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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第三章 奮闘編
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第十六話『動き出す絆』7

 今年も今日で最後ですね……。

「ほらほら、どうしたの?」

「かはっ!!」

 私の中には完全に諦めしかなかった。

勝てない……勝つ方法がない……。

 攻撃をしても跳ね返され、防御をしても相手の攻撃を受けるだけ。

 今だってそう。気が付いたら制服はボロボロになり、出血している部分もある。

 茉依には一切触れられない。

近付くことも離れることも全てが無理だ。

「先まで威勢はどうしたの? 私に勝つんでしょ?

 だったら、来なさいよ!!」

「……」

「ふん。やっぱりね。所詮、あなたは最弱でクズなのよ」

 そうかもしれない。

私は結局最弱以外の何者になれないのだ。

 私は弱い……弱いままだ……。

 勝手に強くなったと思っていただけ、思い上がりにしか過ぎなかった。

バカみたい……私って。

 もう泣きたい。止めたい。逃げたい。

「何がまた友達になりたい? ふざけないでよ!! 私の気持ちなんて全然分かってないくせに!!

 それにあなたに何が出来るの? 私はあなたが嫌い。私の家族を平気で見殺しにしておいて平然と暮らしているあなたが!!

 大嫌いよ!!」

「……」

「何か言いなさいよ!!」

 茉依が私の胸倉を掴んだ。

えっ……? どうして茉依、泣いているの?

 茉依の目には憎しみだけじゃない、悲しみもこもっていた。

 私にはどうして泣いている理由が分からない。

「私だって気付いているわよ!! 全ては勘違いで起きたことぐらい!!」

「……!!」

「だから、こそよ!! どうして私の家族を私を助けてくれなかったのよ!!」

 茉依の叫びは本当の気持ちだ。

茉依も気が付いていたのだ、勘違いだという事を。

 じゃあ、今まで私を憎んでいたのは助けてもらえなかったからだと言うの……。

『じゃあ、茉依が悩んでいたら私が助けるね』

 あの時の約束を思い出す。

 私は結局茉依の気持ちなんて全然分かっていなかった。

勝手に勘違いして、もうすでに無理だというのに。

「ねぇ、答えてよ。あなたには分かるのでしょう? 私がどうしてこんなにあなたを憎んでいる理由が。

 さあ、答えて!! 答えなさいよ!!」

「……」

 私はただ黙るしかなかった。

答えられるわけがないじゃない……答えられるわけが……。

「もういい!!」

 茉依は私を放した。

「さっさと、降参しなさいよ。その方が私もいいわ」

 そうか。もう、私は無理なんだ。

何も出来ずに終わるんだ。

 そんなかっこ悪い所を見せてるんだから、もう降参してもいいよね。

 だけど、そんな私を認めたくない。

だから、声に出さなかった。

「……そう。それがあなたの答えなのね。だったら、二度と戦えないような身体にしてあげる

 さよなら、成実」

 そう言って、茉依は細剣レイピアに電気を貯め始めた。

数十秒後には雷級の電気量になっていた。

 これが、茉依の剣技……。

「くらいなさい!! 雷の鉄槌――サンダーインパクトを!!」

 私の方に本当に雷で出来た鉄槌のような物が襲い掛かってくる。

もう終わりだ。何も出来なかったわ、最後まで。

 もう、泣くしかない。

「さよなら、成実」

 もう一度茉依はそう呟く。

 せめてもう一度だけ茉依と話をしたかった。

もう一度だけ食事をしたり、どこに遊びにいったりしたかった。

 けれど、ここで終わるんだ。

無意味にただ散っていくんだ……。

 私に雷の鉄槌が触れようとした瞬間、

「諦めるな、柊!!」

 雷の鉄槌が消えうせた。

「いったい何? 何が起きたの?」

 茉依が困惑している。

観客席だってざわざわしている。

「あれ? ここ俺の行きたい会場じゃないな? ああ、やっちゃったな……」

 まさか、司……?

どうしてここにいるのよ……。

「あなた、どうやってここに入ったのよ?」

「ん? それはまあちょっとな」

「こんなことしてあなた、許されると思っているの?」

「まあ、確かにな」

 司は平然と笑った。

「どうして……司……」

「柊、よく聞け。お前はどうしてここで戦っている? 勘違いを解くためか?

