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ライトル  作者: ビタミンA
神と神嫌いの少年
12/14

10_田中太郎の行く末

新キャラの田中君登場です。

俺の名前は田中太郎。

いわゆるオタクと呼ばれる人種に属する。

底辺高校を卒業し大学へ行くも中退。アルバイトも長続きせずにすぐ辞めてしまう。人生詰んでるようなもんだ。

なんでもっとこう世の中うまくできてないのか。あくまで自分のせいではなく世界が悪いというスタイルでいく。

新作のエロゲを買うために田中は一人、責任転嫁をしながら街を闊歩する。


(あーぁ、過去も未来もブラッホールのように暗い。もう空から金でも降ってこねーかなぁ。)


思い出したくもない過去を思い出し、もっとがんばれよ昔の俺。と届くことのない思いを呟きながら空を見上げる。


正直目を疑った。

空一面にはヒラヒラと舞うたくさんの四角い紙。それは田中の知ってるものであり、今最も欲しいものでもあった。

宙高く舞っていたその紙はやがて手の届く近さまで落ちてきてユラユラと揺れ動く。

たくさんの紙の中の一つを手に取り、じっくりと眺める。


「い…い、一万円札…!」


マジで降ってきやがった!マジで降ってきやがった!大事なことなので2回(ry


すぐさま回収作業に取り掛かる。

一万、二万、三万。田中の手には次々と一万円札が握られる。そんな田中に気付き、次第に周りにいた人達も地面に落ちたお札を拾い始める。


「おい!初めに見つけたの俺だぞ!」


田中の叫びには目もくれずひたすらにお札を拾う周りの人間。負けじと田中も地面に這い蹲り、お札を拾っていく。


実にシュールで異様な光景。

人間の醜さの縮図のような光景。

これを見れば、こんな生物滅んでも仕方ないと思える程の醜さ。


醜い、実に醜い。


一人の神は人間の愚かさを憂いた。

故の、間引き的な意味合いを含んだ粛清。

ついで程度でしか意味を持たない、始まりを彩るための道具。



田中は突如感じた左手の違和感に気付く。

一万円札の束を握りしめていた左手。

先ほどまで握られていた紙とは変わって、それが冷たくて硬い丸っこい物の感触にすり替わる。


手榴弾。


おおよその誰にでもわかる殺人兵器だ。

ピンは抜かれ、いつでも爆発できる状態の手榴弾を握りしめる田中を含めた周りの人々。手に、ポケットに、バッグに、地面に、あたり一面に手榴弾。

一万円札が消え、代わりに手榴弾が存在する。

希望から絶望へのシフトチェンジ。

そしてそれは一時の間も与えずにその役割を果たす。


「ちょっと待って俺まだ童て」











ゴッーーーーーー。




目を覆うような閃光と鼓膜を引き裂くような爆音。高速を走るトラックに轢かれたような衝撃に彰人は吹き飛ばされる。


「あぐっ…!」


そのまま数メートル吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる彰人。背中に激痛が走り、体が思うように動かない。痛みのせいでうまく思考が働かず、さっきまではっきりしていた意識が一瞬で失われていく。意識がなくなるその瞬間まで彰人の頭には薄気味悪いあの笑顔だけが残っていた。



