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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第三章 奮闘編
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第十四話『神人少女の切なる思い』3

 ガンっ!!!! ガンっ!!!!

 柊の攻撃は少しずつではあるが、力強いものになっている。

そして、何よりも柊は真剣な表情で打ち込んでいた。

 先ほどとは大違いだ。

 俺も少しずつ力を入れ始める。

「いいぞ、柊!! その調子だ!!」

「はあぁぁああぁぁ!!!!」

 ガンっ!!!!

 木刀の衝撃音とともに風が起きる。

まさか、ここまで上達するとは思っていなかった。

 本当に柊は最弱なのか……?

そんな疑念を抱くほどの上達ぶりだった。今もとんでもないほどの集中力だ。

 姿勢や重心の使い方もだいぶ良くなってきている。

 これだ。今の柊には一切の無駄がない。

 柊の攻撃を弾くのも徐々に難しくなってきた。

「まったく、凄いな。ここまでとは予想外だ」

「そう? 私はただ司の言われた通りにしているだけよ」

「いや、それだけでは説明出来ない理由が柊にはある。そろそろ俺も本気出さないとな……!!」

 俺は何とか柊の攻撃を弾いた。

だが、最初の頃とは違い相手に攻撃を弾かれてもしっかりと姿勢を保てていた。

 柊は俺に攻撃を弾かれた後、再び木刀を構えなおした。

 よし、なら少し変えるとしますか。

「さて、次の段階だ。今度は俺から行くぞ!!」

「えっ? ちょっと待っ――」

 俺はそう言い、柊に攻撃を仕掛ける。

 まあ、今の柊ならこの攻撃くらいなら受け止めてくれるよな。

そう思っていたが……。

 ガツンっ!!!!

「イタッ!! 頭が……」

 柊は突然の攻撃に対応出来ず、俺の攻撃をもろに頭に受けてしまった。

その場で柊は頭を押さえながらうずくまってしまう。

「おい、大丈夫か?」

「これが大丈夫に見えるの……?」

「すまん、てっきり受け止めてくれると思ってな」

 俺は一応柊に頭を下げた。

 でも、参ったな。先ほどの逆が出来ないとは……。

確かに急だったとはいえ、今のは酷かった。

 攻撃のような姿勢ではなく訓練を始めた姿勢のようなもので本当にぶれぶれだった。

 木刀での受け止め方が分かっていないのかもしれない。まあ、剣とさほど違いはないが。

 とりあえず、新たな問題に気付けたから良しとしよう。

「そろそろ日が昇ってきたし、今日は終わりにするぞ」

「ええ、そうしてくれると助かるわ」

 俺と柊は荷物の置いてあるベンチに移動し、腰を下ろす。

「これ、返すわね」

 柊から木刀を受け取り、俺の分も含めた木刀を鞄の中に片付けた。

その後、俺は鞄の中からスポーツドリンクを取り出す。

 柊も自分の鞄から飲み物とタオルを出す。

 ゴクっゴクっ……。

 俺と柊は訓練で乾ききった喉を潤した。

「ぷはっ!! やっぱり、訓練の後の飲み物は最高だな」

「それについては私も同感」

 いい感じに喉を潤したスポーツドリンクは本当に最高だ。

おかげで気分も落ち着く。

 休憩も大事だと改めて気付かされるな。まあ、朝の訓練はもう終わったが。

 気分も体調も全て良くなった所で俺は話を柊に始めた。

「どうだ? 俺の言った事は理解したか?」

「ええ、そこそこだけど。私、だいぶ技や魔法に頼っていたのね……」

「まあな。俺も今までは技や魔法を含めた訓練を教えてきたし、仕方がない事ではあるけどな。

 とりあえず、攻撃に関してはだいぶ良くなった」

「本当!?」

 今にも飛び上がりそうな柊は俺にそう尋ねてきた。

そんなに嬉しいのか……?

 正直、俺は驚いた。

「あっああ……本当だ」

「良かった……」

 俺の答えを聞いた柊はそっと安堵の表情を浮かべた。

 柊の中では一つ悩みが消えたようだ。

俺も心の中でほっとする。

 とはいえ、新たな問題がある。

「安心しているところ悪いが、柊。お前、防御の方がまったく出来ていないぞ」

「えっ!?」

「いや、そんなに驚かれてもな……。さっきのも見ればそうとしか言えない」

 柊は先ほどの事を思い出し、少し落ち込んだ。

まあ、気持ちは分からなくもないが。

「別に落ち込む必要はない。まだ、時間はある」

 確か、神人のトーナメント戦は明後日からだったはずだ。

ちなみに団体戦三回戦はそのトーナメント戦の次の日である。

 まだ、何とか出来る。

「でも、司。さすがに全てを改善するのは……」

「無理とか問題じゃない。どうにかするんだ。どうしても勝ちたいんだろう?」

「確かにそうよ。でも……」

「そんなに心配するな。俺が何とかするさ」

「司……!!」

 これで少しは元気を取り戻したか。

俺は再びほっとする。

「まったく、俺を誰だと思っているんだ? 俺は最強だ、だから心配するな」

「こういう時だけ司はかっこつけるよね」

「こういう時が余計だ。それに俺は別にかっこつけているわけではない」

「本当にそうかな? 私にはそうは見えないけどな~」

「はいはい、分かりましたよ。とにかく続きは夜だな」

「また、教えてね」

「ああ、当たり前だ」

 そう言って俺と柊は一緒に笑った。

俺も柊も口にはしなかったが、今の時間が楽しかったはずだ。

 だからこんなに笑っていられる。

 時は金なりなんて言うけど、それは本当のようだな。

大事な時間を俺と柊は過ごした。

「さて、そろそろ学園に行かないとな」

「そうね」

 俺と柊は飲み物等を全て鞄の中に入れ学園へと向かった。

 






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