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ライトル  作者: ビタミンA
神と神嫌いの少年
13/14

11_時間稼ぎ

軽く読んでください。

「今すごい音したよね!イベントか何かやってるのかなぁ!」


満面の笑みを振りまきながら遠くを見つめるティアマト。


「爆破テロかなんかじゃないか?」


辺りをキョロキョロと見渡しながら適当に返すカーマ。

どうやらギャラリーはまいたようだとホッと一息つく。


当初学校から見て東側での交通量調査担当だったティアマト、カーマ、レスクヴァの三人だったが、思わぬアクシデントにより北側の方へと逃げ回っていた。


「だいたい、レスクヴァがメイド服なんて着てるから注目を集めるんだ。今すぐ脱げ!」

「はぁ?往来で女性に脱げだなんて頭沸いてんの?イケメンだからって何言ってもいいと思うなよ。」

「いや、でも…。」


とても女性とは思えない殺気立った顔で睨みつけるレスクヴァ。男であるカーマもたじたじである。

イケメンがゆえに女性ギャラリーに追いかけられるカーマ。メイド服でキツイ性格というコアなファンを惹きつけるレスクヴァ。その手の性癖の方々によって誘拐されそうなほどロリロリしているティアマト。個性爆発のこの三人が集まって街中にいたらそりゃ人だかりもできる。というわけで、アルバイトどころではないと逃げ出したのである。


「あっ見て見て煙上がってる!」

「なんでお前はそんなに嬉しそうなんだよ。」


はしゃぐティアマトにやれやれと溜息をつくカーマ。ティアマトは行きたい行きたいと駄々をこねるもレスクヴァの睨みでピタリと黙る。


「あんた達、少しここで待ってて。」


レスクヴァはそう言って走り出そうとする。が、しかし、カーマに止められる。


「お前まさか行く気じゃないだろうな。」

「な、何言ってんのよ。トイレよトイレ!女子がしれっとどっか行く時は気を使って何も言わないのが常識よ。イケメンなのにデリカシーはないのね。」

「ほぉ、お前はトイレに行くのに金属バットが必要なのか?」


今にも走り出そうとうずうずしているレスクヴァの右手にはがっしりと真っ赤に濡れた金属バットが握られていた。


「これはその…あれよ!さっきのうざったい奴らのために護身用としてよ!」

「一旦黙ろうか戦闘狂。お前期待してるだろ。悪魔か天使の神が暴れてるんじゃないかって。」

「き、期待なんてしてないわよ!ちょっと行って殴り合いたいなんて思ってないわよ!」

「本音だだ漏れじゃねーか。お前、戦い大好きキャラ気取ってるけど初戦からボロ負けしてたじゃねーか。」

「うっさいわね!あれはあの能無しのバカ兄貴が足引っ張ったからよ!兄貴がいなかったら余裕で殺れてたわ。」

「いいから行くのはやめとけ。俺だって悪魔と天使の可能性は考えたが、現実的じゃない。一般人を巻き込んでの戦闘は全ての派閥にとって良くないはずだ。あんまりこの世界を乱すとまずいだろ。」

「あんたは喧嘩相手の家に押しかけて散らかしたとして片付ける?そもそも部屋を荒らさないなんてできる?」

「それは…。」

「つまりはそういうことなのよ。あいつらにとっては人間界はアウェイ。まぁ厳密にはあんた達もアウェイか。今回の聖戦は前とは違う。前回で天使も悪魔も幹部が変わってる。何をやらかすかわからないわよ。」

「待て、だからと言って俺達が行ってどうにかなるとは…。」

「あーもうじれったい!なんにせよ私は力ずくでも行くから!」

「はぁ…、何が悲しいって俺がお前に勝てないってとこだよなぁ。とりあえず俺達も連れてけ。仮にも人間派閥として人間界はホームなわけだ。仮に悪魔や天使じゃなかったとしても事故が起きてる可能性もある。その時は力になれることをしよう。」

「カーマ!私知ってる!それ偽善ってやつでしょ?」


残酷な言葉を発しながらも無垢な眼差しのティアマトにげんなりするカーマ。


「話し合ってる時間が無駄!行くならさっさと行くわよ!」




□■□■□■□




掠れる意識の中遠くで聞こえるのは人々の悲鳴。パチパチと弾ける炎の音。


「あぁ…、間に合った。」


聞こえるか聞こえないかの小さな声で一番ヶ瀬は安堵を口にする。

掠れた意識が徐々に覚醒し、つられて全身に痛みが走る。

隣には前方が潰れて地面に突き刺さる旅客機と、その残骸が無残に散らばり煙を上げている。


「…あぁー、いくら元気が取り柄とはいってもこれは厳しい。」


感覚が戻ってくるにつれて見ないようにしていた腹部を見るとそこにはずっぷりと、旅客機の鉄の破片が貫通していた。胸のあたりまで血が滲み、手がブルブルと震える。


眼前には意識のないスクルドとトールの姿。

その二人を庇うようにして一番ヶ瀬は四つん這いで血反吐を吐いていた。


「…悪い、服、汚しちま、った。」


申し訳なさそうに笑う一番ヶ瀬の背中に一筋の影が伸びる。


「まず先にお前を笑ったことを謝らせてくれ。俺はお前を舐めていた。失態だ。まさかあの状況のあの状態で仲間二人を救うとはな。そして重症ではあるが、お前自身も生きてるときた。」


