第十五話『決意と奮闘の中で……』1
投稿におかしな点があったので、もう一度投稿しました。内容はほとんど変わっていません……。変なことをしてしまい、すいませんでした。
柊と別れてから数十時間が経った後、俺は第一訓練場に足を運んでいた。
第一訓練場に来るのは結構久しぶりかもしれない。
柊と初めて戦ってからこれで二か月経つのか……。
時間が過ぎるのは早いものである。
まあ、今日は別にこの部屋を懐かしむために来たわけではない。
理由はもちろん訓練だ。
柊が神人のトーナメント戦前で忙しいのも分かるが、俺だって団体戦三回戦があり大変だ。
それに相手は伊吹や鶴川達だ。
今までのように順調とはいかないだろう。
最近会っていない伊吹の所へ行きたい気持ちがあるが、それは我慢しよう。
伊吹は俺と会おうとしていない。
俺と本気でぶつかりたいという意思があるのは本当のようだな。
なら、俺も本気で戦おう。そうしなければ伊吹に失礼だ。
伊吹の思いを踏みにじるのは言語道断だしな。
さて、考え事するのはここまでにするか。
俺は背負っている鞄を近くの椅子の上に置いた。
そして、制服のポケットからある球体を取り出す。
非常時以外で出すのはこれが初めてだな……。
そんな事を思いながら、手の上にある球体に触れる。
『…………認証しました。能力消滅剣を具現化します』
その球体からアナウンスが流れ、球体が剣へと形を変えていく。
数秒後にはすでに球体のような物体はなく、俺の手には剣が存在していた。
能力消滅剣が出現した後、俺は肩慣らし程度に上や下へ剣を振った。
「よし、大丈夫みたいだな……」
振った感じ、特に違和感はない。
まあ、非常時でもしっかりと扱えていたから確認する必要はないとは思ったが。
それでも初めてだという事で確認を何となくした。
とりあえず、異常なしだ。
「さて、今日はどうしようか……?」
俺は右手に自分の剣を持ちつつ、左手で訓練場にあるモニターをチェックする。
今日は時間もある。だから限界まで試してみてもいいかもしれない。
俺はモニターを見ながら訓練兵の数を設定する。
四体……いや、五体か……?
今までの訓練の中では最高三体だ。
未知数だが、試してみる価値はあるだろう。
それに俺は最強だしな。
「まあ、やってみるか」
悩んだ挙句、俺は訓練兵を五体に設定した。
中々酷であるが、鍛えるのには十分だ。
『訓練兵、五体出現させます』
モニターからアナウンスが流れ、俺から離れた場所に訓練兵五体が出現する。
強さは技を扱える程度。
それなら五体でも大丈夫なはずだ。
「さあ、始めるか!!」
気合を入れ、俺は剣を構えた。
『訓練を開始します』
『……!!』
俺が構えたのを見越した訓練兵たちは綺麗な半円を描くようなフォーメーションで攻撃を仕掛けてきた。
半分は俺の攻撃を迎え討ち、その半分は俺の後ろにつく予定のようだ。
訓練兵とはいえ侮れないな、これは。
後ろに回り込まれないように後退する。
その動きを見た訓練兵の一体は咄嗟に動きを止め、そして光の刃を剣から放った。
あっ、光速切りだな。
俺はその光の刃を能力消滅剣で打ち消した。
よし。真ん中が、がら空きだな……!!
俺は隙が出来た中央に突撃する。
「おりゃあぁぁぁ!!!!」
疾風のごとく、一体の訓練兵を切り刻んだ。
予測できなかった一体の訓練兵はむなしく散っていった。
これで、一体だな。
だが、まだ四体もいる。
喜んでいる暇はなさそうだ。
一体俺に倒された訓練兵たちは少し警戒態勢に入る。
凄いな、この学園の訓練兵は……。
改めて驚いてしまった。もしかして人工知能でもあるのだろうか。
それとも設定のおかげだろうか。
でも、今はどちらでもいい。
俺の糧になってくれるのなら、別に構わない。
そんな事に気を使っていると、今度は二体で俺に襲い掛かってきた。
なるほど。挟み撃ちか……。
ふと、暁教官の直々の指導を受けていたころ、よく瀬那先輩とやっていたのを思い出した。
まったく、懐かしいな。
だから、この手には引っかからない……!!
俺は二体の同時攻撃を避け、少し後退したのち技を発動させる。
――――能力粉砕。
その技が見事に二体の訓練兵に直撃する。
相手は神人の力や魔法で作られたものだ。
つまり、俺の技には勝てない。
『…………!!!!』
一瞬ビクッとした後、無残にも消えていった。
よし、後は二体だ。
どうやら杞憂だったみたいだな。そう思っていたが、
「この調子で残りの二体も……あれ?」
辺りを見渡して訓練兵がいない。
まさか、そんな事はないよな……。
最悪の事態を想像しながら、上を見上げる。
「マジですか……」
俺はつい呟いてしまった。
そんな設定した覚えはないんだが。
やはり人工知能でもあるんじゃないか。
そんな事を思ってしまう。
そういえば、残りの二体は槍を持っていたな。
ということは、
「やばっ!!」
俺は訓練兵の攻撃範囲外の場所へと移動しようとした。
だが、弾丸のように飛んできた訓練兵の速さに間に合うはずもなく……
「ぐはっ!!」
まさかの訓練中に情けない声が出てしまった。
俺は近くの壁に吹き飛ばされる。
何だ、これは?
いったいどういう事だ。
ここまで対応するものなのか、訓練兵は?
さすがにおかしい気がする。
さっさと決着を付けよう。
強制的に終了してもいいが、それは止めておく。
俺は多少の痛みはありつつも難なく立ち上がる。
まあ、これぐらい今までのに比べたらどうってことないな。
面白い。訓練兵がこんなに本気なら、
「俺も本気で行かせてもらう!!」
『……!!!!』
俺の声に返答したように二体の訓練兵は突撃を開始した。
それを見かねて俺も剣を構えなおす。
二体同時に倒せるのは一度だけだ。
精神を統一させる。
まずは槍。
キィィィン……!!
二体の訓練兵が持つ槍が俺の攻撃で弾かれる。
次は訓練兵の動き。
槍ごと訓練兵を吹き飛ばす。
さっきの仕返しの分も含めて力いっぱいに壁へと飛ばした。
よし、ひるんでいるな。
そして、最後は訓練兵そのものだ!!
俺は再び能力粉砕を放った。
もちろん、壁から受けた衝撃で動けない訓練兵二体はもろにそれを受けた。
そして、数秒後に崩れ落ち、
『訓練兵五体、全ての消滅を確認。訓練を終了します』
最後にアナウンスが流れた。
「ふぅ~……何とか終わった……」
さすがに疲れてしまった。
俺は床に座り込む。
今日はいったいどうしたのだろうか。
どうも調子がいつもと違う。
そんな事を考えていると、
「司君!!」
ふいに訓練場の扉が開き、慌てた様子で七瀬が入ってきた。
大変焦っているようだ。
「どうかした、七瀬? 一度、落ち着け」
俺の言葉に七瀬は頷き、深呼吸をする。
その後、七瀬は少し急ぎ気味に話を切り出した。
「柊さんが……柊さんが大変なんです!!」
「柊が……?」
いったい柊に何があったんだ……?
少し心配になる。もしかして訓練兵に……。
だったら、まずいな。
「はい。とにかく、急がないと……」
「分かった。案内してくれ」
「では、行きましょう!!」
「おっおう……」
俺は七瀬に連れられるように第一訓練場を後にした。
追記
続きは明日投稿予定です。