「あの雷神がこの程度の奇襲で倒れるなんて拍子抜けにもほどがあるな。」


爆風で崩れた髪を軽くセットし、スーツの男は呆れたように倒れた彰人を見下す。

血にまみれたその姿は明らかに普通の人間ではなかった。


辺りはワインをこぼしたかのような一面の赤。所々に原型を少し残した"肉塊"が散らばっている。煙と鉄の匂いの立ち込める中立つ者は三人。


「悪魔派閥ね。」


立ち込める爆煙の中スクルドと一番ヶ瀬がその姿を表す。二人とも無傷ではなかったがダメージらしいダメージを受けているようではなかった。


「お前どこの神だ。」


スーツの男を睨みつけ両の拳を構える一番ヶ瀬。スクルドもすでに槍を召喚しており、いつでも動けるように低く構える。


「馬鹿かお前。名前明かすとかよっぽどの物好きか馬鹿のどっちかだろ。」


スーツの男が右手を掲げる。

明らかな攻撃モーションのそれに反応し距離を置こうと足に力をためるスクルド。


チャリ…。


金属が擦れるような音が聞こえ下を見る。

足元にはいっぱいの銀色の丸い"メダルのようなもの"が散らばっていた。

その異質な光景にスクルドの目が赤く変わる。


『未来予知』


これだけ言えば大層な能力に聞こえるが、『3秒先の未来が見える』というなんとも陳腐なものだ。そんでもって一日一回というさらなる制限付き。


予知の結果はある意味で単純だった。

視界いっぱいの光。そう、先ほど見たものと全く同じ光だった。故にその危険性に警鐘を鳴らす。



1秒経過。

そう、あと2秒後には予知が起きる。基本的にこの予知は確定的なものではない。何か行動を起こすことにより変えることが出来る。

まぁそれを3秒の猶予で出来ればの話だが。


「飛んで!!!!!」


2秒経過。

銀色で埋められた地面、何百枚と散らばった"百円玉"は一瞬でその色を変える。

黒。銀だった部分が一面に黒く染まる。一瞬であたりを赤く染めたあの丸い物体によって。


スクルドの叫びに答え、大きく飛び上がる一番ヶ瀬。踏み込みから一瞬で10メートル以上飛び上がる。人間ではまず不可能なその身体能力。それは神であるスクルドと同等のものだった。

二人が飛び上がったあとを追うように地面から光と煙が噴き上がる。軽い衝撃波を受けるも、スクルドの予知のおかげで致命傷とはならなかった。


「いい判断力だな。」


スーツの男は爆煙の中スーツケースを振り上げる。振り上げたスーツケースの側面から湧き出るように札束がいくつか飛び出てその姿を変える。およそ1メートル程の筒状の物体は炎を推進力にまっすぐ空中の二人に襲いかかる。


「ちょ!これミサイルじゃんかよ!!」


人間離れした人間の一番ヶ瀬とはいってもさすがに空中で動くことはできない。

まっすぐ自分めがけて直線してくるミサイルに対抗する術はない。


「邪魔!」


必死に糸口を探す一番ヶ瀬のことなどつゆ知らず、苛立った声をあげるスクルド。空中で方向転換し、槍を構えまっすぐミサイルに突っ込む。


こんなところでの説明になるが聖戦で召喚された神には、ある程度の人間界の知識が与えられる。そうじゃなければ車なんか見た日には不審がって攻撃でもするのではないだろうか。まぁここで何が言いたいのかといえばある程度の知識にミサイルは含まれていないということだ。


「ばっ…!逃げろ!」


一番ヶ瀬の叫びも虚しく、向かってくるミサイルに槍を一振り。瞬間ミサイルはその形状を破裂させ、辺りに破壊を撒き散らす。

直撃を受けたスクルドは爆煙の中から真下へ落下。一番ヶ瀬は衝撃に吹き飛ばされるも無事着地。


「あぁ、クソ!」


急いで態勢を整えスクルドを助けに行こうとするが、すでに手遅れだった。


「情報、経験、実力。この全てがお前らは俺に劣る。なぁ、お前ら遊びで聖戦やってんのか?」


気絶しているスクルドの頭を踏みつけ、スーツの男は悲しそうに呟く。

スクルドはそれは無残な姿だった。

炭になる手前の焼け焦げた両手。体の節々は骨が折れてるように腫れ上がり、いたるところにミサイルの破片が生々しく突き刺さっていた。


(現代兵器程度で神に傷をつけることなど到底できないはず…。何か仕込んでんのか?)


「おいおい、この状況で何かできると思ってんのかお前。」

「思っている!少なくとも俺は諦めるということは死んでもしない!」

「寝言は寝て言え。」


男はスーツケースを軽く振る。そこからジャラジャラと百円玉がスクルドの体の上に零れ落ちる。


「俺の目的は幹部を引きずり出して殺すこと。こいつもお前も死にたくなけりゃさっさと幹部呼んでこい。」

「俺が幹部だ。」

「あ?」

「俺は人間派閥幹部。一番ヶ瀬蓮二だ!」

「クッ…クハハハ!本気で言ってるとしたらとんだ笑い話だな!この程度で幹部?笑わせるなよ人間派閥。お遊戯会やってんじゃねーんだぞおい!」

「俺は死なねーしスクルドも殺させねぇ。トールも救う。お前も倒す!一般人までこれだけ巻き込んでおいてタダで済むと思うなよ!」


一番ヶ瀬は拳を握り走り出す。


「こういう馬鹿には一変現実見せといた方がいいか。」


男がスーツケースを水平にかざす。かざすと同時に四角い黒い物体が空に打ち上げられる。その物体を一番ヶ瀬は視界の端で捉える。


(……ブラックカード?)


なんとなくの知識で知っている。確かお金持ちとかがよく持ってるやつで…。


思考を巡らせている中突如、辺りが暗く陰る。影は少しずつ深く、広くなっていく。


「…おいおいおいおいおいおいおいおい!!!!」



規模が違う。

さすがに人間派閥に抜擢されるほどの身体能力を待つ一番ヶ瀬だとしても、




落ちてくる旅客機を止めることはできない。




なんかすごいスケールがでかい物を出そうとしたんですけど、パッと思いついたのが旅客機でした。

戦闘機とか戦艦でもよかったんですがなんかイマイチピンときませんでした。


読者の皆様は何か良さげなやつ思いつきますか?

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