スーツの男は、倒れた二人を庇うようにして睨みをきかせる一番ヶ瀬に賞賛を送る。



頭上に旅客機が迫る中、一番ヶ瀬はまずスクルドの元へ走り出した。男は一瞬虚を突かれるも、どうということはなく、能力である《等価格交換》を発動させる。その能力は実に単純で名前の通り。交換である。欲しいものの価格を支払い交換する。物とお金。どんな数の物でも金さえあれば、どんな高品質の物でも金さえあれば、価格というものが設定されている無機物ならば、いくらでも現出することができる。これが男の能力《等価格交換》である。


能力の発動としてスクルドに覆いかぶさっていた百円玉が全て手榴弾に変わる。さらに向かってくる一番ヶ瀬に向かって、必要な分だけの札束を握り、それをハンドガンへと交換する。

男が交換する物には全て簡易的な反魔法の魔法がかけられてある。ほとんどの神が無意識に、周囲に魔力の膜を貼り、なんの加工も施されていない剣や銃などの攻撃を防ぐようにしている。反魔法はそれを削り、人間ごときが作り出した兵器が神に効くようにしている。このため、スクルドがミサイルの爆発程度(・・)でやられたわけだ。

男はそのまま一番ヶ瀬に向かってハンドガンの引き金を引く。その数にして4発。放たれた弾丸は綺麗に2発ずつ、一番ヶ瀬の両の足を射抜いた。

だがそれで一番ヶ瀬が倒れることはなく、血を吹き出しながらも走り続け、手が届く距離まで男に近付いていた。慌てた男は距離を置こうと後ろに跳びのきハンドガンを構える。しかし一番ヶ瀬は男に見向きもせずスクルドを強引に引っ張り上げていた。彼女の状態からするに無理やり動かすのは得策とは言えない。だが次に来る衝撃に彼女を晒すほうが得策とは言えない。

スクルドの上や地面に大量にばら撒かれていた手榴弾が破裂する。爆音とともに破片が殺すためだけに弾けとぶ。

スクルドを庇い、背中で衝撃と破片を受け止める。背中を抉り取られるような痛みに耐えながらも一番ヶ瀬はスクルドを抱えたまま走り出していた。そう、敵に背中を見せながらだ。本来なら自殺行為であるが一番ヶ瀬にはもはや自分のことなどどうでもよかった。旅客機の落下から走り出した時点で考えていたことはただ一つ。

