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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
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第二話『神人少女の願い』2

 次の日。

最弱の神人少女に勝った後、無我夢中で家にある食べ物を食べまくり、すぐに寝てしまった。暴飲暴食ってやつだな。

食べた後、すぐに寝たのはいいのだが、俺は寝坊してしまったのだ。

 今、俺は全力疾走で女神コスモス学園に向かっている。

まったく昨日から、本当についてない。

 俺は何か悪い事したか? …………いや、したね。

でも、樹木が倒れたのは事故とも言える。

 まあ、いい。

 とりあえず、幸いな事に今日は間に合いそうだ。

HRホームルーム十分前には何とか自分の教室である1-Eクラスに着いた。

 ちなみに神人のクラスはAからDクラスまでで、EからGクラスは人間のクラスである。

 教室の前になると、中から騒がしい声が聞こえる。

俺は何があるのか、少し気になったが俺には関係ない事なので、いつも通りの感じに扉を開ける。

 残念ながら、俺は問題児扱いされているのでほとんど友達や話せる人がいない。

なので、俺にとっては無関係になる。

 だが、今日はいつもとは違ったようだ。

「おっ!! 待ってました!!」

 俺が教室に入ると、ある男子の一声から始まり、急に他の人達が俺を見て立ち上がった。

何だ何だ、急に? 拍手喝采。その言葉が今の状況にお似合いだ。

 俺はどういう事なのか、意味が分からなかった。

「俺、何かしたのか?」

 俺が当然のように疑問を投げかけた。

すると、ある生徒が少し企み顔で話してきた。

「またまた、隠しちゃって」

「隠すって、何がだよ?」

「だから、司。お前、昨日神人に模擬戦で勝ったんだろう? 聞いたぞ」

 げっ。そういう事か。

 というか、何で知ってるんだよ。

俺が戸惑っていると、俺の裾を引っ張ってくる人がいた。

(何かね、その負けた神人が今日登校した時にぶつぶつと言っていたのを色々な人が聞いたみたいで……)

 今、俺に小声で話しかけてくれたのは、俺の数少ない友達の伊吹雫いぶきしずくだ。

 容姿や体型からでは女子に間違えるほどの可愛い系男子だ。その茶色い髪が揺れる瞬間が、何とも言えない可愛さを醸し出す。

密かに、伊吹のファンクラブが出来ているくらいだ。

 俺にはそこまでの趣味はないから、まあ大丈夫だ。多分な。

 それは置いておくとして、柊の奴はどんだけ負けず嫌いなんだ。

おかげで、こんな事になってしまったぞ。

 まあ、柊は俺に起きている事なんて興味ないだろうが。

(相手は、最弱だったんだぞ? そんなに騒ぐ事か?)

 俺は伊吹にそう尋ねる。

伊吹は少し困ったような表情をして、返答する。

(それが、今までに人間が神人に勝つという事自体が初めての事だから、みんなはしゃいでいるみたい……)

 そういう事か。

それにしても、今まで人間は神人に勝ってなかったんだな。

 それは喜ぶのも無理ないか。

俺もようやく今の状況を把握出来た。

(あいつなら、誰でも勝てると思うけどな……)

(それは、さすがにその神人さんに失礼だよ)

(そうか? 俺の経験から言ってるのに)

(だから、それは司だから言える事だよ。普通の人は無理だよ)

 そういうものなのか。

俺の意見は間違っていないと思うがな。

 まあ、柊が今の実力のままだったらの話だが。

(とりあえず、今の状況はよく分かった。ありがとうな、伊吹)

(別に気にすることはないよ。困ったときはいつでも頼ってね)

 最後に男子とは思えないほど可愛いらしい笑顔を見せると、伊吹は俺の前から去っていく。

いい奴だと改めて思った。

 伊吹は俺に対して優しく声を掛けてくれ、実力もそれなりにある。

ただ、少し大勢の前で話したり、行動するのが苦手な所がある。そこも伊吹にとっては可愛いらしい点ではあるが、戦闘の時に自分の実力を発揮出来ずにいる。

 いつか、伊吹を特訓してやるのもいいかもしれない。

俺はそんな事を計画に入れる。

「まさか、問題児が神人を倒しちゃうなんてな。快挙……いや、革命とも言っていい」

「それは言い過ぎだろう。でも、本当に凄いよな~」

 どうやら、まだまだ彼らの話は終わらないらしい。

そうやって、褒められるのは嫌な気分ではないが、もうそろそろ止めてほしい。少し恥ずかしいから。

 俺が少し恥ずかしさを覚えていると、

『まもなく、HRホームルームの時間です。生徒の皆さんは席に座ってください』

そんな時間も終わりを告げるようで、HRホームルームの前のアナウンスが流れた。

 それを聞き、騒がしかった人達も席に着く。

先ほどとは、打って変わってとても静かになった。

 まったく、いつもとは少々違う出来事が起きたもんだから朝から疲れてしまった。

 まあ、とりあえず最弱の神人少女である柊と俺がチームを組むと言う事は、まだ知られていないようなので良かった。

俺は少し安心しつつ、HRホームルーム開始を待った。

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