 あいつに勝ちたいからか?」

「それは……」

「違うよな。お前は別に理由なんてどうでもいいんだろう。ただ、もう一度友達になりたいだけだろうが」

「……!!」

 そうだ、理由なんていらない。

私はただ……。

「だったら、諦めるな!! お前の思いはそのまま伝えろ。それがお前自身だろう。

 理由なんかで押しつぶされるな。確かにお前とあいつが考えていることを違う。だけど、それでもお互いに理解しあってこその友達なんじゃないのか!!

 それともお前とあいつの絆はそんな簡単に壊れてしまう安いものだったのか?」

「ち、ち、違う!!」

「じゃあ、立て!! 今までの努力、思いを以って全てをあいつにぶつけろ。こんなの所で諦めるな。お前はここでやられるような最弱じゃないだろう!!

 俺はお前を信じている。だから、お前も自分を信じろ。そして、答えを出すんだ!!」

 そうよね、こんな所で諦めるのは駄目だよね……。

 頑張って立ち向かわないと。そうじゃないと、私が私自身を許せない!!

 私は力を振り絞って立ち上がる。

「ふっ。その意気だ、柊!!」

「いたぞ!! あいつだ!!」

 どうやら司は警備員に追われていたらしい。

まったく、さすが問題児ね……。

「まずい!! もう見つかったか。じゃあ、柊頑張れよ」

「うん、ありがとう!!」

「気にするな。俺は最強で問題児だからな!!」

「さっさと、あいつを連れていけ!!」

 司はそのまま警備員とともに去っていった。

「いったい、何だったの? まあ、いい。さっさと終わらせるわ」

 茉依は困惑していたが、すぐに真剣な表情に戻る。

私だって負けてられない。

 そのまま、思いを伝える!!

「茉依」

「何?」

「私はもう一度あなたと友達になりたい。それが私の思い。

 だから、私はあなたに勝つわ!!」

 レイピアを構えなおした。

剣先を茉依に向ける。

「ふん。やれるものならやってみなさい!!」

 今までの事を思い出すのよ……。

 茉依の強さは反射リフレクトだ。

リフレクトはほぼ無敵のスキルと言われている。だけど、完全に・・・無敵とは言われていない。

 ということは……弱点がある。

 恐らく今までの中で弱点はあったはず。

 茉依はリフレクトを発動させる時何をしていた?

『リフレクト、剣の衝撃を相手の腹部に』

 はっ!!

 そういう事だったのね……。

 茉依は必ずリフレクトを発動させるときに反射する位置を口にしていた。

相手の衝撃を跳ね返すだけのスキルなら口にする必要はない。いや、無意識では反射出来ないということ……?

 意識的に反射する位置をしっかりと明確にしなければリフレクトを発動出来ないとすれば……いける!!

「はあぁぁぁぁ!!!!」

「何度やっても同じことよ!!」

 私の予測が正しければ……こうだ!!

「リフレクト、剣の……!?」

 私は攻撃をする瞬間、レイピアで攻撃するのを見せかけてレイピアを落とした。

そして、拳で腹に……。

「かはっ!!」

「やっぱりね、予想通りだわ」

「どうして……分かったの……?」

「茉依の攻撃からよ、全て。あなたのリフレクトは穴があったのよ。

 無意識反射ではなく予測反射だから!!」

「……!!」

 そう、茉依のスキルが完全無敵と呼ばれていない理由がそれだ。

無意識には相手の攻撃を反射出来ない。全て茉依の予測で反射していたのだ。

 だから、私に気が付かれないように茉依は早めに試合を終わらせようとしたのだ。

だけど、それはもう崩れた。

 今まで反射出来たのは私がレイピアでしか攻撃をしなかったから。

でも、ここからは予測不可能だ。

 なぜなら、茉依は今の私を詳しく知らない。

 最初から勝利のカギはすぐそばにあったのだ。

「もう、私は逃げない。茉依、もう一度言うわ。

 私はあなたに勝つ!!」

 私は笑顔で茉依にそう言った。



 追記

 明けましておめでとうございます!!

明日、投稿予定です!!

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