第十四話『神人少女の切なる思い』4
う~ん……。気まずいな……。
最初はあまり意識にしていなかったが、今ではだいぶ意識してしまっている。
一応確認にしておくが俺と柊は学園に向かっているだけだ。そう、決してやましい事なんてない。
それなのに、
「なぁ、柊? だんだん俺と距離を置いているのは気のせいか?」
「きっきっ気のせいよ!! 最初からこんな感じだったでしょ!!」
いや、絶対おかしい。気のせいっていうレベルじゃない。
明らかに先ほどよりも離れている。
今も少しずつ距離がどんどん長くなっている。
それに柊がとても恥ずかしそうにしているのはまたこれも気のせいだろうか。
「どうしたんだよ、急に。俺、何か悪い事をしたか?」
俺がそう言うと、柊がピクっと立ち止まった。
そして、柊は俺を振り返る。
今の柊は照れ半分怒り半分のように見える。
「そんなの司が私の傍にいるからでしょ!!」
「えっ? 俺のせいですか……」
俺がいる事自体が悪いのならどうしようないんだが。
というか、理不尽だ……!!
「誰かが見ていたらどうするのよ……」
柊は頬を真っ赤に染めながら俺にそう呟いた。
どうして、そんなの表情をするのかが分からない。
「誰かに見られても、別にどうなる事ないだろう? ただ今は一緒に学園に行こうとしているだけだ」
「……!? まさか、構わないって言うの?」
「ああ、そうだ。何も問題ないだろう」
「お、お、大ありよ!! この問題児!!」
「いや、問題児は関係ないよな。というか俺は問題児じゃない」
本当にどうしてだ……?
なぜ、柊は俺の言動に今怒ったんだ。何かまずい事を言ったのか。
一緒に登校するくらい別に大丈夫だと思うけどな。
それが柊の怒っている原因なのだろうか。
そうか、分かった。
「柊、すまん。お前、一人登校が好きなんだな。だったら――」
「ち、ち、ち、違うわよ!!!! この問題児!!!!」
ゴチンっ。
俺は柊になぜか鞄で殴られた。
もう、意味が分かりません。
結構痛いな……。
一人登校も嫌だからじゃないのかよ。だったら、どうすればいいんだ……。
残念ながら俺はまだ女子の気持ちは理解出来そうにない。
俺としてはお手上げだ。
もう、降参しよう。そう思っていると、
「司!!」
「何だよ、柊?」
「あなたは今の状況で何とも思わないわけ?」
「いや、別に何とも思ってないわけじゃ……」
「だったら、私の気持ち分かるよね?」
柊の気持ち……?
う~ん。先ほども言ったが俺は女子の気持ちは理解出来そうにない。
だから、今は謝るしかない。
顔を真っ赤にしているから、何か恥ずかしい事だというのは見て分かったが詳しい所までは全く想像できない。
「すまん、分からない」
「……!! はぁ~……もういいわ。私がこんなの気持ちになっているのが馬鹿馬鹿しくなってきたわ」
俺の答えを聞いた柊は呆れた表情を浮かべため息を漏らした。
まあ、柊が落ち着いたからとりあえず良かった。
俺はそっと胸をなで下ろした。
「それでどうするんだ? 一緒に行くのか?」
「ほ、ほ、本当に理解してないの!? ええ、構わないわ……そうよ、何も気にすることなんてないわ。そうそう、別に何も……。司の、ばか」
「ごめん、最後何か言ったか?」
「何も言ってないわ……」
柊は何か諦めたように俺の傍に近付いてきた。
どうやら収拾がついたようだ。
じゃあ、俺が気にすることは何もないな。
俺と柊がそんな事で争っていると、学園まであと少しだ。
他の生徒達がちらちらと見え始めている。
そういえば、今の時間は……。
俺は自分の時計を確認した。八時十分……。
結構俺と柊訓練していたんだな。
我ながら驚いてしまう。
「そういえば、柊?」
「何、司?」
あれ、なんか機嫌悪そうなんだが……。
まあ、気にしない。
「お前ってこの時間帯に、学園に来るのって珍しいよな。いつも、早めに来ているんだろう?」
「うん、確かにそうね。あまりこの時間帯は好きじゃないの……」
「……? それはどうしてだ?」
俺は何となく気になったので、柊に尋ねる。
だが、柊はそれを尋ねられ少し困った表情をしている。
聞かれたくなかった事かもしれない。
「言えない事なら、別に言わなくていい。変な事、聞いて悪かったな」
「ううん、別に気にしないで。ちょっとした事だから」
ちょっとした事だと言っているが明らかに先ほどよりも声のトーンが暗くなっている。
何かあったのだろうか……?
久しぶりにこんな暗そうな顔をしている柊を見た。
少し俺は心配になる。
「もし困っていたら俺に話してくれよ。一人で抱え込む必要はないからな」
「うん。ありがとう、司」
「気にするな。おっ、学園に着いたな」
気が付けば学園の前まで俺と柊は到着していた。
「じゃあ、私ちょっとした用があるから。また、放課後に」
「ああ、また後でな」
俺がそう答えた後、柊は先に学園の中へと走っていった。
柊、大丈夫なのか……。
俺はそんな心配が心の中にありつつも学園へと足を運んだ。




