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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第三章 奮闘編
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第十六話『動き出す絆』2

 そういえばもうクリスマスですね……。みなさんはいかがお過ごしですか? 私はまあ……ご想像にお任せします。

「やあっ!!」

 ガンっ!!

 柊の木刀と俺の木刀が当たりあい、衝撃を受ける。

くっ……徐々に強くなってきているな。

 昨日寝込んでいたとは思えないほどだ。

「中々様になってきたじゃないか」

「そう……? そう言ってもらって嬉しいわ」

 俺が素直に感想を言うと、柊は少し恥ずかしそうにする。

そんなに誰かに褒められるのが恥ずかしいのだろうか。まあ、そんな事はいい。

 とりあえず、本当に身体と精神ともに大丈夫そうだ。

 まあ、朝の訓練の時予想以上に実力を発揮していたから心配はないだろうな。

 時間は経ち、今は夜の九時である。そして俺達は河川敷にいる。

夜は学園が閉まっているので閑散としている河川敷で訓練をしようと元から決めていた。それに俺だけでなく柊も訓練する気満々だった。

 というわけで俺達は木刀を使った訓練をしていた。

「さて、柊。木刀を使った訓練は終了だ」

「もう、終わりなの……?」

 柊が物足りないのか少し残念そうだ。

「安心しろ。ここから細剣ひいらぎの使っていいから」

「えっ!! いいの?」

 予想外だと思ったのか少し口を開けている。

俺としては当然だと思うけどな。

 そんな事を感じつつも話を続ける。

「ああ。訓練の最終段階にいく」

「もう最終段階でいいの?」

「構わない。それにもう時間がないしな。十分に柊は実力をつけているから大丈夫だ」

「分かった。じゃあ、準備するね」

 俺に使用した木刀を渡し、細剣レイピアを手にする。

 細剣レイピアを手にした柊は姿勢を正し、構えた。

どうやらいつでも大丈夫らしい。

 なら、俺も準備するか。

 芝生の上に木刀を置き、能力消滅剣スキルキラーを取り出す。

「さっきまではほんの肩慣らしだ。本気で戦うつもりで来い!!」

 俺は最終訓練の合図を出す。

「言われなくても本気でいくわ!! はあぁぁぁぁ!!!!」

 先ほどよりも力強い気迫を出しながら、柊は俺に細剣で攻撃を仕掛ける。

 俺はそれを受け止める。

 キイイィィィン……。

 今まで以上に鈍い音共にぶつかった衝撃で周りの芝生が揺れる。

 やっぱり上達しているな。

一日中一緒に訓練をしているとそれがよく分かった。

 攻撃の体勢や防御の体勢、全てに関して良くなっている。

 今まで上達していなかったのがまるで嘘みたいだな、本当に。

 とはいえ、負ける気はない。

「まだ、腰が引けているぞ。そんなんじゃ、俺は倒せないぞ」

 柊の攻撃を弾いた。

 一瞬、倒れそうになったがすぐに体制を立て直す。

「ごめん、司。じゃあ、もう一回!!」

 すぐに気を取り直し柊は細剣を振り下ろす。

 そして俺に疾風のごとく突進してくる。

しっかりと体重移動も出来ているな。

 足腰も問題なさそうだ。

 俺は再び攻撃を受け止めつつ柊の状態を確認した。

 キイィィィン……。

「その調子だ、柊。体全体を使うことを意識しろ」

「うん、分かったわ!!」

 柊は俺にアドバイスをもらいながら、確実にそれを身に付けている。

負けず嫌いな性格がここで良い方向に動いたらしい。

 後、真面目なところも。

 さすが神人だな。改めて俺は感心する。

 柊は狙いを定めるように俺の方を見る。

その表情は本当に真剣だ。

 ふっ。

 俺は不覚にも期待で笑ってしまった。

ここからどこまで強くなるか本当に楽しみだ。

 俺も誠心誠意を持って、迎え撃つことにする。

そうじゃないと失礼だからな。

「来い、柊!!」

「はあぁぁぁぁ!!!! くらえぇぇぇ!!!!」

 細剣を大きく振りかぶり、剣先からまばゆい光の刃が現れる。

そしてその刃は速さを持ち、俺に襲い掛かってきた。

 星光切りホーリースラッシュか……!!

 四月に比べて大きさや速さが明らかに異なる。いい傾向だ。

 さて、俺はさっさと打ち破るとするか!!

 精神を統一する。柊の技は一度しか発動していない。

なら、能力消滅剣で粉砕出来る。

 光の刃が近付く。まだだ……まだ、待つんだ。

 風で大きく芝生が揺れる。

 今だ……!!