どうやったら二人を救えるか。

空からは旅客機、気絶したままのトール、ズタボロのまま人質となったスクルドとその周りにはいつ爆発するかもわからない手榴弾の大群。

直感的な危険度から、まず手榴弾に囲まれたスクルドの救出を最優先にした。

スクルドを抱えたまま走り、倒れた彰人を引っ張り自分の体を盾にして二人を守ろうとする。

そのまま巨大な鉄の塊が地面へと落下していった。

だいたいのことの顛末はこんな感じ。


乱れたオールバックを整えながら男は言った。


「せっかくだから見逃してやる。…なんてことは言わない。そんなつもりは毛頭ない。だがせめてもの手向け。そちらは名乗ったのだ。賞賛として名前くらい教えてやろう。」

「俺は【クベーラ】。ヒンドゥー神話の神だ。お前は確か一番ヶ瀬とか言ったな。まぁ、なんだ。来世でまた会おう。」


そう言ってクベーラはハンドガンを構える。

今の一番ヶ瀬にはそれを避ける気力と体力はなかった。


「まだ死ねねぇ…。」


立ちはだかる絶望を前に、一番ヶ瀬は拳を握ることも、それを振るうこともできずに、ただただ睨みつけることしかできなかった。


少年漫画の主人公なんかは絶望的な状況に置かれた時、悪役からしたら理不尽に思える覚醒とかなんとかで、逆転するのが多いものだ。

だが、残念。

一番ヶ瀬蓮二という人間はまだ主人公ではない。

幹部とはいえ、その辺の脇役を簡単に覚醒させてやるほど甘い世界ではない。




ならばこの物語の主人公を頼ることとしよう。



「うおおおおおおおおおお!!?」


クベーラが引き金を引くよりほんの少し早く、一番ヶ瀬の体が引っ張られ、放たれた弾丸は血をぶちまけることもなく地面に突き刺さる。


投げ飛ばされた一番ヶ瀬は呻き声のような声をあげながら呟く。


「巴投げとか…、もっと、丁寧に扱えよ…。死ぬ…。」

「それよりも気絶→起床からの俺の状況判断能力を褒めるべきだろ。」

「…すまんがもう限、界だ。あとは任せた。」

「いや、任されても困るんですが!?」


彰人の叫びも虚しく一番ヶ瀬は糸が切れたように意識を失う。


「…雷神。邪魔をするのは野暮ってもんだ。人間界での暮らしでかは知らんが、奇襲ごときで失神するほど衰えた神が、出る幕ではないってのが分からねーのか?」

「あいにく俺は空気ってものが読めなくてね。学校でもそのせいで浮いてたりするわけなんだわ。」


まず始めたのは状況把握。それも簡単なもの。今、戦闘中だということ。目の前のスーツ野郎が敵だということ。一番ヶ瀬、スクルド共に重症だということ。

必要最低限の情報を必要最低限の時間で把握する。

次に計算。これも簡単なもの。


勝てるか。

否か。


頭の中では否定的な言葉が雪崩のように流れ込んでくる。

無理、負ける、死ぬ、死ぬ、死ぬ。

目の前の敵が握るのはハンドガン。どうあがいても勝てるとか逃げ切れるとかそういう次元まで行けない。行けるわけもない。

ただの一般人がどうにかできる状況じゃないのは火を見るよりも明らかだった。


「お前にはこれがそんな減らず口を叩ける状況に見えるのか?だとしたら本当に衰えたな雷神。呆れたぞ。」

「衰えたかどうかはこれから判断してくれよ、お・っ・さ・ん。」


状況は最悪だったが、彰人の頭は冴えていた。

火事場の馬鹿力とはまた違うが、この危機的状況で普段より頭が回り始めていた。


(煽っても動きなし…か。ということは雷神って肩書きは相当でかいものとみた。口ではあぁ言ってても実際攻めあぐねる程のものなのか。いやでも奇襲を食らってしまってる。衰えたと言ってたな。こっちの今の実力を測っているのか?)

(時間を少しでも稼げれば騒ぎを聞きつけて来てくれるはず。時間稼ぎのための時間稼ぎ。ここまでの騒ぎだ、時間はそこまでかからないはず…って全部予測でしかないな。何かひとつでも確信が欲しいが…。)


「どうした。何もしてこないのか?見え透いた嘘をつくのはやめとけよ。癪にさわる。」

「全部作戦だと言ったら?だとしたらわざわざ待ってくれてるお前は勘の悪い馬鹿になっちまうぜ?」


ほんの少しクベーラの眉間にシワが寄る。これが何を意味するかは彰人にも簡単にわかった。


ガツンという重たい音と共に弾丸が発射される。

事前にそれがわかっていた彰人は軽く避け、次の一手のために横に走り出す。


(とりあえずヘイトは集めた。あいつらから意識をそらして離れないと。)


燃え上がる旅客機を背にぐるりと大回りで回り込むようにして走りながらも注意をスクルド達からそらすために煽り続ける。


「どうした?煽り耐性ゼロなのか?気取った格好してる割には子供なんだなお前!」

「まだ減らず口叩く余裕があるのか。いい加減お前と話すのも飽きた。無能はさっさと退場願おう。」

「その無能に攻めあぐねて突っ立ってるのはどこのどいつなのかなぁ?これじゃどっちが無能かわかんねーなおっさん!」


完全に火がついたのか、クベーラはあからさまに顔をしかめる。


「魔力の気配も全くしない、攻撃も全くしてこない、いや、できないと言った方が正しいのか。そんなゴミにまで落ちぶれたお前が俺にふざけた口を聞くなよ。」


クベーラはハンドガンを投げ捨て、代わりに札束を握りしめる握りしめても形を変えないほどの札束はクベーラの等価格交換によってその形を変える。


「ガトリング…!!」


ゲームなどでの知識もあり、その武器がどういう役割、どういう威力、結果何をもたらすかは分かっていた。だが、彰人は動かない。

時間稼ぎのための時間稼ぎは済んだ。あとはここからどこまでやれるかだ。


「さっさと死んどけ!」


クベーラの叫び声が聞こえると同時、その後方から濁った怒号が辺りに響き渡る。


「武器を捨てて地面に伏せなさい!!!」





(2分でいいから時間を稼いでくれよ。機動隊さん方。)




無駄に伸びる文字数。

下手な状況描写。

雑な展開。



文字数の割にない内容。

まぢゃみぃんたぃしょ…。

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