむっ?

 また音が...。


 むー...なんなのだ?


 

「あの...レムさん、何してるんですか?」


「いや、何か音がしたのだが...」


「えっと...それ、レムさんの尻尾だと思うんですけど...」


「尻尾...?」



 人化しておるのだから尻尾なんてあるわけが......?


 ......。



「なんで尻尾があるのだ?」


「角も出たままになってますけど...」


「ぬぉおっ」



 ほっ、本当なのだっ!?

 何で人化の魔法を失敗しているのだ?


 こんな簡単な魔法を失敗するなんて、最大の屈辱なのだっ!?


  --ぬぐぐ...。


 ......。


 うむむ、出ておるのは尻尾と角だけなのだな...。次こそ完璧に人化するのだ。


  --人体変化!!


 ......ええと、尻尾と角...尻尾と角......。


   --ペタ

  --ペタ


 よしっ、触った感触だけだがちゃんと消えておるな、今度はちゃんと隠れたのだっ!



「あっ、エルッ! どうだ妾のドラゴンの姿は?」


「えっと...綺麗だったです」


「そうかそうか、綺麗だったかっ!」



 むふふ、やっぱりみんなビックリして無口になってただけなのだなっ! こうやって、ひとりひとり声を掛ければちゃんと褒めてくれるのだっ!!


 よしっ、次は...ケイトだなっ。

 ケイトにも褒めてもらうのだっ!!



「ケイトも無事だったのだなっ」


「無事...と言うわけでは無かったのですが。何とか逃げ延びました...

 レムさんも無事に逃げられたみたいで、安心しました」


  --む?


 ......。


 ...。



「あの、レム...さん?」


「あ、ああ、ちょっと待つのだ」



 この感じ、またあの気持ち悪い女か?

 城の方から大量の変な魔力を感じるのだ。


 なんというか、魔素を集めてぐにぐに......粘土細工みたいにコネてるような...。



「ジョニー! マズイわっ!?」


「ニナ?」


「魔素が急激に消費されてる......。これは何か起こるわよっ!」


「何かって、いったい何が?」


「そこまではわかんないわよ、けど......リヨンの悪夢に匹敵する事だけは断言出来るわ」



 ふむむ。

 何やら騒いでおるが、確かにニナとか言う魔法使いの言う通りなのだ。


 リヨンのなんとかって言うのは何なのか知らんが、大量の魔素がぐにぐにと魔力に変換されて、ギッシリと編み込まれていっておるからな、何かが起こるのは確実なのだ。


 しかし...ぬぅ...。もうあの女に付き合うのは嫌なのだ。


 魔力に干渉して邪魔出来れば良いのだが、所々この世界特有っぽい魔法式が使われておるから。いったい何をしようとしておるのか全くわからんし...。

 良くわからん魔法に手出しすれば何が起こるかわからんから干渉出来んのだぞ...。


  --ぐぬぬ...


 悔しいが見てる事しか出来んのだ。


 ......。


 ...。


 いや...だが.....。

 見てる以外にもう一つ出来る事があるな。



「よしみんなっ」


「...?」



 うむうむっ、みんな妾に注目したなっ。


 以前、冒険者ギルドで話そうとした時は何故か誰も聞いてくれなんだが、今度は話を中断させられる事も無さそうなのだっ!


  --ではっ!


 今度は妾の意見をバッチリ言うぞっ! ちゃんと聞くのだっ!



「みんな、逃げるのだっ!!」






 

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