 真正面の刃を打ち破った。

 さすがに勝てるまでには上達していないよな。

そう思っていた瞬間、

「……!? しまった!!」

「やあぁぁぁぁ!!!!」

 フェイクか。

 どうやら俺は柊に嵌められたらしい。

技はただの身代わりだったわけだ。

 柊にしては考えたものだ。

 すでに細剣は頭上にある。

何とか間に合うか……? いや、間に合わない……!!

 これはしてやられたな。ここは受け止めよう。

 諦めに入っていた俺だったが、

「きゃあ!?」

「……それはないだろう」

 思い切って飛び込もうとした柊が足が芝生に引っかかった。

そして、情けなく顔から転んだ。

 どうやらそこまでは考えていなかったようだ。

 ヒヤヒヤするな、まったく。

「大丈夫か……?」

「うん、まあ。あともう少しだったのに……」

 悔しそうに柊は立ち上がった。

まあ、気持ちは分からなくはないけどな。

「せっかく俺も意表を突いたというのに、相変わらずだな……」

「うっうっうるさい!! 私だって決まったと思ったの!!」

 負けず嫌いだな、柊は。

そんな感想を持ちながら、俺は怪我がないか確認する。

「ん? おいおい、膝擦りむいているじゃないか」

「あっ、本当だ……」

「まったく、無理するなよ。ちょっと待ってろ」

 俺はそう声を掛け、自分の鞄をあさる。

一応持ってきていたはずだよな……。

 探していると、お目当ての物を見つける。

「へぇ……司がそういうの持っているなんて意外ね」

「そうか……? 普通、持っているはずだけどな」

 俺は絆創膏ばんそうこうと消毒液を柊のもとへ持ってきた。

俺達なら魔法で治すことも可能だがこれぐらいの傷ならこちらの方が早い。

 柊も魔法で治す気はなさそうだしな。

 さて、治療をするか。

 すると、柊が顔を染めながら

「もしかして司がしてくれるの?」

「そうじゃなかったら、何の為に持ってきたんだよ……」

 まったくいきなり何を言い出すんだ、柊は。

そう思っていたが、柊がすぐに恥ずかしそうにしている理由を教えてくれた。

「いや、その……年頃の男子なら女子の肌に触れるのは抵抗があるかなって思ったんだけど……」

「そ、そ、そういうことか……」

 俺は治療を始めようとした手を止める。

確かにそうだよな……。いくら治療だからって普通はこんな事しないか。

 伊吹が怪我した時のようにやろうとしたのだが、駄目だったな。

「わ、悪い、柊。嫌か?」

「えっ? いやいや、全然大丈夫よ!!」

「どっちだよ……」

「いいから、治療しなさい!!」

「はいはい、分かったよ」

 結局治療はすることになった。

でも、柊の顔は真っ赤に染まったままだ。

 本当に大丈夫なのかよ。つい心配になる。

「うっ……!! 染みる……」

「我慢しろ、それぐらい」

 俺は柊の膝に消毒液を霧吹き状のものでかけた。

少し痛がっているが、まあ気にしない。

「結構、手慣れているのね」

「まあな」

 一通り治療をした後、柊は感心したように呟いた。

 俺も色々と大変だったからな、昔は。

 今は怪我人が少ないけど、昔は伊吹や瀬那先輩はよく怪我したものだ。

その時俺がよく治療していた。

 それが今となって役に立つと思っていなかったが。

「さて、もういい時間だし。今日はこれで終わりだな」

「うん、そうだね……」

「じゃあ、片付けをするか」

 俺と柊はタオルで汗を拭いた後、片付けに取り掛かった。

とはいえ、そんなに荷物は多くないのですぐに終わった。

「明日はどうする、柊?」

「明日は……どうしよう……」

「まあ、明日は本番だしな。朝は休みにしてもいいぞ」

 体慣らしは柊が自分でやるだろうし大丈夫だな。

特に心配するところはない。

「うん、そうするわ」

「そうか。じゃあ、頑張れよ」

 俺はそう答え河川敷を去ろうとした。

すると、

「待って、司!!」

 急に柊に呼び止められた。

まだ何かあるのか……?

「明日、応援に来てね」

 柊は俺に最高の笑顔を見せながらそう言った。

俺はその笑顔に少し恥ずかしい気持ちになる。

 まったく、俺らしくもないな。

「ああ、行くさ。その代わり、勝てよな」

「もちろんよ!! 私だってやる時はやるからね」

「そうか、なら安心だ」

 柊の言葉はやる気に満ち溢れていた。

これなら勝ってもおかしくないかもしれない。

 俺の期待はより一層大きくなった。

「じゃあ、また明日ね!!」

「ああ、じゃあな」

 俺は後ろで手を振りながら、今度こそその場から去っていった。

 




 


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